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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【脳卒中を予防する】

2025/01/17

【脳卒中の疫学について】

1. 脳卒中の種類と割合

脳卒中は主に以下の3つに分類されます:

  1. 脳梗塞(約70~80%)
    ・脳の血流が遮断され、酸素供給が不足することで発生。
    ・原因:動脈硬化、心原性(心房細動など)。
  2. 脳出血(約10~20%)
    ・脳内での血管破裂による出血が原因。
    ・高血圧が主因。
  3. くも膜下出血(約5~10%)
    ・脳を覆う膜の下に出血が起こる。
    ・主に動脈瘤破裂が原因。

2. 世界の脳卒中の疫学

発生率と有病率

  • 年間約1,200万人が新たに脳卒中を発症(2020年データ)。
  • 世界全体で約1億人が脳卒中の後遺症を抱える。
  • 高所得国では減少傾向、低・中所得国では増加傾向にある。

死亡率

  • 脳卒中は、心疾患に次ぐ世界第2位の死因
  • 年間約600万人が脳卒中で死亡。

地域差

  • アジア地域(特に中国、インド)では、脳卒中による死亡率が高い。
  • アフリカや南米でも発症率が増加中。

3. 日本の脳卒中の疫学

発症率

  • 日本では年間約28万人が脳卒中を発症。
  • 過去20年間で脳卒中による死亡率は低下しているが、有病率は依然として高い。

性別・年齢差

  • 性別
    ・男性の発症率は女性より高いが、高齢女性のくも膜下出血のリスクは高い。
  • 年齢
    ・発症のピークは60~70代だが、40~50代の発症も増加中。

死亡率

  • 2021年の統計では、脳卒中は日本の死因第4位(約7万人が死亡)。

再発率

  • 一度脳卒中を発症した患者の約30%が5年以内に再発

4. リスク因子

脳卒中のリスク因子は以下の通りです:

非修正可能な因子

  • 加齢:年齢が上がるにつれて発症率が高くなる。
  • 性別:男性のリスクが高い(ただし、女性は高齢になるとリスク増加)。
  • 遺伝的要因:家族歴がある場合、リスクが上昇。

修正可能な因子

  • 高血圧:脳出血、脳梗塞両方の主要因。
  • 心疾患:心房細動、心筋梗塞など。
  • 糖尿病:動脈硬化の進行を促進。
  • 脂質異常症:コレステロール増加による動脈硬化。
  • 喫煙:動脈硬化や血栓形成を促進。
  • 飲酒:過度なアルコール摂取はくも膜下出血リスクを高める。
  • 肥満:高血圧や糖尿病と関連。

5. 脳卒中の予防

一次予防(発症予防)

  • 血圧管理(正常値120/80 mmHg未満を目指す)。
  • 禁煙、適度な運動、バランスの良い食事。
  • 心房細動の早期発見と治療(抗凝固療法)。

二次予防(再発予防)

  • 抗血小板薬や抗凝固薬の使用。
  • 食事制限(減塩、脂質制限)。
  • 定期的な健康チェック。

6. 脳卒中の経済的・社会的影響

  • 脳卒中は医療費と介護費の増加につながる。
  • 日本では年間約1.8兆円が脳卒中関連の医療費として消費されている(2020年推計)。
  • 後遺症が原因で、長期間のリハビリや社会復帰困難なケースが多い。

脳卒中の発症を減少させるためには、予防医学と早期診断が鍵です。また、医療技術の進歩により急性期治療やリハビリテーションが進化しており、予後の改善が期待されています。

 

 

【脳卒中の予防で大切なこと】

 

1. 一次予防(脳卒中の発症を防ぐ)

 

(1)血圧の管理

  • 高血圧は脳卒中(特に脳出血や脳梗塞)の最も重要なリスク因子です。
  • 目標値:120/80 mmHg未満(高齢者や個別の条件による柔軟な設定も必要)。
  • 対策
    • 減塩(1日6g未満が推奨される)。
    • 定期的な血圧測定と医師の指導。
    • 降圧薬の適切な服用(必要に応じて)。

