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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病とオンオフ現象】

2024/12/03

【パーキンソン病のオンオフ現象とは】

パーキンソン病の「オンオフ現象」とは、患者が薬(主にレボドパやドパミン作動薬)に反応して症状が軽減する「オン状態」と、薬の効果が切れて症状が悪化する「オフ状態」が周期的に繰り返される現象を指します。この現象は、パーキンソン病が進行するにつれて多くの患者に見られる特徴的な症状の一つです。

オンオフ現象の特徴

1.オン状態

・薬が効いている間、動きがスムーズになり、震え(振戦)や筋肉のこわばり(筋強剛)が軽減します。

・患者は日常生活を比較的スムーズに行える状態です。

 

2.オフ状態

・薬の効果が切れると、動作が鈍くなり(寡動・無動)、震えや筋強剛が再び現れます。

・この状態では、歩行や身体のコントロールが非常に困難になることがあります。

 

原因

オンオフ現象は、以下の要因が絡み合って発生します:

・レボドパの効果時間の短縮: 病気が進行すると、脳のドパミン産生がさらに低下し、レボドパの作用時間が短くなる。

・薬物動態の変化: 薬が体内で代謝・吸収される速度が変化する。

・神経細胞の変性: ドパミンを放出・調節する能力が減少する。

 

対策

1.薬の調整

・レボドパの投与頻度を増やす。

・長時間作用型の薬剤(徐放剤)を使用する。

・ドパミン作動薬やCOMT阻害薬を併用して効果を持続させる。

 

2.外科的治療

・脳深部刺激療法(DBS): オフ状態を減らし、薬の効果を安定させることが可能。

 

3.食事と生活習慣の見直し

・高たんぱく食がレボドパの吸収を妨げるため、食事のタイミングに注意する。

・適切な運動療法で筋力と可動域を維持する。

パーキンソン病の進行や症状には個人差があるため、適切な治療は医師やリハビリ専門家と相談して調整することが重要です。

 

 

【なぜオンとオフが起きてしまうのか】

パーキンソン病の「オンオフ現象」が起こる原因は、主に脳内のドパミンの動態や薬物の作用の変化によるものです。以下に、詳しく解説します。

 

1. 脳内のドパミン調節機能の低下

パーキンソン病では、ドパミンを作り出す神経細胞(黒質-線条体のドパミンニューロン)が破壊されます。病気が進行すると、脳が自然にドパミンを産生して調節する能力が失われ、薬(レボドパ)に依存する状態になります。この結果、以下の現象が起こります:

・ドパミンの供給が不安定に
脳内のドパミンレベルが急激に変化するため、オンとオフの差が顕著になります。特に、薬の効果が切れるとオフ状態に陥りやすくなります。

 

2. レボドパの作用時間の短縮

病気が進行するにつれ、レボドパの作用時間が短縮し、効果が不安定になります。これには以下の要因が関与しています:

・薬の吸収と代謝の変化
レボドパは消化管から吸収されて血中に入り、脳に届きますが、進行期の患者では腸の運動機能が低下して薬の吸収が不規則になることがあります。また、レボドパは血液中で迅速に代謝されるため、効果が切れるまでの時間(半減期)が短くなります。

・神経細胞のキャパシティの低下
ドパミンを蓄える能力が低下しているため、薬が効き始めても効果が持続しにくくなります。

 

3. 脳内受容体の過敏性と不均一性

パーキンソン病が進行すると、ドパミン受容体の感受性が変化します。

・ドパミン受容体の過敏性
ドパミンが不足している状態が続くため、脳内のドパミン受容体が過敏になります。この結果、薬が投与されたときに過剰な反応(オン状態)が起こりやすくなります。

・ドパミン受容体の分布の不均一性
パーキンソン病の進行に伴い、脳内の受容体ネットワークが不均一になるため、同じ薬でも異なる反応が引き起こされます。

 

4. 服薬タイミングのズレと胃腸機能の影響

レボドパの吸収に影響を与える要因もオンオフ現象の一因です。

・食事の影響
レボドパはたんぱく質と競合して吸収されるため、高たんぱく食(肉や乳製品など)を摂ると吸収が遅れることがあります。これにより、薬の効果発現が遅れる(遅発性オン)または効果が弱くなることがあります。

・腸の運動低下(胃排出遅延)
パーキンソン病患者では、腸の運動が低下しているため、薬が腸で吸収されるまでに時間がかかり、オンの開始が遅れる場合があります。

 

5. 長期的な薬の使用による「ウェアリングオフ」現象

レボドパを長期間使用していると、薬の効果が次第に短時間しか持続しなくなる現象(ウェアリングオフ)が生じます。

・早期:スムーズなオンオフ
病気の初期では、薬の効果が安定しており、オンとオフの差が少ないです。

・進行期:オンオフの周期が短くなる
薬の効果が短時間で切れるため、オンオフの切り替えが頻繁になり、患者の生活の質が大きく影響を受けます。

 

まとめ

オンオフ現象は、以下の複数の要因が絡み合って起こります:

