パーキンソン病と寿命の関係とは?気になる疑問にやさしくお答えします
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パーキンソン病と寿命の関係とは?気になる疑問にやさしくお答えします
「パーキンソン病と診断されたけれど、これからの人生どうなるんだろう…」
そんなふうに、不安な気持ちを抱えている方も多いのではないでしょうか。特に気になるのが、“寿命”にどのくらい影響があるのかという点ですよね。
この記事では、パーキンソン病と寿命の関係について、できるだけわかりやすく、そして前向きなヒントも交えながらお伝えしていきます。
ご本人はもちろん、ご家族や支援に関わる方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
パーキンソン病とは?寿命に関係する病気なの?
まずは、「パーキンソン病ってどんな病気?」というところから簡単にふり返ってみましょう。
名前はよく聞くけれど、実際にはよくわからない…そんな方も少なくありません。
神経の伝達がうまくいかなくなる病気です
パーキンソン病は、脳の中の「黒質(こくしつ)」という部分でドーパミンという神経伝達物質が減少してしまうことで、体の動きがスムーズにいかなくなる病気です。
主な症状には、手足のふるえ(振戦)、動作の遅れ、筋肉のこわばり、歩きづらさなどが見られます。
この病気は進行性であることが特徴ですが、進み方には個人差があり、10年以上ゆるやかに変化していく方も多くいらっしゃいます。
ただ、神経の病気と聞くと「長生きできないのかな?」と不安になるかもしれません。
でも、最近では薬やリハビリの進歩もあり、寿命への影響は以前よりもずっと軽減されているんです。
寿命に影響はあるの?
実際のところ、パーキンソン病と寿命の関係についてはたびたび研究されています。
結論から言えば、「平均寿命にやや影響する場合もあるが、適切な治療や支援があれば、長く生活できる方も多い」というのが現状です。
昔に比べて治療法が進歩し、薬の種類も増えている今では、パーキンソン病=短命というイメージは少し古くなりつつあるとも言えます。
ただし、病気のタイプや合併症の有無によって経過が変わることもあるので、そこは次のセクションで詳しくご紹介しますね。
実際の寿命はどのくらい?パーキンソン病のタイプと予後の違い
「平均寿命って、実際にはどのくらいなんだろう?」
こうした疑問を持つ方はとても多いですし、それは決して特別なことではありません。
でも、数字だけにとらわれてしまうと、かえって不安が大きくなってしまうことも。だからこそ、少し丁寧に見ていきましょう。
パーキンソン病の寿命に関する統計データ
研究によって多少の差はありますが、一般的にはパーキンソン病と診断された方の平均寿命は、健常な同年代の方よりも数年短いと報告されています。
たとえば、ある海外の大規模研究では、
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診断から10年後の生存率:約70〜80%
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診断から15年後の生存率:約50〜60%
といったデータがあります。
ただしこれはあくまで全体的な傾向であって、個々の体力・合併症の有無・治療内容によって大きく差が出ることも忘れてはいけません。
なかには、20年以上ご自身のペースで生活を続けている方もいらっしゃいます。
タイプ別に見る予後の違い
実は、パーキンソン病にも**いくつかのタイプ(進行の仕方)**があります。
これによって寿命や生活のしやすさも変わってくるんです。
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振戦優位型:ふるえが目立つタイプ。進行が比較的ゆるやかで、寿命への影響も小さい傾向があります。
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姿勢歩行障害型:バランスを崩しやすく、転倒リスクが高くなるタイプ。進行がやや早めで、合併症に注意が必要です。
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混合型:上記の両方の特徴があるタイプ。
転倒による骨折や、誤嚥(ごえん)による肺炎などの二次的な合併症が命に関わる要因になることも多いため、これらをいかに予防するかが大きなカギになります。
寿命を延ばすために大切な3つの視点
パーキンソン病と向き合っていく中で、寿命そのものよりも**“いかに充実した生活を送れるか”**という視点がとても大切です。
そのために欠かせないのが、次の3つのポイント。
1. 継続的な薬物治療と主治医との連携
パーキンソン病の治療は、ドーパミンの補充を中心とした内服薬が基本になります。
