【脳梗塞リハビリ】〜脳卒中の評価項目PART4〜
目次
【脳梗塞リハビリ】〜脳卒中の評価項目PART4〜
【上肢機能の評価について】
〜SIAS-Motor〜
SIAS-Motorは、Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)の一部であり、脳卒中の患者の上肢機能を評価するための尺度です。SIAS-Motorは、運動機能の評価に焦点を当てており、特に上肢の運動機能を評価する際に使用されます。
SIAS-Motorは、患者が特定の動作やタスクをどれだけ遂行できるかを評価することによって、上肢の運動機能を客観的に測定します。この尺度は、臨床評価やリハビリテーションプロセスでの進捗のモニタリングに利用されることがあります。
具体的なテストや動作パターンはSIAS-Motorのバージョンによって異なりますが、通常は患者が日常生活で必要な動作や機能に焦点を当て、それらの動作をスケール化して評価します。これにより、治療の進捗や介入の有効性を定量的に評価することが可能です。
ただし、SIAS-Motorの詳細な内容や具体的なテスト項目については最新の情報を確認する必要があり、また専門の医療プロフェッショナルに相談することが重要です。
〜FMA〜
Fugl-Meyer評価(FMA)は、脳卒中などの脳損傷後の運動機能の評価に使用される一般的な尺度の一つです。FMAは、上肢・下肢の運動機能、感覚機能、関節機能を包括的に評価しますが、ここでは上肢に焦点を当てます。
FMA上肢の評価は、次の領域に分かれています:
1.肩関節
2.肘関節
3.手首
4.指
各領域では、患者の運動機能を様々な動作やタスクを通じて評価します。これには、例えば肩の屈曲や伸展、肘の屈曲や伸展、手首や指の運動、握力、動作制御などが含まれます。各動作は0から2または0から3のスケールで評価され、合計点数が算出されます。
FMAは、患者の運動機能の改善や介入の効果をモニタリングするために一般的に使用されます。高い得点は、良好な運動制御や協調を示し、低い得点は運動障害を反映します。評価は訓練された評価者が行います。
ただし、具体的な評価方法やテスト項目はFMAのバージョンによって異なる可能性がありますので、最新の情報を確認することが重要です。
〜ARAT〜
ARAT(Action Research Arm Test)は、脳卒中患者の上肢機能を評価するための尺度で、特に手や腕の運動機能を評価します。ARATは、日常生活のさまざまな動作を含む17のアイテムから構成されています。以下に、ARATの主な評価項目や一般的なテスト内容をいくつか紹介します:
1.グラスの持ち上げと飲み物の飲み込み
テスト対象者は、グラスをテーブルから持ち上げ、飲み物を口に運ぶことが求められます。
2.把持
異なる大きさや形状のオブジェクト(球、キューブ、円柱など)を手でつかむことを評価します。
3.押す/引く
テーブルの表面に置かれたオブジェクトを前後に押したり引いたりします。
4.把持と移動
オブジェクトを手に持ち、別の場所に運ぶ能力を評価します。
5.手首の延展と屈曲
手首の動きの制御と範囲を測定します。
6.動作の組み合わせ
複数の動作を組み合わせて行うテストが含まれます。例えば、ボールをつかんで目の前のマークに投げ入れるなどです。
ARATは、これらのアイテムに対する患者のパフォーマンスをスケールで評価し、総合的なスコアを算出します。高い得点は高い上肢機能を示し、低い得点は上肢の運動機能の低下を示唆します。ARATは、リハビリテーションの進捗をモニタリングする際に広く使用されています。
〜WMFT〜
WMFT(Wolf Motor Function Test)は、脳卒中患者の上肢機能を評価するための尺度の一つです。WMFTは、日常生活で必要な様々な動作やタスクを含み、患者の運動機能と機能性を総合的に評価します。以下に、WMFTの主な評価項目や特徴をいくつか挙げてみましょう:
1.動作の時間
テスト対象者が特定の動作やタスクを完了するのにかかる時間を計測します。これは、上肢の動作能力や速さを評価する指標となります。
2.動作の品質
各動作やタスクの実行中に生じる運動の品質を評価します。この項目では、動作の滑らかさや正確さが重要な要素となります。
3.動作の範囲
上肢の関節や筋肉の使用範囲を評価します。患者が動作を行う際の運動の振り幅や制御が注目されます。
4.握力
患者の手の力や握る能力を測定します。握力の測定は、上肢機能の一側面を反映します。
WMFTは、これらの項目を包括的に評価し、患者の上肢機能の改善や治療の進捗をモニタリングするために使用されます。このテストは、リハビリテーションのプログラムや介入効果の評価に役立ちます。評価は通常、訓練された評価者が行います。
〜MAL〜
MAL(Motor Activity Log)は、脳卒中患者の日常生活における上肢の使用度を評価するための尺度の一つです。主にリハビリテーションの進捗をモニタリングするために使用されます。以下に、MALの主な特徴や評価方法について説明します:
1.日常活動の自己評価
患者は、日常の生活での上肢の使用に関する自己評価を行います。これには、特定の動作やタスクにおける使用頻度や能力などが含まれます。
2.クオリティ(品質)
上肢の使用の品質に焦点を当てています。患者は、特定の動作やタスクを行う際にどれだけ効果的に上肢を使用できるかを評価します。
3.量(量)
上肢の使用の量を測定します。患者は、日常の活動で上肢をどれだけ頻繁に使用しているかを評価します。
4.活動の選択肢
患者は、どのような種類の活動やタスクで上肢を使用しているかについて報告します。これにより、特定の動作やタスクにおいて患者がどれだけ機能的であるかを評価する手がかりとなります。
