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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病の特徴的な顔つき】

2024/10/25

【パーキンソン病の特徴について】

パーキンソン病は、神経変性疾患の一つで、主に運動機能に影響を与える病気です。パーキンソン病の主な特徴には、以下のようなものがあります:

 

主な特徴

1.振戦(しんせん)
手や足が震える症状で、特に安静時に現れやすい。振戦はパーキンソン病の初期症状としてよく見られます。

 

2.筋強剛(きんきょうごう)
筋肉が硬くなり、関節の動きが滑らかでなくなる。これにより、動作がぎこちなくなったり、痛みを伴うことがあります。

 

3.無動・動作緩慢
動作が遅くなり、日常生活での行動が時間がかかるようになる。無動は、動き始めることが難しくなる症状です。

 

4.姿勢反射障害
バランスを取るのが難しくなり、転倒しやすくなることがあります。姿勢の維持が難しくなり、前かがみになることが多いです。

 

5.歩行障害
小さな歩幅で歩き始める「すくみ足」や、歩行が急に止まることがある。これにより、転倒のリスクが高まります。

 

6.非運動症状
パーキンソン病は運動症状だけでなく、以下のような非運動症状もよく見られます:

・うつ状態や不安

・睡眠障害

・便秘

・嗅覚障害(匂いを感じにくくなる)

この病気は進行性で、徐々に症状が悪化しますが、薬物治療やリハビリテーションを通じて症状を管理することが可能です。

 

 

【パーキンソン病患者の顔つきについて】

パーキンソン病患者の特徴的な顔つきは、「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」と呼ばれます。これは、表情を作る筋肉の動きが制限されるため、顔の表情が乏しくなる状態です。具体的には以下のような特徴が見られます。

 

仮面用顔貌の特徴

1.表情が乏しい(無表情)
顔の筋肉が硬直して動きにくくなるため、喜怒哀楽などの表情があまり現れません。これにより、感情が伝わりにくくなります。

 

2.まばたきの減少
通常のまばたきの回数が減少し、目が見開かれたような印象を与えることがあります。まばたきが少ないと、目が乾きやすくなることもあります。

 

3.口元の動きが少ない
口周りの筋肉も影響を受けるため、口が開いたままであったり、唇の動きが鈍くなることがあります。その結果、話す際の表情や発音が不明瞭になることもあります。

 

4.よだれが増える
口をしっかり閉じることが難しくなるため、唾液が溜まりやすく、よだれが増えることがあります。

これらの顔つきの変化は、パーキンソン病の運動症状の一環として現れるもので、他の運動症状(筋強剛や無動)と同様、治療やリハビリによってある程度改善できることがあります。

 

 

【なぜ顔つきが変化するのか】

パーキンソン病における顔つきの変化(仮面様顔貌)は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの不足が主な原因です。ドーパミンは、運動を制御する役割を担う神経細胞間のシグナルを伝達します。パーキンソン病では、このドーパミンを生成する黒質という脳の一部の神経細胞が徐々に失われるため、全身の運動制御が障害され、顔の筋肉も影響を受けます。

顔つきの変化が生じる具体的なメカニズムを以下に説明します。

顔つきのメカニズム

1.表情筋の運動制御の障害

パーキンソン病は、全身の筋肉に影響を及ぼすだけでなく、顔の表情筋にも影響を与えます。表情筋は、表情を作るための細かい動きをする筋肉ですが、ドーパミンが不足すると筋肉を滑らかに動かす能力が低下します。これにより、**筋強剛(筋肉の硬直)**が顔面にも現れ、笑ったり、怒ったりといった表情を作ることが難しくなります。

 

2. 無動・動作緩慢による表情の減少

パーキンソン病の典型的な症状である無動(動作を開始するのが難しい状態)や動作緩慢(動作が遅くなる状態)は、表情筋の動きにも影響します。これにより、自然な表情の変化が減少し、顔が無表情になります。無動は、特に「動き始めること」に対する困難さを引き起こすため、表情の変化が少なくなり、常に同じような顔つきになることが多いです。

 

3. 自律神経系の異常

パーキンソン病では、自律神経系にも影響を及ぼします。自律神経は、無意識に行われる機能(心拍、消化、涙や唾液の分泌など)を制御します。これが障害されることで、唾液分泌の増加や、まばたきが減少することが見られます。これが結果的に、口元の緩みや目が乾燥する原因となり、顔の印象が変わる要因の一つとなります。

 

4. ドーパミン以外の神経伝達物質の影響

ドーパミンだけでなく、セロトニンノルエピネフリンなどの他の神経伝達物質もパーキンソン病では影響を受けます。これらの物質は、感情や動機付けに関与しており、これらのシステムの障害が、患者の感情表現の減少や顔つきの変化に寄与する可能性があります。

