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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病と性格の変化について】

2024/11/29

【パーキンソン病とは】

パーキンソン病は、中枢神経系に影響を与える進行性の神経変性疾患です。特に脳の**黒質(こくしつ)**という部位でドーパミンを産生する神経細胞が減少することで発症します。この神経細胞の減少が、運動や姿勢の調整に必要な信号伝達を阻害し、さまざまな運動症状や非運動症状を引き起こします。

 

発症の原因

パーキンソン病の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

1.遺伝的要因

・一部のケースでは特定の遺伝子変異が関与していることが判明しています。

・ただし、大多数の患者は遺伝的な影響が強くない「孤発性」のタイプです。

 

2.環境的要因

・農薬や化学物質への暴露がリスク因子として挙げられています。

・頭部外傷やストレスも関連が示唆されています。

 

3.老化

・加齢はパーキンソン病の最大のリスク因子です。

・年齢とともにドーパミン神経の自然な減少が進行します。

 

4.その他の要因

・酸化ストレスやミトコンドリア機能障害などが関与しているとされています。

 

パーキンソン病の症状

運動症状

パーキンソン病の主な症状は、運動機能の障害に関連しています。

1.安静時振戦(あんせいじしんせん)

・手や足が何もしていないときに震える。

・「ピルローリング振戦」(丸薬を転がすような動き)が典型的。

 

2.筋固縮(きんこしゅく)

・筋肉が硬直して、関節の動きが滑らかでなくなる。

 

3.動作緩慢(どうさかんまん)

・動きが遅くなる。特に、動作を始める際に時間がかかる。

・表情が乏しくなる(仮面様顔貌)。

 

4.姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)

・バランスが崩れやすく、転倒しやすい。

・歩行時には前傾姿勢で小刻みな歩き方(すくみ足)になる。

 

非運動症状

運動以外の症状も進行とともに顕著になります。

・自律神経症状: 便秘、発汗異常、起立性低血圧など。

・精神症状: 抑うつ、不安、幻覚、認知症。

・睡眠障害: 不眠、レム睡眠行動障害。

・感覚異常: 嗅覚低下や痛み。

 

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断は主に臨床的診察に基づきます。

1.診察

・運動症状(振戦、動作緩慢、筋固縮)の評価。

・神経学的診断基準(MDS診断基準など)を用いる。

 

2.画像検査

・脳MRIやSPECT(ドーパミントランスポーターイメージング)で、他の疾患を除外するために使用。

 

3.レスポンステスト

・レボドパ(L-ドーパ)治療による症状の改善を確認する。

 

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療は、症状を緩和し生活の質を向上させることを目的としています。

薬物療法

1.レボドパ(L-ドーパ)

・ドーパミンの不足を補う最も効果的な薬。

・長期使用で効果の波(wearing-off現象)が出ることがある。

 

2.ドーパミンアゴニスト

・ドーパミン受容体を刺激する薬。初期治療や併用に使われる。

 

3.MAO-B阻害薬

・ドーパミンの分解を抑制し、効果を延長。

 

4.COMT阻害薬

・レボドパの作用を補助。

 

5.抗コリン薬

・振戦に効果があるが、高齢者には注意が必要。

 

リハビリテーション

・運動療法、理学療法、作業療法が重要。

・姿勢、バランス、筋力、歩行能力の改善を図る。

 

手術療法

1.脳深部刺激療法(DBS)

・脳内の特定部位を電気刺激することで症状を抑える。

・レボドパ治療が効果的な患者に適応される。

 

2.その他の手術

・外科的に神経回路を調整する治療(パラジウス切除など)。

 

予後と経過

・パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療とリハビリにより長期間にわたって症状をコントロールできます。

・ただし、症状は徐々に進行し、非運動症状が生活の質に大きな影響を与えるようになります。

 

患者と家族へのサポート

・心理的支援: 病気の理解を深めるカウンセリングや支援グループ。

・日常生活の調整: 家庭内の環境改善や介護支援サービスの利用。

・教育: 病気や治療に関する情報を提供し、患者自身の自己管理を支援。

 

 

 

【パーキンソン病による性格の変化】

パーキンソン病は、運動症状だけでなく、性格や行動の変化を引き起こすことがあります。これらの変化は、病気そのものの進行や、治療による副作用、心理的な影響など、さまざまな要因に関連しています。

パーキンソン病で見られる性格や行動の変化

1.感情の変化

抑うつ(うつ状態)

・パーキンソン病患者の約40~50%に見られると言われています。

・ドーパミンやセロトニンの減少が原因の一つ。

・意欲の低下、悲しみ、不安が増すことがあ

る。

 

不安障害

・特に病気の進行や将来への不安が強くなる。

・パニック障害や社会不安障害も発症することがある。

 

情動の平坦化

・感情表現が乏しくなる(仮面様顔貌が影響することも)。

・周囲から「感情が冷たい」「無関心」と誤解されることがある。

 

2. 衝動性や行動の異常

衝動制御障害(Impulse Control Disorder, ICD)

・治療薬(ドーパミンアゴニスト)の副作用として、衝動的な行動が現れることがある。

・例: ギャンブル依存、過食、買い物依存、性的衝動の増加。

・本人や家族に大きな影響を及ぼすため、早期発見が重要。

 

3. 性格の変化

意欲の低下(アパシー)

・動機づけが低下し、以前は楽しんでいた活動への興味を失う。

・これは抑うつとは異なり、感情的な悲しみが伴わないのが特徴。

頑固さや固執

・思考の柔軟性が失われ、特定の考えや行動に固執する傾向が強くなる。

・例: 毎日のルーチンに強くこだわる。

社交性の低下

・病気の進行や運動症状による自信喪失で、他者との交流を避けるようになる。

 

