【脳梗塞リハビリ】〜パーキンソン病と変性疾患〜
目次
- 1 【脳梗塞リハビリ】〜パーキンソン病と変性疾患〜
- 1.1 【パーキンソン病とは】
- 1.2 【パーキンソン病の特徴的症候】
- 1.3 【脳血管障害性パーキンソンニズム】
- 1.4 【薬物性パーキンソンニズム】
- 1.5 【進行性核上麻痺】
- 1.6 【線条体黒質変性症】
- 1.7 【パーキンソン病の診断について】
- 1.8 【パーキンソン病の重症度の評価】
- 1.9 【hoehn &yahrの分類について】
- 1.10 【パーキンソン病の薬物療法】
- 1.11 【パーキンソン病の薬物療法の問題点】
- 1.12 【パーキンソン病のリハビリテーション】
- 1.13 【パーキンソン病と嚥下障害について】
- 1.14 【パーキンソン病と呼吸障害について】
- 1.15 【脊髄小脳変性症とは】
- 1.16 【横浜の神経内科の病院】
- 1.17 【自宅で出来る自主トレ動画はこちら】
【脳梗塞リハビリ】〜パーキンソン病と変性疾患〜
【パーキンソン病とは】
1817年にJ.parkinsonによって記載された疾患である。 有病率は人口10万人に対して100〜150人。発症年齢は55〜65歳が多い。
パーキンソン病は、中枢神経系の変性疾患であり、主に運動障害を引き起こします。この疾患では、脳の一部である黒質の多くの神経細胞が死滅し、ドーパミンという神経伝達物質の生産が減少します。これにより、運動を制御する神経回路が乱れ、震え、筋肉のこわばり、運動の鈍さなどの症状が現れます。また、他の脳機能にも影響を与え、認知機能の低下や精神的な変化も見られることがあります。
【パーキンソン病の特徴的症候】
1.振戦
パーキンソン病の振戦は、主に静止時や筋肉がリラックスした状態で現れる不随意の手の震えです。通常は手のひらや指先が細かく揺れますが、顎や足、他の部位でも現れることがあります。この振戦はしばしば片側から始まり、進行すると両側に広がることがあります。振戦はパーキンソン病の主要な症状の一つであり、しばしば他の運動障害と共に現れます。
2.筋強剛
パーキンソン病における筋強剛(きんきょうごう)は、筋肉が硬直して柔軟性が失われる状態を指します。これは主に、正常な筋肉の収縮と弛緩を調節する神経伝達物質であるドーパミンの不足によって引き起こされます。筋強剛はしばしば特に関節において現れ、動作の開始や終了時に筋肉が抵抗によって硬直することで特徴付けられます。これにより、歩行や日常生活の活動が困難になる場合があります。筋強剛はパーキンソン病の他の症状と共に進行することが一般的です。
3.無動
パーキンソン病における「無動(むどう)」は、運動の減少や動きの鈍さを指します。患者は意図した動作を開始するのに時間がかかったり、動作が遅くなったりします。また、無動の状態では筋肉がこわばり、身体の動きが制限されることもあります。これにより、日常生活の活動が困難になる場合があります。無動はパーキンソン病の主要な症状の一つであり、他の症状と併発することが一般的です。
4.姿勢保持障害
パーキンソン病の姿勢保持障害は、体の姿勢を維持する能力が低下する状態を指します。これにより、患者は正しい姿勢を保つことが難しくなります。典型的な例としては、前かがみの姿勢や後屈した姿勢、または体が前方に傾いた姿勢などが挙げられます。姿勢保持障害は、筋肉の硬直や運動の鈍さ、バランス感覚の低下などが原因となって生じます。この症状は日常生活において安全性や自立性に影響を与えることがあります。
【脳血管障害性パーキンソンニズム】
脳血管障害性パーキンソンニズムは、脳の血管に障害が起こることによって、パーキンソン症状が現れる状態を指します。この状態は、脳血管障害(脳卒中や小血管疾患など)によって、特に基底核や黒質などの特定の脳領域が損傷されることによって引き起こされます。その結果、パーキンソン症状の一部や類似した症状が現れる場合がありますが、通常のパーキンソン病とは原因や進行のメカニズムが異なります。脳血管障害性パーキンソンニズムの治療や管理には、その原因となる脳血管疾患の治療や予防が含まれることがあります。
【薬物性パーキンソンニズム】
