パーキンソン病の症状とは ~見逃さない初期のサインと進行の理解~
目次
✅ はじめに
「なんとなく歩きにくい」「手が震える」「動きが鈍くなった」……それは加齢のせいだけではなく、パーキンソン病の始まりかもしれません。
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、早期に気づき、医療に繋がることで生活の質(QOL)を保つことができます。この記事では、パーキンソン病の代表的な症状と、その特徴、気づき方、進行による変化を詳しくご紹介します。
第1章|パーキンソン病とは?
● どんな病気?
パーキンソン病は、脳の中にある「黒質(こくしつ)」という部分の神経細胞が減少し、ドーパミンという神経伝達物質が不足することで発症します。
このドーパミンは、体の動きをスムーズに調整する役割を担っており、不足することでさまざまな運動障害が出てきます。
● 発症年齢と頻度
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発症は50〜70代が中心ですが、若年発症(40歳未満)もあります。
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日本では約20万人以上がパーキンソン病と診断されています。
第2章|代表的な4つの運動症状(運動徴候)
1. 安静時振戦(しんせん)
特徴:
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安静にしている時(椅子に座って手を膝に置いているときなど)に、指先や手、足などが細かく震える
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緊張やストレスで悪化しやすく、動かしているときは止まることも多い
気づきの例:
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「字を書くときは止まるが、テレビを見ているときに手が震える」
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「コップを持つときには震えないけど、じっとしていると震える」
2. 筋強剛(きんきょうごう)=筋肉のこわばり
特徴:
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関節を動かすと、歯車のようにカクカクとした抵抗感がある
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体全体が硬く感じられ、動き出しにくくなる
気づきの例:
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「服の袖に腕が通しにくくなった」
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「肩や腰がいつもこわばっていて、マッサージでもとれない」
3. 寡動(かどう)・無動(むどう)=動きが少なくなる
特徴:
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動作の開始が遅くなる(運動開始困難)
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全体的な動きがゆっくりになる
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表情が乏しくなり「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」と呼ばれることも
気づきの例:
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「歩くときに腕を振らなくなった」
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「話しかけても反応が遅い」「笑顔が減った」
4. 姿勢反射障害(バランスの崩れ)
特徴:
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バランスを崩したときに、とっさに足が出せない
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転倒しやすくなり、後ろに倒れることが多い
気づきの例:
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「人にぶつかったときに踏ん張れず、尻もちをついた」
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「小さな段差でつまずきやすくなった」
第3章|非運動症状にも注意を
パーキンソン病は「動きの病気」と思われがちですが、実は**運動以外の症状(非運動症状)**も多く見られます。
主な非運動症状
症状 | 特徴と影響 |
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自律神経症状 | 便秘、排尿障害、起立性低血圧など |
睡眠障害 | レム睡眠行動障害(寝言・夢の中で暴れるなど) |
嗅覚低下 | 早期からみられる。香水や味の違いに気づきにくくなる |
うつ・不安 | 感情のコントロールが難しくなる |
認知機能の低下 | 注意力や記憶力が徐々に低下するケースも |
嗅覚の低下は発症の数年前から出ることがあり、初期の重要なサインです。
第4章|進行による変化と日常生活への影響
パーキンソン病は進行性の病気です。ただし、進行のスピードや症状の現れ方には個人差があります。
進行に伴って現れる変化:
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歩幅が狭くなり、小刻み歩行になる
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前屈姿勢(前かがみ)になり、歩きにくくなる
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声が小さく、単調になり、話しづらくなる
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食事や着替えなどの日常動作が困難に
🧾【図解】
パーキンソン病の進行ステージ(ホーン・ヤール分類)のイメージ図
✅ まとめ|「変化」に気づくことが早期発見のカギ
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パーキンソン病の初期症状は、加齢や疲れと間違われがちです。
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「なんとなく動きづらい」「手が震える」など、小さな変化を放置せず、早めに神経内科や専門医に相談しましょう。
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適切な治療(薬物療法やリハビリ)により、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。
📋 おまけ:気づきチェックリスト
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□ 手足が震えることがある(安静時)
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□ 歩くときに腕を振らなくなった
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□ 表情が少なくなった、声が小さいと言われる
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□ 便秘が続いている
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□ 睡眠中に暴れる・寝言が多い
▶ 2つ以上当てはまる場合は、神経内科での受診をおすすめします。