【鍼灸】虫のお話②疳の虫【横浜】
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【脳梗塞リハビリ】【鍼灸】
皆さん、こんにちは!
横浜市青葉区あざみ野にある脳梗塞リハビリ施設、リバイブあざみ野のHP、ブログへようこそ。
毎週土曜日のブログ記事を担当します鍼灸あんまマッサージ指圧師のTです。
土曜日のブログの記事では、皆さんにより東洋医学や鍼灸を身近に感じでもらうために、簡単な基礎知識から自分でも実践できそうなことまで、簡単にご紹介していこうと思います。
肩肘張らず気軽に読んで頂けたら嬉しいです。
【疳の虫】
前回のブログの記事では我が家の愛猫から猫回虫が出て、そこから寄生虫やぎょう虫の話をしてみました。
今回も少し「虫」の話をしてみましょう。
①虫の小話
我々にとって無意識でも「虫」が身近にあります。
日本人は虫の音色を楽しみますね。
海外の方は虫の音色は「音」として聞こえるそうです。そして脳はそれを雑音として処理するみたいです。
日本人は虫の音色を「声」として認識するそうです。日本語は擬音語や擬態語が豊かだからでしょうか。
秋の虫の鳴き声を聴くと涼しさすら感じます。虫の音色を聴くのは簡単で身近な楽しみですね。
また「虫がいい」、「虫が好かない」、「虫が知らせる」、「虫の居所が悪い」など、「虫」のつく慣用句が日本語には多いですね。
これはどうも「庚申信仰」とも関係があるみたいです。
「庚申信仰」とは十干十二支(じっかんじゅうにし)の暦のうえで、60日ごとにある庚申の日(かのえさるのひ)に行われる信仰行事です。
その起源は中国の不老長寿を目指す道教の教えのひとつ、庚申待ちと言われています。
人の体内には、三尸(さんし)と呼ばれる虫がいて、庚申の日(かのえさるのひ)の夜、人が眠ると、この虫が体内から抜け出し、その人の悪行を天帝に知らせに行き、知らせを受けた天帝は、行いの悪い人の寿命を縮めてしまうのです。三尸は人間が死なないと自分が自由になれないので、人間の寿命が縮むように悪いことさせようとするのですが、天帝のところへ行けるのは庚申の日の人間が眠っている間だけ。そこで「庚申待ち」という庚申の日の夜は、寝ずに夜を明かす習わしが生まれました。
ちなみに三尸は上尸・中尸・下尸の3種類があり、人間が生まれたときから体内にいるとされています。
上尸は人間の頭の中、脳にいて、首から上の病気を引き起こしたり、大食を好ませたりします。
中尸は人間の腹の中にいて、臓器の病気を引き起こしたり、宝貨を好ませたりします。
下尸は人間の足の中にいて、腰から下の病気を引き起こしたり、淫欲を好ませたりします。
『太上除三尸九虫保生経』に描かれてる三尸。
右から上尸・中尸・下尸
みなさんの三尸はいかがですか?悪さしてませんか?
庚申待ちは平安時代以降に、貴族などの間で行われ、その後、仏教や神道などと結びついて庶民の間に広がり、江戸時代には最も盛んになったそうです。上記の慣用句もこの頃にできたようです。
みなさんの住む町で「庚申塔」と書かれた石碑を見たことはありませんか?これは18回「庚申待」を繰り返すと記念に建てたそうです。
※うちの近所にある庚申塔の写真です。
ちなみに明後日2024年2月26日は今年最初の庚申の日です。初庚申の日、福岡の猿田彦神社では猿のお面を求める人で賑わうそうです。
②疳の虫とは
みなさんは「疳の虫」という言葉聞いたことありますか?特に乳児の異常行動を指し、夜泣き、かんしゃく、ひきつけなどがあります。
元々は「脾疳」と言って、乳児の腹部膨満や異常食欲などを指していましたが、日本では古くから乳児の異常行動や病気は疳の「虫」によるものだと考えられていました。
一般的な夜泣きやかんしゃくは赤ちゃんの成長過程の一つで心配することはないのですが、それでも症状が強いものに治療の一つとして鍼灸も一役買っています。特に関西方面では小児はりが盛んです。
③鍼灸による治療法
疳の虫の治療として、また通過儀礼的なものとしても有名なのは「ちりげの灸」というものがあります。漢字で書くと「散り気」つまり気を散らすのですね。
「身柱」という胸椎3番の突起の下にあるツボに灸をするのです。首を前に倒すとボコッと出る大きな骨が頚椎7番です。そこから3つ下の骨が胸椎3番になります。(肩甲棘基部と同じ高さ)
乳児なら糸状灸を据えます。ここは心身お疲れの大人にも効果がありますよ。
また奇穴として「四縫」があります。
手の示指、中指、薬指、小指の手のひら側、第2関節の真ん中に取ります。
細い鍼で速刺速抜、もしくは糸状灸がいいでしょう。
小児鍼もいいです。小児鍼というのは刺さない鍼で身体を擦ったり、あるいはツボを刺激するソフトな施術です。
④虫封じ
昔から疳の虫に対して民間の信仰によって「虫封じ」や「虫切り」というのが行われていました。
今でも神社やお寺で行われているところがあります。調べてみると面白いと思います。
乳児の手のひらに真言や梵字などを書いて、粗塩で手のひらをもみ洗いして、しばらく置いてみると指先から細かい糸状のものが出ているのが見えるといい、これが虫であるとされています。実際にこの糸状のものが何なのかはわかりませんが、虫を体内から出したという視覚的な情報で親御さんを安心させる狙いもあったのだと思います。
いかがでしたか?
今回は虫の話から「疳の虫」についてお話してみました。意外と身近なところに「虫」が私達に関わっているんですね。
また色んな視点で鍼灸に興味をもってもらえたら嬉しいです。
また次回記事をお楽しみに。再見!
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ツボのお話③
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鍼のお話②の続き
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