薬物性パーキンソンニズムは、特定の薬物の使用が原因で、パーキンソン症状が現れる状態を指します。これは、特に抗精神病薬や抗吐根薬などの特定の薬物によって引き起こされることがあります。これらの薬物は、脳内のドーパミンのバランスを変化させることで、運動の制御を乱すことがあります。薬物性パーキンソンニズムの症状は、通常はパーキンソン病と類似していますが、薬物を調整することで改善することがあります。この状態は、特定の薬物を使用している患者に現れることがありますが、薬物の適切な管理や調整によって予防することができます。
【進行性核上麻痺】
進行性核上麻痺(PSP)は、神経変性疾患の一種であり、主に運動や姿勢の障害を特徴とします。この病気は、神経細胞の変性が進行し、特に脳の基底核や脳幹の部位に影響を及ぼします。その結果、運動の制御や調整が困難になり、筋肉の硬直、歩行障害、バランスの悪化、視線麻痺などの症状が現れます。
PSPはしばしば「スチール病」とも呼ばれ、進行性の特徴的な症状があることから、他の神経変性疾患と区別されます。この病気は進行性であり、症状が徐々に悪化していくことが一般的です。治療法は限られていますが、症状の管理やリハビリテーション、サポートが提供されることがあります。
【線条体黒質変性症】
線条体黒質変性症(SNCA関連)は、神経変性疾患の一種であり、α-シヌクレイン遺伝子(SNCA)の変異や過剰な蓄積が特徴とされます。この疾患は、パーキンソン病や多系統萎縮症(MSA)、特発性振戦症などの病理学的特徴を示すことがあります。
線条体黒質変性症は、α-シヌクレインが異常な形で蓄積し、脳内の神経細胞に影響を与えることによって引き起こされます。これにより、特に黒質や線条体などの脳の特定の領域が損傷され、運動障害、筋肉の硬直、振戦、自律神経機能の障害などが現れます。
線条体黒質変性症の治療法は限られており、症状の管理やリハビリテーションが中心となります。疾患の進行を遅らせるために、研究はα-シヌクレインの異常な蓄積を阻止する新たな治療法の開発に焦点を当てています。
【パーキンソン病の診断について】
パーキンソン病の診断は、主に症状や神経学的評価、および他の検査結果に基づいて行われます。一般的な診断プロセスは以下の通りです:
1.症状の評価
医師は患者の症状や病歴を詳しく聞き取ります。典型的なパーキンソン病の症状には、振戦、筋強剛、無動、姿勢保持障害などが含まれます。
2.神経学的評価
神経科医が神経学的な検査を行います。これには、動作の柔軟性や速度、バランス、歩行パターンなどの評価が含まれます。
3.パーキンソン病の特徴的な症状を有するかどうかの確認
振戦、筋強剛、無動などの特徴的な症状が見られるかどうかを確認します。
4.他の原因の排除
パーキンソン病の症状と類似する他の疾患(薬物性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズムなど)を排除するため、血液検査、脳画像検査(MRIやCT)、その他の検査が実施されることがあります。
5.レボドパ試験
パーキンソン病の診断を確定するために、レボドパ(ドーパミンの前駆体)を投与して症状が改善するかどうかを確認することがあります。
パーキンソン病の診断は専門医によって行われ、症状の評価や検査結果の解釈には経験と専門知識が必要です。
【パーキンソン病の重症度の評価】
パーキンソン病の重症度を評価するために、いくつかの方法や尺度が利用されます。代表的なものには以下のようなものがあります:
1.Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS)
この尺度は、パーキンソン病の症状や機能的な障害を総合的に評価するために使用されます。運動機能、行動、心理的な状態、日常生活の活動などを評価します。
2.Hoehn and Yahr Scale
この尺度は、パーキンソン病の症状の進行度を評価するために使用されます。段階的に、症状の進行や身体的な障害の程度を評価します。
3.Parkinson’s Disease Stage Assessment Scale
この尺度は、パーキンソン病の進行度を評価するために使用されます。症状の重症度や日常生活への影響を評価します。
4.Movement Disorder Society-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)
UPDRSの改訂版であり、より繊細で客観的な評価を提供します。
これらの尺度は、医師が患者の症状や機能的な障害を評価し、治療の進行をモニタリングするのに役立ちます。ただし、患者の個々の状況や治療反応を総合的に考慮する必要があります。
【hoehn &yahrの分類について】
