脳梗塞と頭痛の関係とは?見逃したくないサインと早期対処のポイント
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脳梗塞と頭痛の関係とは?見逃したくないサインと早期対処のポイント
脳梗塞と聞くと、「手足が動かなくなる」「言葉が出にくくなる」といった症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、「頭痛」も大事なサインのひとつだって、ご存じでしたか?
頭がズキズキするだけでは、つい「疲れかな」「天気のせいかも」とやり過ごしてしまいがち。でも、いつもと違う頭痛には、もしかしたら脳の血管トラブルが隠れていることも。
この記事では、脳梗塞と頭痛の関係にスポットを当てて、「どんな頭痛に注意が必要?」「見逃してはいけない症状は?」といった疑問にわかりやすくお答えしていきます。読み終わるころには、万が一のときも焦らず対応できる知識が身につくはずです。
脳梗塞とはどんな病気?
「脳梗塞(のうこうそく)」という言葉、テレビやニュースで耳にする機会は多いですよね。でも、どんなしくみで起こるのか、ちょっと難しそうに感じるかもしれません。
脳の血管が“詰まる”病気
脳梗塞は、かんたんに言うと「脳の血管が詰まって、その先に血液が届かなくなる病気」です。血液には酸素や栄養が含まれていて、脳がそれを受け取ることで正常に働いています。
ところが、血管がなんらかの理由で詰まってしまうと、血流がストップ。すると、その部分の脳細胞がダメージを受けてしまうんです。
3つのタイプがある
脳梗塞には主に以下のような種類があります:
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アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化が進んで、血管の内側にコレステロールなどがたまり、詰まりを起こすタイプ。
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心原性脳塞栓症:心臓でできた血のかたまり(血栓)が脳の血管に流れ込み、詰まってしまうタイプ。
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ラクナ梗塞:細い血管が詰まる、小さな範囲の脳梗塞。高血圧の人に多いとされています。
どのタイプも、放っておくと命にかかわる危険性があります。だからこそ、初期のサインを見逃さないことが大切なんですね。
頭痛は脳梗塞のサインになる?
「頭が痛いと脳梗塞かも…?」と不安になった経験、誰でも一度はあるのではないでしょうか。でも実際のところ、どんな頭痛が脳梗塞と関係しているのかは、意外と知られていないかもしれません。
頭痛がある脳梗塞は少数派。でも油断は禁物
一般的に、脳梗塞では頭痛が起こらないケースの方が多いとされています。特に高齢の方や、高血圧・糖尿病などの持病がある人は、痛みを感じにくい場合も。
ただし、頭痛をともなう脳梗塞もあります。たとえば、次のようなタイプの頭痛には注意が必要です。
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急にズキンとくるような激しい痛み
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今まで感じたことのないような頭の重さ
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片側だけが痛む、感覚がにぶい など
「いつもと違う」「なんとなく変だな」と感じたら、その直感を大事にしてくださいね。
頭痛だけじゃない!一緒に出るサインに注目
頭痛だけでは判断がむずかしいこともあります。ですが、他の症状が同時に出ているときは、脳梗塞のリスクがぐっと高まります。
こんな症状があれば要注意です:
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片方の手や足が動かしにくい、しびれる
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ろれつが回らない、言葉が出づらい
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視界がぼやける、物が二重に見える
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まっすぐ歩けない、ふらつく
これらは、脳のどの部位がダメージを受けているかによって現れるサインです。「ちょっとおかしいな」と思ったら、すぐに医療機関に相談しましょう。
どんな頭痛が危険?脳梗塞につながるサインとは
「頭痛=脳梗塞」とは限らないけれど、なかには見逃してはいけない危険な頭痛もあります。「いつもと違う」と感じる頭痛の中には、実は脳のSOSが隠れていることもあるんです。
ここでは、脳梗塞につながる可能性がある“注意すべき頭痛の特徴”について、もう少し詳しく見ていきましょう。
急に起こる強い頭痛
普段は頭痛なんて感じないのに、ある日突然、ズキーンと激しい痛みが走った——そんなときは要注意です。
脳梗塞の中には、「頭蓋内圧(とうがいないあつ)」が急に変化することによって頭痛が現れるタイプもあります。特に「心原性脳塞栓症」では、血栓が血流に乗って急に血管をふさぐため、瞬間的に強い痛みが出ることがあります。
ポイントは、「じわじわ」ではなく「急に」「これまで経験したことのない」痛み。このような頭痛には、すぐに対応が必要です。
頭痛に片麻痺や言語障害をともなう場合
もうひとつ見逃せないのは、頭痛と一緒に他の神経症状が出ているときです。
たとえば、
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頭が痛いと同時に、片方の手足がしびれて動かしづらい
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うまく話せず、言葉がもつれる
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表情が左右非対称になる(顔面のゆがみ)
といったサインがあるときは、頭痛の背景に脳梗塞がある可能性がグンと高まります。
特に、左脳がダメージを受けると「言葉の障害」が出やすく、右脳の場合は「空間認識や感覚の異常」が目立ちます。こうした“セットで出てくる症状”には、要警戒です。
慢性的な頭痛との違いはどこ?
「もともと偏頭痛持ちなんですけど、それでも心配した方がいいですか?」という質問を受けることがあります。たしかに、日ごろから頭痛に慣れている方は、「またいつものかな」と見過ごしてしまうことも。
では、いつもの慢性頭痛と、脳梗塞に関連する頭痛とは、何が違うのでしょうか?
