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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病の症状と進行度】

2024/11/26

【パーキンソン病の症状とは】

パーキンソン病(Parkinson’s disease)は、主に中枢神経系に影響を及ぼす進行性の神経変性疾患で、運動機能やその他の身体機能に関連するさまざまな症状を引き起こします。以下にその症状を詳しく説明します。

 

主な運動症状(運動障害)

1.安静時振戦(あんせいじしんせん)

・手足、特に手の指や手首が震える。何もしていない状態(安静時)に顕著。

・「丸薬をひねるような」動きと表現されることもある。

 

2.筋固縮(きんこしゅく)

・筋肉が硬直し、動きがぎこちなくなる。

・肘や膝を動かす際に「歯車様」の抵抗が感じられることが特徴。

 

3.動作緩慢(どうさかんまん)

・動きが遅くなる(運動の開始や終了に時間がかかる)。

・顔の表情が乏しくなる(仮面様顔貌)。

 

4.姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)

・バランスが崩れやすく、転倒しやすい。

・歩行時に体が前傾し、小刻みな歩行(すくみ足)になる。

 

非運動症状

1.自律神経症状

・便秘や排尿障害、発汗異常。

・血圧低下(特に立ち上がったときの起立性低血圧)。

 

2.睡眠障害

・不眠や日中の過剰な眠気。

・レム睡眠行動障害(夢を見ているときに激しく動くなど)。

 

3.精神症状

・抑うつ、不安、無関心(アパシー)。

・幻覚や妄想(特に病気が進行すると見られる)。

 

4.認知機能障害

・注意力や記憶力の低下。

・後期には認知症に進展する場合もある。

 

5.感覚異常

・嗅覚の低下(早期に現れることが多い)。

・痛みや不快感を感じやすくなることも。

 

症状の進行

・パーキンソン病の症状は徐々に進行します。初期には片側の手や足に症状が出ることが多いですが、進行とともに両側に広がります。

・運動症状が主体となりますが、非運動症状が患者の生活の質に大きな影響を与えることもあります。

 

原因と治療

・原因: 主に黒質という脳の部位でドーパミン産生細胞が減少することによります。遺伝的要因や環境的要因が関与していると考えられています。

・治療: 薬物療法(L-ドーパやドーパミン作動薬)、理学療法(リハビリ)、手術(脳深部刺激療法)などが用いられます。

 

 

【パーキンソン病の進行度について】

パーキンソン病の進行度は、症状の重さや範囲に応じて段階的に分類されます。最も広く使われているのがホーエン・ヤール(Hoehn & Yahr)分類で、病気の進行を5つのステージに分けています。また、他の指標として**統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)**もありますが、ここでは主にホーエン・ヤール分類を中心に詳しく説明します。

 

ホーエン・ヤール(Hoehn & Yahr)分類

ステージ 1(初期段階)

特徴:

・片側のみに運動症状(振戦、筋固縮、動作緩慢)が現れる。

・例えば、右手の震えや右足の硬直など。

・日常生活への影響はほぼないが、患者本人が軽微な異常を感じることがある。

 

ステージ 2(両側性症状の出現)

特徴:

・症状が両側に広がる。

・姿勢や歩行にわずかな異常が見られることもある。

・日常生活はまだ独立して行える。

 

ステージ 3(中期段階)

特徴:

・姿勢反射障害が出現し、バランスが崩れやすくなる。

・転倒のリスクが高まるが、自力での歩行や作業は可能。

・日常生活の一部に介助が必要になることもある。

・「中等度障害」とされる段階。

 

ステージ 4(進行期)

特徴:

・重度の運動障害があり、歩行や立ち上がりが困難。

・車椅子や歩行補助具が必要となる場合がある。

・日常生活の多くに介助が必要。

 

ステージ 5(最重度)

特徴:

・ベッド上での生活が中心になり、ほぼ全介助が必要。

・運動症状以外にも、認知機能低下や幻覚、認知症の併発が見られることが多い。

・病気の最終段階とされる。

 

進行に伴う非運動症状の増加

病気の進行に応じて、非運動症状が顕著になることがあります。
特に以下の症状が患者や家族に負担をかけることがあります。

・睡眠障害(中期以降で増加)

・認知機能障害や精神症状(後期に顕著)

・自律神経障害(便秘、起立性低血圧など)

 

進行の速度

進行の速さには個人差があります。

・症状がゆっくり進行する人もいれば、比較的早く進行する人もいます。

・初期症状が片側の振戦に限られている場合、進行が遅いことが多いと言われています。

・若年発症型では進行が緩やかである一方、高齢発症型では早い進行が見られる傾向があります。

 