Hoehn and Yahr(ヘーン・アンド・ヤール)スケールは、パーキンソン病の症状の進行度を評価するための分類システムです。以下にその主な分類を示します:
1.ステージ1
症状は片側のみに現れ、通常は振戦があります。運動機能においては、症状はわずかで、日常生活にほとんど影響を与えません。
2.ステージ2
症状は両側に拡大しますが、まだバランスを保つことができ、日常生活にほとんど影響はありません。
3.ステージ3
バランスが損なわれ、日常生活の活動に影響を与え始めます。立ち上がりが遅くなり、歩行が不安定になることがあります。
4.ステージ4
症状が進行し、歩行は困難になり、支えが必要になることがあります。日常生活の活動には、さらなる支援や修正が必要になります。
5.ステージ5
最も重症な段階であり、歩行や立ち上がりが非常に困難になり、多くの場合、車椅子やベッドに依存することが必要になります。
このスケールは、パーキンソン病の進行度を一般的な枠組みで評価するための目安として使用されますが、個々の患者の状況によって異なる場合があります。
【パーキンソン病の薬物療法】
パーキンソン病の薬物療法には、以下のような種類の薬物が一般的に使用されます:
1.レボドパ(L-DOPA)
レボドパは、脳内でドーパミンに変換される神経伝達物質の前駆体です。パーキンソン病におけるドーパミンの不足を補うために使用され、運動症状の改善に効果があります。
2.ドパミン作動薬
ドパミン作動薬は、脳内のドーパミン受容体を刺激することによって、ドーパミンの効果を模倣します。これにより、運動症状を改善することができます。
3.MAO-B阻害剤
MAO-B阻害剤は、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)を阻害することによって、ドーパミンの分解を遅らせ、ドーパミンの濃度を増加させます。これにより、運動症状の改善が期待されます。
4.COMT阻害剤
COMT阻害剤は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害することによって、レボドパの効果を増強します。これにより、レボドパの効果が長く持続することが期待されます。
5.アンチコリン薬
アンチコリン薬は、アセチルコリンの作用を阻害し、運動症状や震えを軽減することが期待されます。
これらの薬物は、症状の程度や患者の個別の状況に応じて適切な組み合わせや投与量が選択されます。また、薬物療法の効果が維持されるように、定期的な評価や調整が必要です。
【パーキンソン病の薬物療法の問題点】
パーキンソン病の薬物療法にはいくつかの問題点があります。以下にその主な問題点を示します:
1.長期使用に伴う副作用
パーキンソン病の薬物は、長期間の使用により副作用が現れることがあります。例えば、レボドパの場合、時間とともに効果が減弱する「オンオフ現象」や、運動症状の制御を乱す「ジスキネジア(運動異常)」などの副作用が起こることがあります。
2.交互効果の管理
パーキンソン病の治療では、薬物の投与量や組み合わせを適切に調整することが重要です。しかし、これらの調整は複雑であり、患者の状態や症状の変化に合わせて頻繁に調整する必要があります。
3.インジケーションの限界
薬物療法は症状の管理に役立ちますが、病気の進行を遅らせたり、根本的な治療を行ったりするものではありません。また、特定の症状に対して効果がない場合や、他の疾患との併存症がある場合には限界があります。
4.非適応症例への対応
一部の患者は、薬物療法による効果が不十分であるか、薬物の副作用が重大であるため、他の治療法(手術、深部脳刺激など)を必要とする場合があります。
これらの問題点を理解し、患者の個々の状況に応じて適切な治療計画を立てることが重要です。また、新しい治療法やアプローチの開発が、これらの問題点の克服に向けて進行中です。
【パーキンソン病のリハビリテーション】
パーキンソン病の理学療法は、患者の運動機能や日常生活の機能を最大限に維持し、改善するために設計されています。以下に、パーキンソン病の理学療法の主な側面を示します:
1.運動プログラム
理学療法士は、患者の特定の運動症状や制限された動きに対処するために、個別に適した運動プログラムを開発します。これには、筋力トレーニング、バランス訓練、柔軟性の向上、歩行パターンの改善などが含まれます。
2.日常生活の活動の訓練
