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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病と似ている病気】

2024/11/08

【パーキンソン病とは】

パーキンソン病は、主に中脳の黒質(こくしつ)と呼ばれる部分での神経細胞の減少によって引き起こされる神経変性疾患です。この黒質にあるドーパミンを作る神経細胞が減少することで、運動機能や非運動機能に様々な症状が現れます。

 

パーキンソン病の主な症状

1.振戦(しんせん)

手や足などが震える「安静時振戦」が典型的です。特に、リラックスしているときに振るえが生じます。

 

2.筋固縮(きんこしゅく)

筋肉が硬くなり、関節の動きがスムーズでなくなります。これは、動作を始めたり止めたりする際に動きがぎこちなくなる原因になります。

 

3.無動・動作緩慢

動作が遅くなる、動き始めに時間がかかるなどの症状です。

 

4.姿勢反射障害

バランスが崩れやすくなり、転倒のリスクが高まります。

 

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています:

・遺伝的要因:家族歴のあるケースがあり、いくつかの遺伝子がリスク因子として挙げられています。

・環境要因:農薬や特定の化学物質への長期間の曝露がリスクを高める可能性があります。

・老化:年齢とともに発症リスクが高まるため、老化も一因とされています。

 

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断には、患者の症状と病歴の詳細な評価が重要です。神経学的なテストや画像診断(MRI、CTなど)も行われますが、パーキンソン病を確定するための特異的な検査はありません。

 

パーキンソン病の治療

1.薬物療法

症状を緩和するためにドーパミンを補充する薬(例:レボドパ)やドーパミンの作用を高める薬が使用されます。

 

2.リハビリテーション

運動機能の維持や改善を目的として、物理療法や作業療法が行われます。これは患者の生活の質を向上させるために重要です。

 

3.外科的治療

重症例では、脳深部刺激療法(DBS)などの手術が行われることもあります。

 

日常生活での工夫

・転倒予防:バランスが取りにくくなるため、歩行器などを利用し、転倒リスクを下げます。

・食事の工夫:嚥下困難が生じることがあるため、食事の際には柔らかい食品や水分補給がしやすい工夫が必要です。

・日々のリズムを整える:症状の進行を遅らせるために、規則正しい生活を心がけ、ストレスを減らすことが推奨されます。

パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療とリハビリテーションにより、生活の質を保ちながら症状をコントロールすることが可能です。

 

 

【パーキンソン病と似ている病気】

パーキンソン病と似ている病気には、同様の運動症状(振戦、筋固縮、無動など)を呈する「パーキンソン症候群(パーキンソニズム)」と呼ばれる一群の疾患が含まれます。パーキンソン症候群は神経系の病気や障害が原因で、パーキンソン病に似た症状が現れることが特徴です。以下は、パーキンソン病に似た主要な疾患とその特徴です。

 

1.多系統萎縮症(MSA: Multiple System Atrophy)

多系統萎縮症は、脳の複数の部位が萎縮して、運動機能や自律神経に障害が生じる進行性の神経変性疾患です。以下の特徴があります:

・症状:パーキンソン病と似た筋固縮や振戦に加え、自律神経症状(低血圧、排尿障害、便秘など)が顕著です。また、体幹の不安定さや小脳失調(歩行がふらつく、動きが滑らかでなくなる)がみられることもあります。

・反応:パーキンソン病に使われるレボドパ(ドーパミン補充薬)への反応が不十分なことが多く、薬の効果が出にくいことが特徴です。

・診断:MRIや自律神経機能検査で脳の異常(特に小脳や脳幹の萎縮)を確認し、他の症状と合わせて診断します。

 

2. 進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)

進行性核上性麻痺は、脳幹に異常が生じることで、パーキンソン病様の症状に加え、特異的な眼球運動障害が現れる疾患です。

・症状:筋固縮、無動、姿勢反射障害(バランスが悪くなり転倒しやすい)に加えて、眼球運動障害(特に上下方向の視線が動かしにくくなる)や早期の認知障害が特徴です。

・反応:レボドパへの反応がほとんどなく、薬物療法の効果は限られます。

・診断:眼球運動障害やMRIによる脳の異常を確認し、臨床的に診断します。

 