症状に合わせて薬の種類や量を細かく調整していくことが大切なので、主治医との密なコミュニケーションが欠かせません。
また、薬の効き目が不安定になる「オン・オフ現象」や、効きすぎて体が勝手に動いてしまう「ジスキネジア」など、副作用とのバランスも重要です。
我慢せず、変化があったときは早めに相談していきましょう。
2. 転倒・誤嚥の予防
寿命に直接関わるのが、「転倒による骨折」と「誤嚥による肺炎」です。
歩行が不安定になってきたら、理学療法士による歩行訓練やバランス練習が効果的。
また、食事の際にむせやすくなったと感じたら、言語聴覚士による嚥下評価や指導を受けてみるのも一つの方法です。
家庭内の安全対策(段差を減らす、滑らないスリッパを使うなど)も、予防の一環としておすすめですよ。
3. リハビリと社会参加で「生活の質」を保つ
パーキンソン病のリハビリは、単なる筋トレではなく、生活を支える力を維持するトレーニングです。
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筋力やバランスの維持
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声や表情のトレーニング
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「やりたいこと」をあきらめない工夫 など
できることが減る不安は誰にでもあります。でも、**“できることを増やす”より、“できることを保つ”**ことが、自信や生活の質につながっていきます。
家族にできるサポートとは?介護のポイントと向き合い方
パーキンソン病は、ゆるやかに進行する病気です。
だからこそ、ご本人だけでなくご家族の関わり方が、日々の生活や寿命にも大きく影響するといわれています。
「どう支えたらいいのかわからない…」
「つい口うるさくなってしまう」
そんなふうに悩む方も多いのですが、それも当然のこと。ここでは、心がけたいポイントを一緒に見ていきましょう。
見守ることと手を出しすぎないことのバランス
パーキンソン病の症状には波があります。朝は動きづらくても、午後にはスムーズに歩けることも。
そんなとき、「できないと思って全部やってあげてしまう」と、ご本人の**“できる力”を奪ってしまう**ことがあります。
逆に、何も手助けしないと、転倒や事故につながるリスクもあるため、「見守る」と「支える」のバランスがとても大切なんですね。
たとえば…
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着替えはご本人のペースに任せて、時間に余裕を持つ
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食事は誤嚥しないよう見守るけれど、自分で食べられる環境を整える
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歩行が不安定なときだけ、そっと手を貸す など
「今できていることを保つサポート」と考えると、関わり方のヒントが見えてきます。
感情のゆらぎに寄り添うことも大事なケア
パーキンソン病の症状は、体の動きだけではありません。
うつ症状や意欲の低下、不安感といった“こころの変化”も起きやすいのが特徴です。
「なんとなく元気がない」「急に怒りっぽくなった」
そんな変化に気づいたときは、「どうしたの?」とやさしく声をかけてみてください。
それだけでも、ご本人にとっては大きな安心につながります。
必要であれば、主治医や精神科・心療内科に相談することもおすすめです。
こころのケアも、立派な治療の一部なんです。
パーキンソン病と寿命のまとめ:大切なのは「どう生きるか」
ここまで、パーキンソン病と寿命の関係についてお話ししてきました。
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パーキンソン病は進行性の神経疾患だが、寿命への影響は以前よりも軽くなっている
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病気のタイプや治療内容、合併症の有無によって予後は異なる
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薬・リハビリ・転倒や誤嚥の予防が、生活の質と寿命を守るカギになる
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家族の見守りと心のケアも、長く元気に暮らすためにとても大切
病気の進行に不安を感じるのは自然なことです。
でも、今は医学も福祉も進化していて、「あきらめないための選択肢」が増えている時代です。
「これからどう過ごしたいか」
「何を大切にしたいか」
そうした気持ちを軸にして、医療者や家族と一緒に考えていけたら、寿命の長さだけでなく、人生そのものがもっと豊かになるはずです。