理学療法士は、日常生活の活動における機能的な制限や障害に対処するための訓練を提供します。これには、着替え、食事、入浴、移動などの日常生活の活動に関する訓練が含まれます。
3.歩行訓練
歩行の困難は、パーキンソン病の患者にとって一般的な問題です。理学療法士は、安定性を向上させ、歩行パターンを改善するための歩行訓練を提供します。これには、適切な歩行姿勢の維持や、障害物を避ける技術の練習が含まれます。
4.器具や支援具の選定と指導
理学療法士は、適切な歩行補助具や日常生活の支援具を選定し、患者にその使用方法を指導します。これにより、安全性や自立性を向上させることができます。
5.患者教育
理学療法士は、パーキンソン病の病態や症状の理解、運動や日常生活の適切な実践方法に関する患者教育を提供します。これにより、患者が自己管理できるようになり、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
パーキンソン病の理学療法は、多面的なアプローチを用いて患者の症状や機能的な障害に対処し、日常生活の質を向上させることを目指しています。
【パーキンソン病と嚥下障害について】
パーキンソン病と嚥下障害(飲み込み障害)の関係は密接です。嚥下障害は、口からの食物や液体の適切な飲み込みが困難な状態を指します。パーキンソン病の患者は、嚥下障害を経験する可能性が高く、以下のような理由が挙げられます:
1.口の筋肉の動きの制御の障害
パーキンソン病は筋肉の制御を乱すため、口や喉の筋肉の適切な動きを妨げることがあります。
2.嚥下反射の低下
パーキンソン病は中枢神経系に影響を与えるため、嚥下反射が低下し、食物や液体の嚥下が困難になることがあります。
3.姿勢の変化
パーキンソン病の患者は、姿勢の変化や筋肉のこわばりによって、飲み込みが困難になることがあります。
4.口腔内の運動の低下
パーキンソン病は舌や口腔内の筋肉の動きを制御する神経系にも影響を与えるため、飲み込みの過程に支障をきたすことがあります。
嚥下障害は、栄養摂取の問題や誤嚥による肺炎のリスクを高める可能性があるため、パーキンソン病の管理において重要な問題です。治療法としては、食事内容や食べ方の修正、食事時間の管理、嚥下リハビリテーションなどが考慮されます。また、栄養士や言語聴覚士、理学療法士などの専門家との連携が重要です。
【パーキンソン病と呼吸障害について】
パーキンソン病と呼吸障害の関係については、以下の点が挙げられます:
1.体幹筋の制御障害
パーキンソン病は、体幹筋の制御を乱すため、呼吸筋にも影響を及ぼす可能性があります。これにより、呼吸の深さやリズムが変化し、呼吸困難を引き起こすことがあります。
2.気道の筋肉の運動の低下
パーキンソン病は、気道の筋肉の運動を低下させる可能性があります。これにより、気道の開閉が妨げられ、呼吸困難を引き起こすことがあります。
3.嚥下障害との関連
パーキンソン病の患者は、嚥下障害を経験する可能性が高く、誤嚥による肺炎などの合併症が呼吸機能に影響を与えることがあります。
4.姿勢の変化
パーキンソン病は、姿勢の変化や体幹の筋肉のこわばりを引き起こすことがあります。これにより、正しい姿勢を維持するための呼吸に必要な筋肉の働きが妨げられ、呼吸困難を引き起こすことがあります。
呼吸障害は、パーキンソン病の重要な合併症の1つであり、患者の生活の質や健康状態に大きな影響を与える可能性があります。適切な管理と治療が重要です。医師や理学療法士、言語聴覚士などの専門家との連携が必要です。
【脊髄小脳変性症とは】
脊髄小脳変性症(Spinal cerebellar degeneration、SCD)は、中枢神経系の障害であり、主に脊髄や小脳に影響を与える疾患の総称です。この疾患は、脊髄や小脳の神経細胞が変性することによって特徴付けられます。
SCDにはさまざまなタイプがあり、症状や進行の速度に多くの違いがあります。一般的な症状には、歩行障害、筋肉のこわばり、振戦、姿勢の不安定さ、協調運動の障害などが含まれます。
SCDの原因はさまざまであり、遺伝的な要因、感染症、環境要因などが関与する可能性があります。診断には、神経学的な検査、画像検査(MRIなど)、遺伝子検査などが含まれます。
治療法は限られており、症状の管理やリハビリテーションが中心となります。患者や家族にとって、疾患の進行に対する適切なサポートやケアが重要です。
【横浜の神経内科の病院】
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