3. 大脳皮質基底核変性症(CBD: Corticobasal Degeneration)

大脳皮質基底核変性症は、大脳皮質と基底核が変性することで、片側の手足が動かしにくくなることが特徴です。

・症状:一側性の筋固縮や不随意運動(ミオクローヌス)、手が自分の意図と関係なく動いてしまう「エイリアンハンド症候群」、認知障害などが見られます。

・反応:レボドパへの反応がほとんどなく、筋固縮や無動に対する薬物効果は限られています。

・診断:症状の片側性やMRIの画像所見、臨床経過などに基づき診断されます。

 

4. レビー小体型認知症(DLB: Dementia with Lewy Bodies)

レビー小体型認知症は、認知症の一種で、レビー小体という異常タンパクが脳内に蓄積することで発症します。

・症状:パーキンソン病様の運動症状(振戦、筋固縮、動作緩慢)とともに、認知機能の変動(注意力や判断力の低下)、幻視(はっきりとした幻覚が見える)が特徴です。

・反応:パーキンソン病の薬に対する反応は個人差があり、一部の症状に改善が見られることもありますが、薬の副作用として認知機能が悪化する場合もあるため、慎重な管理が必要です。

・診断:臨床的に特徴的な症状(特に幻視)や、SPECTやPETでドーパミントランスポーターの減少が確認される場合に診断されます。

 

5. 二次性パーキンソニズム

二次性パーキンソニズムは、薬剤や他の疾患によって引き起こされるパーキンソン症状です。

・薬剤性パーキンソニズム:特定の薬剤(特に抗精神病薬や制吐薬)の副作用で筋固縮や動作緩慢が現れます。薬を中止または減量することで症状が改善する場合もあります。

・血管性パーキンソニズム:脳梗塞などの血管障害により、下半身の筋固縮や動作緩慢が生じます。レボドパはほとんど効果がなく、脳の血管性変化がMRIで確認されることがあります。

 

まとめ

パーキンソン病に似た疾患は、症状が類似しているものの、それぞれ異なる部位の変性や障害が原因で発症します。そのため、薬剤の効果が異なったり、特異的な症状が現れる点で異なります。これらの疾患は、専門的な診断と治療が必要で、画像診断や神経学的検査を通じて確定診断が行われます。

 

 

【パーキンソンニズムとら専門医について】

 

パーキンソニズムの診断と治療には、専門の医師による評価が重要です。主に以下の専門医が担当します。

 

1.神経内科医

神経内科医はパーキンソン病やパーキンソン症候群に詳しい専門医で、診断や治療を担当します。神経内科医は患者の症状や病歴、神経学的検査を通じて、どのタイプのパーキンソニズムかを見極め、治療法を決定します。また、画像診断(MRI、SPECT、PETなど)も活用し、他の疾患との区別を行います。

 

2.脳神経外科医

重症例や薬物治療で十分な効果が得られない場合、脳深部刺激療法(DBS)などの手術を検討することがあります。この場合、手術を担当する脳神経外科医が治療に加わります。DBSは主にパーキンソン病患者に行われますが、他のパーキンソニズムに対しても適応が検討される場合があります。

 

3.リハビリテーション医

パーキンソニズムにおいては、運動機能の維持と改善が重要です。リハビリテーション医は、リハビリ計画の立案や日常生活のサポート、嚥下障害の評価・改善において重要な役割を果たします。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と連携し、患者が安全に生活できるよう支援します。

 

4.精神科医

レビー小体型認知症や進行性核上性麻痺など、一部のパーキンソニズムでは認知機能の低下や幻覚、精神症状が現れることがあります。精神科医は、こうした症状の評価と管理を担当し、必要に応じて薬物療法やカウンセリングを行います。

 

専門医を探す際のポイント

・パーキンソン病センター神経難病センターなど、パーキンソン病やパーキンソン症候群に特化した施設では、複数の専門医がチームで診療に当たります。

・大学病院や総合病院の神経内科では、複雑なパーキンソニズムの診断や最新の治療法へのアクセスが可能です。

 