MALは患者の自己評価に基づいており、日常生活における実際の上肢使用の洞察を提供します。治療の進捗や介入の効果をモニタリングするために、患者が自らの活動を記録することが重要です。
【下肢・体幹の評価について】
Scandinavian Stroke Scale(SSS)は、脳卒中の患者の神経学的な状態を評価するための尺度の一つです。このスケールは、神経学的な機能障害や重症度の評価に焦点を当てています。以下に、SSSの主な評価項目と特徴をいくつか挙げてみましょう:
1.Consciousness Level(意識水準)
患者の意識水準を評価します。これには、覚醒度や意識のクリアネスなどが含まれます。
2.Eye Deviation(眼球の偏位)
眼球の位置や動きを確認し、異常があるかどうかを評価します。これは、脳卒中における神経学的な影響を示す可能性があります。
3.Arm Strength(腕の力)
上肢の筋力や運動機能を評価します。通常、患者が手や腕をどれだけ強く動かせるかが評価されます。
4.Facial Palsy(顔の麻痺)
顔の筋肉の動きや表情を評価し、顔の麻痺があるかどうかを判断します。
5.Speech Disturbance(言語障害)
患者の言語機能に焦点を当て、発音やコミュニケーションの障害があるかどうかを評価します。
これらの項目に対するスコアは、神経学的な機能の喪失や損傷の程度を反映します。SSSは主に急性期の脳卒中患者の初期評価に使用され、治療の方針を決定する際や進行をモニタリングする際に役立ちます。ただし、具体的なスコアや評価基準はバージョンによって異なる可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。
〜トランクコントロールテスト〜
トランクコントロールテスト(Trunk Control Test, TCT)は、脳卒中患者やその他の神経学的な疾患を持つ患者の体幹コントロールを評価するためのテストです。このテストは、患者が座位でどれだけ体幹を制御し、バランスを維持できるかを評価します。以下に、TCTの主な特徴や評価項目について説明します:
1.姿勢制御
患者は椅子に座り、さまざまな姿勢での体幹制御を評価します。これには前傾や後傾、横方向への傾斜などが含まれます。
2.手の使用
患者は座位で手を使って支えなどを行い、それによる体幹制御の影響を評価します。手の使用が制限されている場合、それがテスト結果に影響を与える可能性があります。
3.足の使用
下肢や足を使用してバランスを維持できるかどうかがテストされます。足の動きや筋力が体幹制御にどのような影響を与えるかが評価されます。
4.タスクの実行
特定のタスクを実行することが求められることがあります。例えば、椅子から立ち上がり、一歩前進するなどの動作が含まれます。
5.バランスの維持
患者が姿勢を保ちつつ、頭部や上半身を動かすことなく安定しているかどうかが評価されます。
TCTは、患者の体幹コントロールやバランスの改善、治療の進捗のモニタリングに利用されます。リハビリテーションの計画や介入の効果を確認するために、患者がどれだけ効果的に体幹を制御できるかを定量的に評価するのに役立ちます。
〜PASS〜
PASS(Postural Assessment Scale for Stroke Patients)は、脳卒中患者の姿勢保持能力を評価するための尺度です。この尺度は、患者が座位や立位でどれだけ姿勢を維持できるかを客観的に評価します。以下に、PASSの主な特徴や評価項目について簡単に紹介します:
1.座位での姿勢保持
患者は椅子に座り、異なる座位での姿勢保持能力が評価されます。これには前傾、後傾、横方向への傾斜などが含まれます。
2.立位での姿勢保持
患者が立位でどれだけ姿勢を保持できるかが評価されます。立位時の安定性やバランスが特に注目されます。
3.姿勢調整の能力
患者が姿勢を変えるときにどれだけ効果的に調整できるかが評価されます。例えば、椅子から立ち上がる際の姿勢の変化や移動などが含まれます。
4.活動の制限
患者が姿勢制御の際に経験する困難や制限がどれだけ影響を及ぼしているかが評価されます。
PASSは、姿勢保持の重要な側面を包括的に評価し、リハビリテーションの計画や介入の進捗をモニタリングするために使用されます。このスケールは、患者の日常生活での機能向上や安全性の向上に寄与するリハビリテーション戦略を策定するのに役立ちます。
〜SARA〜
SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は、小脳性運動失調(cerebellar ataxia)を評価するための尺度の一つです。小脳性運動失調は、小脳の損傷によって引き起こされ、姿勢や運動の協調性に問題が生じる状態です。SARAは、この症状を客観的に評価し、程度を定量的に測定するのに使用されます。
以下に、SARAの主な評価項目と特徴をいくつか挙げてみましょう:
1.姿勢
患者の静止した姿勢や立位での姿勢の制御を評価します。バランスや姿勢の維持における問題が観察される可能性があります。
2.歩行
患者の歩行能力を評価します。小脳性運動失調による不安定性や歩行パターンの変化が観察されるかどうかが評価されます。
3.指の運動協調性
手や指の運動協調性に焦点を当てて、特定の動作やテストを通じて評価します。これには手指の運動の制御や適切な協調が含まれます。
4.言語の協調性、発声や発話において小脳の機能の変化があるかどうかを評価します。
SARAはこれらの項目に対するスコアを合算し、総合的な小脳性運動失調の程度を数値で示します。この尺度は臨床評価や研究において使用され、治療の進捗や介入の効果をモニタリングする際に役立ちます。
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