(2)糖尿病の管理

  • 糖尿病は動脈硬化を進行させ、脳卒中のリスクを高めます。
  • 対策
    • HbA1cを6.5%以下に維持(個別条件により異なる)。
    • バランスの取れた食事(血糖値を急激に上げない食事)。
    • 適度な運動と体重管理。

(3)脂質異常症の管理

  • 高コレステロールや高トリグリセリドは動脈硬化を促進します。
  • 目標値(日本動脈硬化学会ガイドライン):
    • LDLコレステロール:120 mg/dL未満(リスクが高い場合はさらに低く設定)。
    • HDLコレステロール:40 mg/dL以上。
  • 対策
    • 健康的な食事(魚、野菜、果物、オリーブオイルを含む)。
    • 必要に応じてスタチンなどの薬物療法を活用。

(4)心房細動の管理

  • 心房細動は脳梗塞(特に心原性脳梗塞)の主要な原因です。
  • 対策
    • 心房細動が確認された場合、抗凝固薬(ワーファリン、DOACなど)を使用する。
    • 不整脈の早期発見のために定期的な健康診断を受ける。

(5)生活習慣の改善

  • 禁煙
    • 喫煙は動脈硬化と血栓形成を促進します。
    • 禁煙により脳卒中リスクを約50%低下させることが可能。
  • 適度な飲酒
    • アルコールは適量なら血流改善に寄与するが、過剰摂取はリスクを増加させます。
    • 目安:男性で1日20g未満、女性で10g未満の純アルコール。
  • 運動習慣
    • 1日30分程度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を週5日以上行う。
  • 体重管理
    • BMI 18.5~24.9の範囲を維持。
    • 内臓脂肪型肥満を避ける(ウエスト周囲径:男性85cm未満、女性90cm未満)。

(6)ストレス管理

  • 慢性的なストレスは血圧上昇や動脈硬化を引き起こします。
  • 対策
    • リラクゼーション(深呼吸、瞑想、趣味を楽しむ)。
    • 十分な睡眠を確保(6~8時間が適切)。

2. 二次予防(脳卒中の再発を防ぐ)

(1)抗血小板療法

  • 脳梗塞既往歴がある場合、アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬を使用して再発を予防します。

(2)抗凝固療法

  • 心房細動や心原性脳梗塞の既往がある場合、ワーファリンやDOAC(ダビガトラン、アピキサバンなど)を使用します。

(3)生活習慣とリスク因子の厳格な管理

  • 再発のリスクが高いため、血圧や糖尿病、脂質異常症をより厳密に管理します。
  • 食事療法や適度な運動を継続し、ストレスを減らすことが重要です。

(4)定期的な医療チェック

  • 再発リスクを軽減するために、医師による定期的な評価を受けます。

3. 食事のポイント(地中海式食事が推奨される理由)

  • 野菜、果物、全粒穀物を豊富に摂取する。
  • 魚(特に青魚)を積極的に摂取し、不飽和脂肪酸を摂る。
  • 飽和脂肪酸(バター、赤身肉)の摂取を制限する。
  • ナッツ類やオリーブオイルを活用し、抗酸化作用を高める。

4. 地域や家庭での取り組み

  • 健康診断の定期的な受診
    ・地域の健康診断や脳ドックを活用して、リスク因子を早期発見。
  • 家庭での血圧測定
    ・家庭血圧を記録し、異常値があれば医師に相談する。

5. 日本における具体的な取り組み

  • 日本脳卒中学会や自治体による啓発活動(減塩運動や生活習慣改善プログラム)。
  • 保健指導や地域リハビリテーションによる予防活動の推進。

脳卒中は適切な予防対策を講じることで、発症や再発を大幅に減少させることが可能です。特に生活習慣や基礎疾患をコントロールすることが、健康寿命を延ばす鍵となります。