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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病の分類について】

2024/12/17

【パーキンソン病とは】

パーキンソン病(Parkinson’s Disease)は、脳の神経系に影響を及ぼす進行性の神経変性疾患です。特に中脳の黒質(こくしつ)という部分にある神経細胞が徐々に減少し、この細胞が作る神経伝達物質であるドーパミンが不足することで、運動機能やその他の機能に様々な症状が現れます。

主な特徴・症状

パーキンソン病の症状は大きく分けて以下の2種類に分類されます。

1. 運動症状

・振戦(しんせん): 安静時に体が震える(手足や顎がよく震える)。

・筋固縮(きんこしゅく): 筋肉がこわばることで動きがぎこちなくなる。

・無動(むどう)・寡動(かどう): 動きが遅くなったり、小さくなったりする。

・姿勢反射障害: バランスを崩しやすく、転倒しやすい。

 

2. 非運動症状

・自律神経症状: 便秘、低血圧、発汗異常。

・精神症状: うつ、不安、認知機能障害、幻覚。

・睡眠障害: 睡眠の質の低下、レム睡眠行動障害。

・嗅覚障害: 病気の初期段階でよくみられる。


原因

パーキンソン病の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています:

・遺伝的要因: 家族歴がある場合、リスクがやや高まる。

・環境的要因: 農薬や重金属への曝露が影響する可能性。

・加齢: 年齢を重ねることで発症リスクが増加。


診断

パーキンソン病は主に臨床診断によって確定されます。診断には以下が含まれます:

・症状の観察(運動症状が主に対象)。

・画像診断(MRIやDaTスキャンなど): 他の疾患を除外するために使用される。

・治療反応: ドーパミン補充薬(レボドパ)への反応を評価。


治療法

現在、パーキンソン病を完全に治す方法はありませんが、症状をコントロールするための治療が行われます。

1. 薬物療法

・レボドパ(ドーパミン前駆体): 症状を改善する最も効果的な薬。

・ドーパミンアゴニスト: ドーパミン受容体を刺激する薬。

・MAO-B阻害薬: ドーパミンの分解を抑える。

 

2. 外科治療

・脳深部刺激療法(DBS): 電極を脳内に埋め込み、運動症状を軽減。

 

3. リハビリテーション

・運動療法: 筋力や柔軟性を維持し、転倒リスクを軽減。

・音楽療法・リズム運動: 歩行の安定を助ける。

・スピーチセラピー: 声のかすれや嚥下障害に対処。


生活の工夫

・バランスを保つための環境整備(滑りにくい床、転倒防止策)。

・規則正しい食事と運動: 腸の動きを促進し、便秘を予防。

・家族や介護者の支援: 精神的なサポートが重要。


パーキンソン病は個人差が大きい病気で、治療法も患者ごとに異なります。症状が見られた場合、早期診断と適切な治療が進行を遅らせ、生活の質を向上させるのに役立ちます。

 

【パーキンソン病の分類について】

パーキンソン病は、病因や臨床像に基づいていくつかの分類が行われています。主に以下のような視点で分類されます。

1. 病因に基づく分類

(1) 特発性パーキンソン病

・最も一般的なタイプで、原因がはっきりしないもの。

・ドーパミン産生細胞の減少が主な要因。

・全体の約80%を占める。

 

(2) 二次性パーキンソニズム

他の疾患や外的要因によってパーキンソン病に類似した症状が出るもの。

・薬剤性: 抗精神病薬、制吐薬などドーパミンを抑制する薬剤の影響。

・血管性: 脳卒中や慢性虚血などによるもの。

・毒性・環境要因: 一部の農薬や重金属中毒など。

・外傷性: 頭部外傷により発症するケース(例:ボクサーによる反復外傷)。

 

(3) 遺伝性パーキンソン病

・家族性で遺伝子変異が確認されるもの(PARK遺伝子の異常など)。

・比較的若年で発症(40歳以下が多い)。

・常染色体優性遺伝型や劣性遺伝型がある。


2. 臨床症状に基づく分類

パーキンソン病は、進行のスピードや症状の現れ方によっていくつかのタイプに分けられます。

(1) 振戦優位型

・安静時振戦(手足や顎の震え)が目立つタイプ。

・筋固縮や無動が軽度。

・症状が比較的進行しにくい傾向。

 

(2) 無動・寡動型

・動きが鈍くなる、動き出しに時間がかかる。

・筋固縮が目立つ。

・日常生活に大きな影響を及ぼしやすい。

 

(3) 姿勢反射障害型

・早期から転倒や姿勢保持の障害が現れるタイプ。

・症状の進行が比較的早い。


3. 病理学的・進行度に基づく分類

パーキンソン病は進行段階に応じて分類され、以下のスケールがよく使われます。

(1) ホーエン・ヤール(Hoehn and Yahr)の分類

・ステージ1: 片側の症状のみ(初期段階)。

・ステージ2: 両側に症状が現れるが、バランスは保てる。

・ステージ3: 姿勢反射障害があり、転倒しやすいが、日常生活は自立可能。

・ステージ4: 自力での移動が制限され、日常生活に介助が必要。

・ステージ5: 車椅子または寝たきりの状態。

 