 

【パーキンソンニズムのリハビリについて】

パーキンソニズムのリハビリテーションは、運動機能を維持・向上し、日常生活の質(QOL)を改善することを目指します。運動機能や姿勢、バランスに影響を及ぼす症状が多いため、理学療法、作業療法、言語療法など、多角的なアプローチが求められます。以下は、主なリハビリテーションの内容と方法です。

 

1. 理学療法

理学療法は、パーキンソニズムの主な症状である筋固縮、振戦、動作緩慢を軽減し、歩行やバランスを改善することを目標としています。

・ストレッチング:筋固縮や関節の動きの悪化を予防するために、全身の筋肉を対象としたストレッチを行います。特に、関節の柔軟性や姿勢を保つためのストレッチが重要です。

・筋力トレーニング:筋力の低下を防ぎ、身体を支える力を向上させることで、転倒防止にもつながります。下肢を中心に、体幹筋や腕の筋力強化も行います。

・歩行練習:歩幅が小さくなる、すくみ足が現れるなどの歩行障害に対して、歩幅を広く、リズミカルに歩く練習を行います。歩行のテンポを整えるため、メトロノームや音楽を使ったリズムトレーニングが効果的です。

 

2. バランストレーニング

パーキンソニズムでは姿勢反射障害が現れることが多いため、バランス機能を鍛えるトレーニングが重要です。

・立位バランストレーニング:片足立ちや足を前後に並べた姿勢でのバランス保持など、重心移動の練習を行います。

・体幹の安定化:転倒を防ぐため、体幹を安定させる練習を行います。ヨガやピラティスなどを取り入れることで、体幹筋の強化が期待されます。

 

3. 作業療法

作業療法は、日常生活における動作や手の器用さを改善するためのトレーニングです。

・日常生活動作(ADL)の練習:着替え、食事、入浴など、日常生活に必要な動作の練習を行います。例えば、衣類を着る練習や食器を安全に扱う練習など、動作がスムーズに行えるようサポートします。

・手の機能訓練:振戦や筋固縮で手が動かしにくくなるため、指先の運動や器具を用いた練習で、指の器用さや細かい作業能力を向上させます。

 

4. 言語聴覚療法

言語聴覚療法は、嚥下障害や発声障害の改善を目指すリハビリテーションです。

・嚥下リハビリ:嚥下機能を維持するためのトレーニングとして、アイスマッサージやスーラオグリッタルエクササイズ、嚥下体操などが行われます。

・発声練習:声が小さくなりやすいため、大きな声を出す練習や呼吸法の改善を行います。リーダーボイステクニックなど、意識的に声量を上げるトレーニングが有効です。

 

5. 呼吸リハビリ

呼吸機能の低下が起きやすいため、呼吸を深くし、酸素の取り込みを助けるリハビリも行います。

・呼吸法の練習:腹式呼吸や深呼吸を取り入れ、肺活量の維持や呼吸筋の強化を図ります。深い呼吸を意識することで、体内の酸素供給が改善され、活動のしやすさが向上します。

・発声と呼吸の統合訓練:言語療法と併用して、息をしっかり吐きながら発声する練習を行います。

 

6. リズムや音楽を活用したリハビリ

・パーキンソニズムではリズムに合わせることで動作がスムーズに行えることがあるため、音楽やメトロノームを活用した運動や歩行トレーニングが有効です。例えば、音楽のリズムに合わせて足を上げたり、歩いたりすることで、歩行の安定性が向上します。

 

7. 生活環境の調整

転倒リスクを軽減するために、生活環境の改善もリハビリの一環です。

・家のバリアフリー化:手すりの設置や段差の解消、滑り止めマットの使用などを検討します。

・介助具の活用:杖や歩行器などの介助具を使って、日常生活の安全性を高めます。適切な介助具の選択には専門家のアドバイスが重要です。

パーキンソニズムのリハビリは、患者の症状や進行状況に応じてカスタマイズされるべきであり、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門家と連携し、適切なプログラムを続けることが重要です。