【脳梗塞リハビリ】鍼のお話②
目次
【脳梗塞リハビリ】
皆さん、こんにちは!
12月と1月の毎週土曜日のブログ記事を担当します鍼灸あんまマッサージ指圧師のTです。
土曜日のブログ記事では、皆さんにより東洋医学や鍼灸を身近に感じでもらうために、自分でも実践できそうなことを簡単にご紹介していこうと思います。
【鍼のお話②】
前回は毫鍼を中心に鍼のお話をしましたが、今回は皮内鍼という小さい鍼について説明してみようかと思います。
前回の記事はコチラから↓
https://revive-reha-azamino.com/post/post-3810
鍼灸の治療を受けたことのある方や鍼灸治療も行っている整骨院で治療を受けたことある方なら下の写真の鍼のシールを貼られたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これはセイリンという鍼の会社が出している「パイオネックス」という本当に小さい鍼がちょびっと出ててシールで貼れるようになっている商品です。
このパイオネックスの元となったのが今回ご紹介する「皮内鍼」です。6㎜くらいの小さい鍼を皮膚に沿って横から刺してテープで止めます。
早速、皮内鍼について説明していきましょう。
1.赤羽幸兵衛と皮内鍼
皮内鍼は日本の赤羽幸兵衛(1895-1983)という先生が考案しました。鍼の歴史の上でも画期的な発明だと個人的には思います。また赤羽先生は火の着いたお線香で手足の指先のツボを擦り、熱さを感じる感覚の左右差を調べて身体の異常を検査する「知熱感度測定法」というものも独創し、その検査結果を元に皮内鍼で治療する治療法を確立させました。まずはその一連の物語の触りをご紹介します。
①発想のきっかけ
1950年の晩秋、赤羽先生は急性扁桃炎による発熱で、足元に湯たんぽを置き、寝込んでいました。すると左側の第2趾のみ湯たんぽの熱さに気付かずヤケドしてしまいます。「正常体では左右等しい感覚が、病体においては左右差が出現する」ということを発見し、第2趾というのは鍼灸の経絡でいうと陽明胃経が通るところだから、左下肢の胃経のツボを触って調べてみると伏兎というツボの辺りに過敏なところがあり、そこを刺激すると、数十秒後に左足先にも熱さを感じるようになり、扁桃炎も良くなったといいます。
②知熱感度
上記の経験と鍼灸の経絡の理論を合わせて、「井穴(手足の指先のツボ)の温度感覚を調べて、左右差のあることが確認できれば、それに相当する経絡の異常としてとらえることができる」と推測して、指先を火の着いたお線香で擦り何回で熱く感じるかをカウントし左右差を比較する検査法「知熱感度測定法」を考案しました。
③皮内鍼発明のきっかけ
赤羽先生が知熱感度の研究をするため、周囲の人や患者さんの手足を借りて、片っ端から測定していた時、ある患者さんの数値がいつもと違い、不思議に思って聞くと冷凍植皮手術を受けたと言う。手術を受けた側の感覚が鈍感、つまり線香を擦る回数が多かったが、皮膚が良くなるにつれて数が少なくなって正常になった。しかしそこからしばらくして手術痕が「痒く」なり、測定してみると今度は手術したところと反対側の数だけが極端に多くなり、「痒み」がなくなるころには数は少なくなり両側揃うようになった。
この「痒み」を身体に及ぼす刺激と捉え、皮膚表面に鍼で同様の刺激ができないかと考えたのが皮内鍼を発明するきっかけになったのです。
2.皮内鍼の刺し方
長々と赤羽先生の話をしてみましたが、ここからは皮内鍼という鍼を実際に見てみましょう。
私が使う皮内鍼は鍼柄が丸くなっているものです。
写真のピンセットでこの丸い部分を摘み、皮膚に水平に刺します。いわゆる皮の部分に刺すので、痛みや不快感がないように刺さってることがコツです。
皮膚から出てる皮内鍼の下に「敷布団」のようにテープを貼り、さらにその上から鍼も「敷布団」も覆うようにテープを貼り固定します。
皮内鍼は皮膚に刺しても体内に入ることはありません。
ちなみに私が使うテープは3Mのテープを使ってます。このテープは剥がれにくく、また水にも濡れても大丈夫なので、鍼したままお風呂に入ることも可能です。(ただし鍼したところを擦って洗ってはダメ)
3.皮内鍼の治療法
皮内鍼は
①刺すのが簡単
②臨床が容易
③副作用がない
④作用が持続
という特徴があります。
本当は、患者さんがご自身のために覚えられておくと大変便利な治療法だと思うのですが、鍼治療は専門家から受けて下さい。ドラッグストアに一般の方向けの鍼のシールが売られているのでご興味がありましたら見てみて下さい。
①阿是穴治療
※阿是穴についてはブログで少し書きました。
読んでみて下さい↓
https://revive-reha-azamino.com/post/post-3712
阿是穴、つまり押して痛い「圧痛点」に皮内鍼を刺します。赤羽先生はどんな人でも正確に圧痛点を取るために鉛筆のキャップのようなもので押して丁寧に確認して「点」を取ったようです。
圧痛点が取れたら、皮内鍼をそこに刺します。刺したら動いてもらい痛みを確認して、同じ場所に痛みがある場合は刺し直します。痛みが移動した場合は追跡して新たな圧痛点に刺します。
これを2〜3回繰り返してテープで固定します。
3日くらい刺しておくと良いです。
②赤羽先生が常用したツボ「上仙」
赤羽先生が常用したツボの1つに「上仙」というツボがあります。
腰痛、痔疾、婦人科疾患などには必ず皮内鍼を刺しました。皆さんも何かのときに役に立つかもしれません。覚えておくと良いと思います。
場所は、第5腰椎と仙骨の間です。
ここに皮内鍼を刺すのですが、皆さんは爪楊枝のようなもので擦ってみると良いでしょう。
③知熱感度測定法による治療
これは次回のブログで述べたいと思います。
いかがでしょうか。今回は皮内鍼について簡単に述べてみました。小さい鍼なのですが、誰にでも簡単に出来て面白い効果を出す皮内鍼。
次回は知熱感度を用いた皮内鍼の治療をご紹介しようかと思います。今回と次回を読んで頂ければ全身の調整と痛いところの治療、両方が可能になります。
また次回記事をお楽しみに。再見!
【脳梗塞後遺症の改善を目指す自主トレ動画】
https://revive-reha-azamino.com/movie