ラクナ梗塞は軽い脳梗塞?実は怖い後遺症リスクと対策6選
目次
🧠 はじめに:ラクナ梗塞って「軽い脳梗塞」だと思っていませんか?
「ラクナ梗塞って小さい脳梗塞だから心配ないんでしょ?」
「一時的にめまいがあったけど、すぐ良くなったから大丈夫かな…?」
こんなふうに考えている方、多いかもしれません。でも実は、ラクナ梗塞は軽症に見えても、知らないうちに脳にダメージを蓄積させるタイプの脳梗塞なんです。
症状が目立たず、検査して初めてわかることも多いため、**“サイレントストローク(静かな脳卒中)”**とも呼ばれることも。
この記事では、**脳梗塞の一種である「ラクナ梗塞」**について、特徴や後遺症リスク、日常生活で気をつけたいポイントを、医療・リハビリの視点からわかりやすく解説していきます。
✅ ラクナ梗塞とは?脳の奥で静かに進む「小さな脳梗塞」
「ラクナ」という言葉、あまり聞きなれないかもしれませんね。これは医学的には「ラクナ梗塞(lacunar infarction)」といい、脳の深い部分にある細い血管が詰まって起こる小さな脳梗塞のことです。
💡 ラクナ梗塞はどこに起きるの?脳の奥の小動脈が関係
ラクナ梗塞は、視床(ししょう)・被殻(ひかく)・大脳脚・脳幹といった脳の奥深い部分で起こることが多いです。これらの部位は、日常の動作や感覚、運動調整に関わる重要な役割を担っています。
そして、ここに血液を送っているのは**直径0.3mm以下の「穿通動脈(せんつうどうみゃく)」**という非常に細い血管。高血圧や糖尿病などによってこの血管がもろくなり、詰まりやすくなってしまうのです。
詰まった範囲が小さく、血流が一部にしか影響しないため、「軽い症状」で済むこともありますが、実はそれが落とし穴です。
💡 軽くても安心できない?「ラクナ梗塞」の怖さとは
たしかに、ラクナ梗塞の多くは手足のしびれや軽い麻痺だけで済むことも多いです。中にはまったく症状が出ない「無症候性ラクナ梗塞」も。
でも問題は、このタイプの脳梗塞が一度起きると、繰り返しやすいこと。しかも、複数回のラクナ梗塞が重なると、「脳の白質(情報の通り道)」が障害され、以下のようなことが起こりやすくなります。
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記憶力や注意力の低下
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歩行がふらつく
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感情がコントロールしにくくなる
つまり、ラクナ梗塞が重なると「脳の老化」を早めるリスクがあるとも言えるのです。
🧑⚕️ 医療者のひとこと
「症状が軽いから放っておく」のは危険です。脳の変化は徐々に現れることが多いため、早めの受診と生活習慣の見直しがカギになります。
✅ ラクナ梗塞で起こる後遺症とは?軽い症状でも油断しないで
「検査でラクナ梗塞と言われたけど、自覚症状がほとんどない…」
「言葉も話せるし、歩けるから大丈夫じゃないの?」
そんなふうに思っていませんか?たしかにラクナ梗塞は目立った麻痺や言語障害が出にくい脳梗塞です。でも、それが「大丈夫」のサインとは限りません。じわじわと進行するタイプの後遺症があるからです。
🔍 気づきにくい「認知機能の低下」
ラクナ梗塞がくり返されると、脳の白質にダメージが蓄積し、認知機能の低下を引き起こす可能性があります。これは、いわゆる「脳のネットワーク」が壊れてしまうイメージです。
最初はちょっとした物忘れや注意力の低下など、加齢のせいかと思うような変化から始まります。でも進行すると、感情のコントロールが効かなくなる・計画的に行動できなくなるといった、「高次脳機能障害」に近い症状が出ることもあります。
特に次のようなサインがあれば、注意が必要です:
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同じ話を何度も繰り返す
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予定を忘れてしまう
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頻繁に物をなくす・置き場所を思い出せない
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イライラや落ち込みが増えた
これらは、**静かに進行する「血管性認知症」**の初期症状であることも。
🧠 歩き方が変わる?「下半身のふらつき」にも注目
もうひとつ、あまり知られていないのが**「歩行障害」**です。ラクナ梗塞によって、脳幹や内包(ないほう)と呼ばれる運動神経の通り道が傷つくと、下半身に軽い麻痺が起こり、足がもつれやすくなることがあります。
特にこんな歩き方の変化は、注意サインです:
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歩幅が狭くなる
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足が前に出にくい
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すり足になる
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よくつまずくようになった
これも「年齢のせいかな」と見過ごされがちですが、転倒→骨折→寝たきりという負の連鎖につながることもあるため、早期のリハビリや理学療法が重要です。
👪 家族の視点からひとこと
症状が軽くても、「最近ちょっと変だな?」という違和感を家族が見逃さないことが大切です。本人が自覚していない変化に気づけるのは、身近にいるご家族だからこそです。
✅ ラクナ梗塞は再発する?進行を防ぐための対策とは
「一度ラクナ梗塞になったら、また起こる可能性はあるの?」
「どうすれば再発を防げるの?」
答えは残念ながら、ラクナ梗塞は再発しやすい脳梗塞のひとつです。ただし、きちんと予防策をとれば、再発や進行をかなり抑えられることもわかっています。
🔍 再発の原因は「生活習慣+血管の老化」
ラクナ梗塞を起こす最大のリスク因子は、以下のような**「血管に負担をかける要因」**です。
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高血圧(最重要!)