 

5. 筋力低下

パーキンソン病では、筋力低下も徐々に進行します。顔の筋肉の弱化が進むと、特に口周りの筋肉が影響を受け、口を閉じることが難しくなり、よだれが増えることがあります。このように、筋力の低下も顔つきの変化に関わります。

パーキンソン病の進行によるこれらの要因が複合的に影響し、特徴的な「仮面様顔貌」が生じるのです。

 

 

【パーキンソン病の表情のリハビリ】

パーキンソン病による表情筋の運動障害を改善するためのリハビリテーションは、表情をつくる筋肉を鍛えると同時に、運動機能全般を向上させることを目的としています。表情筋トレーニングだけでなく、全身のリハビリや姿勢・呼吸の改善も重要な要素です。以下に、具体的なリハビリ方法を詳しく紹介します。

 

リハビリについて

1. 表情筋トレーニング

表情筋は、使わないと萎縮しやすいため、意識的に動かすトレーニングが必要です。表情を作る筋肉を動かすことで、筋力や柔軟性を高めることができます。具体的には以下のようなトレーニングがあります。

・笑顔の練習
鏡を見ながら、頬や口角を上げて笑顔を作る練習をします。ゆっくりと大きく動かすことで筋肉を鍛えます。笑顔を作る練習は、日常生活でも意識的に取り入れると効果的です。

・口の動きのトレーニング
口を大きく開けたり、唇を尖らせたりする動きを繰り返します。「イ」「ウ」と発声しながら、口の形を大きく動かすことも効果的です。これにより、口元の筋力が向上し、発話やよだれの管理にも役立ちます。

・眉の上下運動
眉を上げたり下げたりすることで、額の筋肉を動かします。この動きは額や目の周りの筋肉を鍛え、まばたきの改善や表情の柔軟性を高める効果があります。

 

2. 発声・発音練習(音声リハビリテーション)

パーキンソン病では、声が小さくなる(低声症)や、発音が不明瞭になることがあります。発声練習を通じて、口元や喉の筋肉を強化し、表情筋の改善にもつながります。

・朗読や歌唱
声を出すことが、口元の筋肉を鍛える上で有効です。特に、大きな声で発音を意識しながら朗読することや、好きな歌を歌うことで、声帯や表情筋を同時に鍛えることができます。

・声のボリュームを意識した発声練習
大きな声で短い文章を読む練習や、1つの音を長く発声するトレーニングを行います。これにより、発声に関わる筋肉が活性化され、顔の筋肉の動きがスムーズになります。

 

3. 呼吸法の改善

呼吸法の改善は、表情筋や発声に直接影響を与えます。深い呼吸や横隔膜呼吸を意識することで、体全体の筋肉がリラックスし、顔の筋肉の緊張も和らぎます。

・腹式呼吸
腹式呼吸を行うことで、横隔膜を使った深い呼吸が可能になり、全身の緊張を緩和します。ゆっくりと息を吸い込み、ゆっくりと吐き出すことを繰り返すことで、呼吸が整い、顔の筋肉もリラックスします。

・息を吹きかける運動
風船を膨らませたり、ストローで水を吹く運動を行うことで、口周りの筋肉と同時に呼吸筋を鍛えることができます。

 

4. 全身の運動療法

表情筋だけでなく、全身の運動療法も表情改善に寄与します。姿勢の改善や柔軟性の向上が、顔の動きにも好影響を与えるからです。

・ストレッチ
首や肩周りのストレッチを行うことで、顔と連動する筋肉をほぐし、表情筋の動きを良くします。特に、首の前面や側面を意識的にストレッチすると、顔全体の筋肉のこわばりが解消されます。

・姿勢改善運動
姿勢が悪いと、顔の筋肉も引っ張られて硬直することが多いです。正しい姿勢を維持することで、顔や首の筋肉がリラックスしやすくなり、表情筋もスムーズに働きます。

 

5. リズムを用いたリハビリ

音楽やリズムを取り入れたリハビリは、脳の運動制御を改善する効果があります。音楽に合わせてリズムに乗ることで、顔の筋肉も自然に動かしやすくなるため、表情改善にもつながります。

 

6. 外部刺激を用いたアプローチ

パーキンソン病の患者に対して、電気刺激やタッチ療法(マッサージや軽擦法)を行うことも、顔の筋肉の緊張を緩和するのに役立ちます。これにより、筋肉の硬直が軽減され、表情が改善される可能性があります。

表情の改善には、これらのリハビリを日常的に続けることが大切です。パーキンソン病の進行に合わせて、患者に適したプログラムを専門のリハビリテーションチームが調整することが効果を高めます。