進行管理と治療の目標

・薬物療法:
症状の緩和を目的にドーパミン補充療法やMAO-B阻害薬などが使用される。

・リハビリテーション:
体力維持、姿勢矯正、筋力強化を目的とした運動療法が推奨される。
特にバランストレーニングや歩行練習が重要。

・心理社会的支援:
精神的サポートや家族ケアの提供が進行期には特に必要。

 

 

【パーキンソン病の進行度とリハビリテーションについて】

パーキンソン病のリハビリテーションは、進行ステージに応じて目標や方法が異なります。以下に、各ステージで推奨されるリハビリ方法を詳しく説明します。

 

ステージ1(初期段階)

リハビリの目標

・運動能力を維持し、症状の進行を遅らせる。

・日常生活での活動量を増やし、患者の意欲を高める。

 

主なリハビリ方法

1.柔軟性を高めるエクササイズ

・ストレッチング(特に関節の可動域を広げる)。

・肩、背中、腰のストレッチを中心に行う。

 

2.筋力トレーニング

・軽い負荷での筋力強化(特に下肢の筋力維持)。

・例: 椅子からの立ち上がり練習やスクワット。

 

3.有酸素運動

・ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング。

・目安: 1回20~30分、週3~5回。

 

4.姿勢矯正

・鏡を使いながら、正しい姿勢を意識して立つ・歩く練習。

・軽いヨガやピラティスも効果的。

 

ステージ2(両側性症状の出現)

リハビリの目標

・症状のコントロールと動作の効率化を図る。

・バランスや姿勢の異常を最小限に抑える。

 

主なリハビリ方法

1.バランストレーニング

・片足立ちや、足を前後に広げた姿勢での体幹バランス練習。

・平行棒を利用した歩行練習。

 

2.スムーズな動作の練習

・座る、立つ、方向転換などの日常動作の練習を反復。

・動作がぎこちない場合、声を出してリズムを取る方法も有効。

 

3.リズム運動

・音楽やメトロノームを使用してリズムに合わせて歩行。

・大きな歩幅を意識しながら歩く練習(「Big Steps」トレーニング)。

 

4.関節可動域の維持

・肩や股関節を中心に可動域を広げるストレッチを強化。

 

ステージ3(中期段階)

リハビリの目標

・バランスを保ちながら安全に動けるようにする。

・転倒予防と筋力の維持。

 

主なリハビリ方法

1.転倒予防の訓練

・段差や障害物を越える練習。

・後退歩行や側方歩行など、さまざまな方向への歩行練習。

 

2.歩行補助具の使用

・必要に応じて杖やウォーカーを使用し、歩行の安定性を高める。

 

3.体幹強化運動

・スイスボールを使ったバランス運動。

・寝た姿勢や座位での体幹トレーニング。

 

4.協調運動の改善

・手と足を同時に動かす運動(例: 手を叩きながら歩く)。

 

ステージ4(進行期)

リハビリの目標

・動作を補助しながら、患者の残存能力を最大限に活用する。

・座位や立位での安全性を確保。

 

主なリハビリ方法

1.ベッド上での運動

・関節の拘縮を防ぐためのパッシブストレッチ。

・上肢や下肢の軽い抵抗運動。

 

2.安全な移動練習

・ベッドから車椅子への移乗練習。

・介助を受けながらの立ち上がりや歩行。

 

3.筋力維持のための運動

・重力を利用した軽い筋力トレーニング(例: 足踏み運動)。

 

4.呼吸機能の強化

・深呼吸や吹き戻し(吹くおもちゃ)などを使い、肺活量を維持。

 

ステージ5(最重度)

リハビリの目標

・寝たきりの状態での二次障害(褥瘡、肺炎、拘縮)を防ぐ。

・QOL(生活の質)の維持と向上。

 

主なリハビリ方法

1.体位変換

・定期的に寝る姿勢を変え、褥瘡を予防。

・クッションやポジショニングを工夫して体圧を分散。

 

2.関節可動域の維持

・理学療法士が行うパッシブレンジ運動(ROM)。

・特に股関節や肩関節の拘縮を防ぐ。

 

3.呼吸と嚥下の訓練

・呼吸筋を刺激する運動や発声練習。

・嚥下障害のリスクがある場合は、食事指導や口腔リハビリ。

 

4.感覚刺激

・音楽療法やタッチケアで、精神的安定を図る。

 

リハビリの実施時のポイント

・患者に合わせたプログラム: 個々の症状や体力レベルに応じて調整する。

・安全第一: 転倒やケガを防ぐため、常に安全性を確保。

・モチベーションの維持: 達成感を得られる活動や楽しいエクササイズを取り入れる。

・家族との連携: 家族が日常生活で適切にサポートできるよう、教育やアドバイスを行う。