4. 認知や精神的変化

軽度認知障害(MCI)や認知症の発症

・初期から注意力や計画力の低下が見られることがある。

・認知症が進行すると、混乱や妄想、幻覚が現れる場合も。

幻覚や妄想

・特に進行期に見られ、治療薬(レボドパなど)の副作用やドーパミン不足が原因となる。

・例: 「人がいないのに誰かがいると感じる」といった幻覚。

 

5. 病気に伴う心理的影響

ストレスと怒り

・自分の体が思うように動かない苛立ちや、不自由な生活に対する怒りを感じることがある。

・9家族や介助者に対して攻撃的になる場合も。

 

孤独感や無力感

・病気による社会的孤立や役割喪失が、孤独感を増大させる。

 

性格変化の原因

1. 脳の変化

ドーパミンの減少

・ドーパミンは運動機能だけでなく、感情や行動の調整にも関与している。

・ドーパミン不足は抑うつや意欲低下に直結する。

 

脳の他の部位への影響

・前頭葉や辺縁系(感情や判断を司る)の機能低下が性格や行動の変化に関与。

 

2. 治療の副作用

ドーパミンアゴニスト

・衝動制御障害や行動の異常が起こりやすい。

・服薬内容の調整が必要な場合がある。

 

レボドパ(L-ドーパ)

・長期使用により幻覚や妄想が現れることがある。

 

3. 心理的要因

・病気の診断によるショック。

・症状の進行に伴う喪失感(身体機能、社会的役割など)。

 

性格変化への対応策

医療的対応

1.薬物治療の見直し

・衝動制御障害や幻覚が出た場合、薬の調整が必要。

・必要に応じて抗精神病薬を使用。

 

2.心理的サポート

・カウンセリングや精神科医のサポートを受ける。

・抑うつや不安症状に対して適切な治療を行う。

 

3.認知行動療法(CBT)

・ネガティブな思考を改善する心理療法。

 

生活の工夫

1.規則正しい生活

・毎日のスケジュールを定め、日常生活にリズムを持たせる。

 

2.家族や介護者のサポート

・患者の変化に共感し、非批判的な姿勢を保つ。

・家族も負担軽減のための支援を受けることが重要。

 

3.社会活動への参加

・趣味活動やリハビリプログラムに参加することで孤立を防ぐ。

 

4.環境の整備

・ストレスを減らし、リラックスできる空間を作る。

 

性格変化を理解するために

性格や行動の変化は、病気そのものの影響だけでなく、治療や心理的要因も複雑に絡み合っています。患者本人の行動が家族にとって理解しづらい場合でも、変化の背景にある医学的・心理的要因を理解することが重要です。

 

 

【パーキンソン病は怒りやすくなる!?】

パーキンソン病の患者が怒りっぽくなることがあります。これは、病気そのものの影響や、心理的な要因、治療の副作用などが複雑に絡み合った結果として起こります。

 

怒りっぽくなる主な原因

1. 脳の変化による影響

ドーパミン不足

・ドーパミンは感情の調整にも関与しています。これが不足すると、イライラや衝動的な行動が増加する可能性があります。

 

前頭葉の機能低下

・前頭葉は感情を抑える役割を持っています。パーキンソン病ではこの機能が低下し、怒りやすくなることがあります。

 

2. 心理的な要因

病気への不安やストレス

・症状の進行や将来の不確実性に対する不安から、感情が不安定になることがあります。

挫折感や喪失感

・自分の身体が思うように動かないことや、役割喪失に対する苛立ちが怒りとして現れることがあります。

孤独感

・他者とのコミュニケーション不足が原因で、感情のコントロールが難しくなることがあります。

 

3. 治療薬の副作用

ドーパミンアゴニストやレボドパの影響

・一部の薬は感情の変化を引き起こし、衝動的な行動や怒りっぽさを助長することがあります。

 

4. 非運動症状の影響

睡眠不足や疲労

・睡眠障害や体の疲労感が原因で、イライラしやすくなる場合があります。

抑うつや不安症状

・抑うつ状態の患者がイライラや怒りを表出することがあります。

 

怒りやすさに対する対応策

1. 医療的対応

薬の調整

・感情の不安定さが薬の副作用によるものであれば、医師と相談し薬の種類や量を調整することが有効です。

 

精神的ケア

・必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬が処方されることがあります。

 

2. 家庭での工夫

共感的な対応

・患者が怒りを感じたとき、批判せずにその感情を受け入れる姿勢を持つことが重要です。

 

ストレスの軽減

・家庭内でリラックスできる環境を整えることで、感情の爆発を減らせます。

 

適切なタイミングでの会話

・怒りを感じているときには無理に話し合いをせず、落ち着いてから話すことを心がけます。

 

3. 心理的な支援

カウンセリング

・専門家による心理療法やカウンセリングは、患者の感情を整理する助けになります。

ストレス管理技法

・瞑想や深呼吸などのリラクゼーション法を学び、感情を落ち着ける練習をすることが効果的です。

 

4. リハビリや運動

身体活動

・軽い運動やリハビリは、ストレス発散や気分の安定に寄与します。

 

音楽療法やアートセラピー

・芸術活動を通じて感情を表現することが、怒りを和らげる手助けになることがあります。

 

家族や介護者へのアドバイス

怒りの背景を理解する

・怒りっぽさは病気の一部であり、患者自身が意図しているわけではないことを認識することが大切です。

自身のストレス管理

・介護者自身もサポートを受けることで、対応に余裕を持つことができます(介護者向けの相談窓口や支援グループを利用)。