(2) BRAAKステージング

・脳内のレビー小体(異常タンパク質)の広がりに基づいて進行度を分類。

・初期では嗅球や脳幹に異常が集中し、進行に伴い大脳皮質へ広がる。

 


4. 他疾患との関連による分類

(1) 純粋なパーキンソン病

・運動症状が主体で、非運動症状が軽度。

 

(2) パーキンソン症候群を伴う疾患

他の神経変性疾患と関連するケースで、以下が含まれます:

・進行性核上性麻痺(PSP): 早期から転倒や眼球運動障害が特徴。

・多系統萎縮症(MSA): 自律神経障害や小脳症状を伴う。

・レビー小体型認知症(DLB): 認知症と幻視が顕著。

・皮質基底核変性症(CBD): 片側性の動作障害や失行が特徴。

 


まとめ

パーキンソン病は原因、症状、進行度、関連疾患によってさまざまに分類されます。この分類は、治療方針を決定し、患者の予後を予測する上で非常に重要です。特に二次性パーキンソニズムや他の神経変性疾患との鑑別診断が求められるため、専門医による正確な診断が必要です。

 

【パーキンソン病のリハビリテーション】

パーキンソン病のリハビリテーションは、進行する運動機能や非運動機能の障害を軽減し、患者の生活の質(QOL)を維持・向上させるために非常に重要です。リハビリは薬物療法や外科的治療と併用され、患者個々の症状や生活環境に応じたプログラムが必要です。

リハビリテーションの目的

1.運動機能の改善・維持
筋力、柔軟性、バランス、姿勢を保ち、転倒や拘縮を予防。

2.日常生活動作(ADL)の改善
動作の工夫や補助具の利用により自立を促進。

3.非運動症状への対策
呼吸機能、嚥下、発話などの改善や精神的サポート。

4.社会参加の促進
趣味や仕事を継続できるよう支援。

5.患者と家族の心理的負担軽減
病気への理解を深め、日常生活の工夫を共有。

 


リハビリの主なアプローチ

1. 運動療法

運動機能の低下を防ぎ、症状を緩和するための基礎です。

(1)ストレッチと柔軟性トレーニング

・筋固縮や拘縮の予防・改善を目的。

・大胸筋、ハムストリングス、ふくらはぎなどを重点的に伸ばす。

・ゆっくりとした動きで可動域を広げる。

 

(2)筋力トレーニング

・筋力の低下を防ぎ、日常動作をサポート。

・中強度の負荷でスクワット、プランク、ヒップリフトなどを行う。

・重りを使った運動やレジスタンストレーニングも適応。

 

(3)バランストレーニング

・転倒リスクを軽減。

・片足立ち、歩行中の方向転換練習、平衡台での練習。

・手すりや介助を利用し、安全に行う。

 

(4)歩行訓練

歩行の改善に特化したトレーニング。

・リズムを意識した歩行(メトロノームや音楽を利用)。

・歩幅を意識したトレーニング(大股での歩行を練習)。

・並進的な動作(足を引きずらない、動きを止めない)。

・**フリーズ現象(動きが止まる症状)**が出た場合の対処法を練習。

 


2. 作業療法(ADL訓練)

日常生活で必要な動作を練習し、生活の質を向上させる訓練です。

具体例:

・ボタンを留める、箸やスプーンの操作、靴紐を結ぶ。

・椅子から立ち上がる、トイレの利用などの練習。

・補助具の使用指導(衣服の着脱補助器具や食事用具)。

 

工夫:

・体幹を安定させた動作。

・動作を分解して一つずつ実施。

 


3. 言語療法

パーキンソン病に伴う発話や嚥下障害に対処します。

発話訓練:

・声の大きさを強調するトレーニング(LSVT LOUDなど)。

・呼吸と発声を調和させる練習。

 

嚥下訓練:

・飲み込みやすい食事形態の指導。

・舌や咽頭の筋肉を強化する運動。

 


4. 呼吸療法

進行による胸郭の固縮や姿勢異常で呼吸機能が低下するため、呼吸筋を鍛える訓練を行います。

・深呼吸訓練: 横隔膜を意識した呼吸法。

・口すぼめ呼吸: 呼気をゆっくり行い、呼吸効率を上げる。

 


5. 認知機能・精神面へのアプローチ

認知機能の低下やうつ、不安を緩和します。

・脳トレ: パズルやゲーム、計算問題を通じて脳を活性化。

・心理サポート: セラピーやカウンセリングの利用。

・音楽療法: 音楽を活用し、リズム感や気分の改善を図る。

 


6. グループ療法

同じ病気を持つ患者と共にリハビリを行うことで社会的な孤立感を軽減し、動機づけを高めます。

・軽い体操やリズム運動。

・コミュニケーションを交えた活動。


リハビリの注意点

1.安全第一: 転倒や過度の負担を避ける。

2.個別対応: 症状や進行度、患者の目標に応じたプログラム。

3.継続性: 長期間のリハビリが必要なため、無理のない計画。

4.家族の協力: 日常生活でのサポートや動機づけが重要。

 


パーキンソン病のリハビリは、単なる運動療法にとどまらず、生活の質の向上と患者の自立支援を目指す包括的なアプローチです。専門家の指導を受けながら、患者に合った方法で継続することが成功の鍵となります。