1.脳内のドパミン不足と調節機能の喪失

2.レボドパの効果の不安定化(吸収や代謝の影響)

3.ドパミン受容体の過敏性と不均一な反応

4.胃腸機能の影響(食事や腸の運動低下)

5.長期的な薬の使用による耐性や効果時間の短縮

治療は、薬の種類・量・タイミングの調整や、外科的療法(脳深部刺激療法など)を組み合わせることで対応します。リハビリを併用することで症状の安定も期待できます。

 

 

【パーキンソン病のリハビリテーション】

パーキンソン病のリハビリテーションは、運動機能の維持・改善、転倒予防、日常生活動作(ADL)の向上を目指して行われます。病気の進行に伴い、筋強剛(こわばり)、運動緩慢(動作が遅い)、姿勢反射障害(バランスの低下)などの症状が現れるため、個別の症状や生活環境に合わせたリハビリが重要です。

 

リハビリテーションの目的

1.身体機能の維持と改善

・筋力、柔軟性、可動域、バランス能力を保つ。

 

2.歩行能力の向上

・歩幅が狭くなる、すくみ足(足が動かない)などの歩行障害を改善。

 

3.転倒リスクの軽減

・姿勢バランスや反応能力を高める。

 

4.日常生活動作(ADL)の向上

・着替え、食事、入浴などの日常生活を自立して行えるよう支援。

 

5.精神的な健康維持

・運動を通じてうつや無気力感を軽減し、社会参加を促進。

 

具体的なリハビリ内容

1. 運動療法

柔軟性向上のためのストレッチ

・筋強剛を和らげ、動作の自由度を高める。

・上肢・下肢のストレッチ(肩甲骨、股関節の可動域拡大)

・背中や体幹のストレッチで姿勢改善。

 

筋力トレーニング

・筋力低下や運動緩慢の予防。

・スクワットや階段昇降運動で下肢の筋力を強化。

・ダンベルやセラバンドを使った上肢の筋力トレーニング。

 

バランストレーニング

・姿勢反射障害や転倒予防。

・片足立ちやバランスボードを使った運動。

・障害物をまたぐ練習や体重移動の練習。

 

有酸素運動

・持久力や心肺機能の改善。

・ウォーキング、エアロバイク、ダンス。

 

2. 歩行訓練

・目的: 歩行能力の向上と転倒予防。

歩幅を広げ、リズミカルな歩行を目指す。

・メトロノームを使ったリズム歩行訓練。

・手押し車や杖を用いた歩行補助。

・すくみ足に対して、体重移動を意識した練習。

3. 動作訓練

・日常生活の中で困難な動作を練習。

・ベッドからの起き上がりや椅子からの立ち上がり練習。

・「フリーズ現象」(動きが突然止まる)への対処法(足踏みやリズム運動を利用)。

 

4. 呼吸訓練

・パーキンソン病では、姿勢の悪化により胸郭の動きが制限され、呼吸が浅くなることがあります。

・深呼吸、腹式呼吸の練習。

・笛吹きや風船を膨らませる運動で呼吸筋を強化。

 

5. 姿勢矯正

・目的: 猫背や前傾姿勢を改善し、バランス能力を向上させる。

壁に背をつけて正しい姿勢を確認する練習。

・骨盤を立てる体幹トレーニング。

・器具(棒やポール)を使った矯正運動。

 

6. 感覚統合トレーニング

・脳の感覚処理能力を高め、運動指令をスムーズに行えるようにします。

・音楽やリズムを活用したダンスやエクササイズ。

・視覚的なガイド(床のラインなど)を用いた歩行訓練。

 

リハビリテーションの工夫

1.リズムを活用する

・音楽やメトロノームを使うことで動作がスムーズになることがあります。

 

2.モチベーション維持

・グループセッションや趣味活動を通じて患者の意欲を引き出します。

 

3.家族や介護者との連携

・日常生活での安全確保や介助方法を共有。

 

4.転倒リスクの軽減

・家の中の環境整備(段差や滑りやすい床の改善)。

 

効果的なリハビリのポイント

1.早期からの介入

・初期段階から運動療法を取り入れることで、進行を遅らせることが可能。

 

2.継続性

・毎日少しずつでも継続して行うことで効果が持続。

 

3.医療チームとの連携

・理学療法士、作業療法士、言語療法士、医師の連携が重要。

 

4.患者個人に合わせたプログラム

・病気の進行度や生活状況に応じたリハビリを提案。

 

最新のリハビリ手法

・VR(仮想現実)リハビリ:
バーチャル空間でのトレーニングにより、歩行やバランスの改善を図る。

・ロボット支援リハビリ:
ロボットスーツや歩行補助機器を使用して運動能力を向上。

・音楽療法:
好きな音楽を使いながら歩行や動作をスムーズにするアプローチ。

リハビリテーションは、パーキンソン病の進行を完全に止めることはできませんが、患者の生活の質(QOL)を向上させ、社会参加を支える重要な手段です。