痛みの出方や場所に変化がある
偏頭痛や緊張型頭痛は、比較的パターンが決まっているもの。痛みの場所(こめかみや後頭部など)や出方(ズキズキ、締めつける感じなど)も自分でわかっていることが多いですよね。
ところが、脳梗塞に関連する頭痛では、
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痛みの出る場所がいつもと違う
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痛みの質(ズキズキ→ズーンと重いなど)が変わった
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持続時間がやけに長い、または短すぎる
といった“いつもと違うサイン”が見られることがあります。「ちょっと変だな」と思ったら、それは脳が出しているヒントかもしれません。
お薬が効かない・効きにくい
普段から市販薬や処方薬で頭痛をコントロールしている方も多いですよね。でも、脳梗塞に伴う頭痛では、いつもの薬が効かない・効きが悪いと感じるケースも。
また、「飲んだらいったん収まったけど、すぐまたぶり返した」というのも、ちょっと不自然。こうした“おかしな反応”も、重要なチェックポイントになります。
脳梗塞と頭痛に気づいたとき、どうすればいい?受診の目安と予防のポイント
「もしかして、これ脳梗塞かも?」そんなふうに思ったとき、あなたならどうしますか?
頭痛があっても「ちょっと休めば治るかな」と様子を見たくなる気持ち、よくわかります。でも、脳梗塞は時間との勝負。1分1秒でも早い対応が、命を守るカギになるんです。
ここでは、頭痛とともに脳梗塞を疑ったときの行動の目安と、日頃からできる予防のヒントをお伝えします。
こんなときは迷わず救急へ
以下のような症状が出た場合は、自己判断せず、すぐに救急車を呼ぶか、救急外来を受診しましょう。
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頭痛が突然激しくなり、今までにない痛みを感じる
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手足のしびれ、麻痺、ろれつの回らなさがある
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意識がぼんやりしたり、反応が鈍くなった
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視界が急におかしくなった(見えにくい・二重に見える など)
特に重要なのが、“頭痛だけじゃない”という点。他の神経症状が同時にある場合は、脳梗塞の可能性がグッと高まります。
「ちょっと様子を見てから…」では手遅れになることも。“念のため”で行くことが、大きな後悔を防ぐんです。
病院での検査・診断の流れ
脳梗塞が疑われた場合、医療機関では主に次のような検査が行われます:
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頭部CTやMRIで、脳の血管や出血の有無を確認
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血液検査や心電図で、心臓や血液の状態もチェック
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必要に応じて、頸動脈エコーや脳血流の検査も実施
こうした検査を経て、脳梗塞の有無やタイプ、今後の治療方針が決まっていきます。
早期に発見できれば、血栓を溶かす薬(t-PAなど)の投与や再発予防の対策も、しっかりと取ることができます。
日頃からできる予防対策とセルフチェック
脳梗塞は、予兆が見逃されやすい病気でもあります。だからこそ、日常的に「少しの変化」に気づける感覚がとても大切です。
血圧・血糖・コレステロールを意識しよう
脳梗塞のリスクを高める「3大要因」と言えば、次の3つ:
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高血圧
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糖尿病
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高コレステロール血症
これらは“サイレントキラー”と呼ばれることもあり、自覚症状が少ないのに脳や血管にじわじわダメージを与えるのが特徴です。
とはいえ、生活習慣をちょっと整えるだけで、リスクをぐっと下げることができます。
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減塩を意識した食事(1日6g未満が目標)
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野菜・海藻・きのこ類など、食物繊維をしっかりとる
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1日30分程度のウォーキングなど、無理のない運動習慣
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睡眠とストレス管理も大切に
完璧じゃなくても大丈夫。できることを「少しずつ」「継続的に」続けることが、予防へのいちばんの近道です。
「FASTチェック」で脳梗塞のサインを見逃さない
いざというときに役立つチェック方法が「FAST(ファスト)」です。
これは、脳梗塞の代表的な症状を簡単に見分けるための頭文字をとったもので、
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F:Face(顔)…顔の片側がゆがんでいないか
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A:Arm(腕)…片腕がうまく上がらない、しびれている
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S:Speech(言葉)…ろれつが回らない、言葉が出づらい
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T:Time(時間)…これらを確認したら、すぐに救急要請!
このチェック方法は、救急現場や医療機関でも使われているシンプルで信頼性のある方法です。
ご自身だけでなく、ご家族のためにも、ぜひ覚えておいてくださいね。
まとめ:頭痛は「脳梗塞のサイン」かもしれない。だからこそ“違和感”を大切に
頭痛は日常的な症状だけに、「いつも通り」と見逃されやすいもの。でも、その裏に脳梗塞のリスクが潜んでいることもあるんです。
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突然の激しい頭痛
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頭痛と一緒に出る神経症状(しびれ、言葉の異常など)
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いつもと違う痛みの質や場所
こうした“違和感”があったら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
そして、日頃からの健康管理とちょっとした気配りが、自分と大切な人の命を守ることにもつながります。
「頭痛くらいで病院に行くなんて…」と思わずに。
**“何もなければ安心、何かあれば早期発見”**という心持ちで、どうぞご自分の身体を大切にしてくださいね。