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糖尿病
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脂質異常症
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喫煙・過度の飲酒
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運動不足・肥満
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ストレス
これらが重なることで、脳の細い血管がダメージを受け、一度詰まった部位の周辺で再びラクナ梗塞が起きやすくなるのです。
特に高血圧は、**穿通動脈を「じわじわと壊す」**ため、日常的な血圧管理は欠かせません。
💡 再発予防のために今日からできること
では、具体的にどんな対策があるのか。再発防止に効果的とされるのは、以下の6つのポイントです:
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血圧を130/80未満に保つ(医師と相談して調整)
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禁煙を徹底する(脳血管へのダメージが顕著)
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糖尿病・コレステロール値のコントロール
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適度な運動(1日30分のウォーキングなど)
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食生活の改善(塩分・脂質のとりすぎに注意)
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ストレスマネジメント(趣味や睡眠の確保)
薬物療法(抗血小板薬など)と併せて、生活習慣をトータルで整えることがカギになります。
🩺 医療者のひとこと
「一度梗塞を起こした方は、予備軍ではなく“患者さん”です。再発予防の取り組みは“治療の一部”と考え、無理なく続けられる習慣を一緒に探していきましょう。」
✅ 脳梗塞のなかでの「ラクナ梗塞」の位置づけとは?
「そもそも脳梗塞って何種類あるの?」
「ラクナ梗塞って、他の脳梗塞とどう違うの?」
こんな疑問をお持ちの方もいるかもしれません。実は、脳梗塞にはいくつかのタイプがあり、その中でもラクナ梗塞は“比較的軽い”とされることが多いんです。でも、「軽い=安全」というわけではないのがやっかいなところ。
💡 脳梗塞の3つの主なタイプ
脳梗塞は大きく分けると以下の3タイプに分類されます:
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アテローム血栓性脳梗塞
→ 脳の太い血管が動脈硬化で狭くなり、そこに血栓(血のかたまり)が詰まって発症。 -
心原性脳塞栓症
→ 心房細動などの不整脈によって心臓内にできた血栓が、脳へ飛んで詰まる。 -
ラクナ梗塞(穿通枝梗塞)
→ 今回のテーマである、脳の深部にある細い血管が詰まるタイプ。
このうちラクナ梗塞は、比較的発作が軽く済むケースが多い一方で、くり返しやすく、長期的には脳全体の機能低下につながるリスクがあるのが特徴です。
🔍 ラクナ梗塞が「軽症」とされるワケと、その落とし穴
ラクナ梗塞の症状は、よく以下のように説明されます:
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手足がしびれる・動かしづらい
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顔面だけに軽い麻痺が出る
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ろれつが回らないけどすぐ戻る
一見「大事に至らない」ように感じますよね。でも、それが受診のタイミングを遅らせる原因にもなってしまうのです。
しかも、ラクナ梗塞を一度でも経験した方は、脳の血管がもろくなっている証拠。放っておくと、次はもっと広い範囲の脳梗塞(アテローム型など)に進行することもあるため、要注意です。
👀 日常生活との関係
仕事や家事、買い物中など「ちょっと手が動かしにくい」「少ししゃべりづらい」などの違和感に気づいたら、その場で休み、できるだけ早く医療機関を受診してください。その違和感が、最初で最後のサインかもしれません。
✅ まとめ:ラクナ梗塞と向き合うために知っておきたいこと
最後に、この記事のポイントをまとめますね。
📌 ラクナ梗塞の重要ポイント6選
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ラクナ梗塞は、脳の深部にある細い血管が詰まる「小さな脳梗塞」
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症状が軽くても、認知機能や歩行機能にじわじわ影響が出ることがある
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再発しやすく、積み重なると“脳の老化”を早める可能性も
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高血圧・糖尿病・喫煙などの生活習慣が大きく関係している
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自覚がなくても脳にダメージが蓄積していることがある(無症候性)
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予防のカギは、血圧管理・運動・食事など日常のセルフケアにある
🧠 ひとことメッセージ
ラクナ梗塞は、派手な症状こそ少ないですが、**体の奥で静かに進行する“隠れた脅威”**です。気づかないうちに積み重なる脳へのダメージは、10年後、20年後の生活の質に大きく影響してきます。
「ちょっとした変化」や「ささいな違和感」に気づいたら、遠慮せずに専門医へ相談してくださいね。あなたの脳と未来を守るのは、今この瞬間の気づきと行動かもしれません。