脳梗塞後に歩行速度を上げるには?リハビリで意識したい3つのこと
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脳梗塞後に歩行速度を上げるには?リハビリで意識したい3つのこと
脳梗塞後のリハビリを続けていると、「歩けるようにはなったけれど、以前より歩くのが遅い」「もう少し速く歩けるようになりたい」と感じることがあります。
歩行速度は、単に足の筋力だけで決まるものではありません。立った状態で身体を支える力、左右へ体重を移す力、足を前に出すタイミング、身体のバランスなど、さまざまな要素が関係しています。
そのため、歩行速度を上げたいからといって、ひたすら速く歩く練習をすればよいとは限りません。
脳梗塞後の歩行では、「どこが歩く速度を制限しているのか」を整理しながらリハビリを行うことが大切です。今回は、歩行速度を考えるうえで意識したい3つのポイントを紹介します。
脳梗塞後に歩行速度が上がりにくいのはなぜ?
歩く速度が遅くなる背景には、複数の要素が関係していることがあります。
脳梗塞後は、左右の脚を同じように使うことが難しくなったり、身体を支える際に不安定さを感じたりすることがあります。また、足を前に出す動作に時間がかかったり、次の一歩へ移るための体重移動が小さくなったりする場合もあります。
さらに、「転ばないように慎重に歩こう」とすることで、自然と歩幅や歩くテンポが小さくなることも考えられます。
このように、歩行速度が低下している理由は人によって異なります。
だからこそ、歩行速度を上げるためには、まず「速く歩けない」という結果だけを見るのではなく、歩行のどの部分に難しさがあるのかを確認することが重要です。
脳梗塞後の歩行で意識したい3つのこと
歩行速度を高めることを考えるとき、特に意識したいのが「体重移動」「足の運び」「歩くリズム」の3つです。
1.左右への体重移動を意識する
歩行では、左右の脚へ交互に体重を移しながら前へ進みます。
脳梗塞後には、麻痺側の脚へ体重を乗せることに不安を感じたり、無意識に反対側へ体重を逃がしたりすることがあります。
すると、麻痺側の脚を十分に使わないまま次の一歩へ移ることになり、歩幅が小さくなったり、歩くテンポが乱れたりすることがあります。
そのため、リハビリでは「麻痺側にどれくらい体重を乗せられるか」だけではなく、体重を乗せた後に次の一歩へスムーズにつなげられるかを見ることも大切です。
ただし、体重を乗せることだけを意識しすぎると、かえって身体が硬くなることもあります。
「しっかり乗らなければ」と頑張りすぎるよりも、身体の動きを確認しながら、無理のない範囲で左右への体重移動を練習していくことがポイントです。
2.足を前に出す動きを確認する
歩行速度には、1歩の大きさも関係します。
歩幅が小さい状態では、同じ時間で進める距離も小さくなるため、結果として歩行速度が遅くなりやすくなります。
脳梗塞後には、脚を前に振り出す動作が小さくなったり、足を床から離すタイミングが遅れたりすることがあります。
ここで大切なのは、単純に「もっと大股で歩こう」と考えることではありません。
脚を前に出すためには、後ろの脚で身体を支えながら、次の一歩へ身体を移していく必要があります。つまり、足だけを見るのではなく、身体全体がどのように動いているかを確認することが大切です。
歩幅を大きくしようとして無理に脚を伸ばすと、バランスを崩すこともあります。
そのため、歩幅を広げる練習を行う場合も、安全に身体を支えられることを前提に、その人に合った方法で進めることが重要です。
3.歩くリズムを整える
歩行速度には、歩幅だけでなく「どのくらいのテンポで一歩を出しているか」も関係します。
歩くことに慎重になっていると、一歩一歩を確認する時間が長くなり、左右の脚を入れ替えるリズムがゆっくりになることがあります。
この場合、ただ脚を速く動かそうとするよりも、左右の足を一定のリズムで動かすことを意識する方法があります。
たとえば、歩行中に「右、左、右、左」と足の入れ替えを意識することで、歩行のリズムを確認しやすくなる場合があります。
ただし、歩くテンポを速くすることが必ずしも良いとは限りません。
現在の身体能力に対して速すぎるテンポになると、足が追いつかなくなったり、姿勢が崩れたりする可能性があります。
歩行速度を上げる練習では、「速くすること」よりも「安全に歩ける範囲で、少しずつ歩行の質を高めること」を意識することが大切です。
歩行速度を上げるなら「速く歩く練習」だけにしない
歩行速度を改善したい場合、「歩く練習をたくさんすればよい」と考える方もいるかもしれません。
もちろん歩くそのものを練習することは重要ですが、歩行に必要な要素を個別に確認することも役立ちます。
たとえば、立った状態で左右に体重を移す練習、身体を支えながら脚を動かす練習、足を前後へ動かす練習などです。
こうした練習によって、歩行中に必要となる動きを整理し、その後に実際の歩行へつなげていく方法があります。
また、歩行速度を確認するときには、「以前より速くなったか」だけではなく、歩き方そのものの変化にも目を向けてみましょう。
以前より歩幅が出ているのか、左右の脚をスムーズに入れ替えられているのか、歩行中のふらつきが変化しているのかなどを確認すると、自分の変化に気づきやすくなります。
歩行速度は一つの評価項目ですが、それだけで歩行能力のすべてを判断するものではありません。
脳梗塞後の歩行リハビリは「自分の課題」を見つけることが大切
脳梗塞後の歩行では、同じように「歩くのが遅い」と感じていても、その原因や身体の使い方は人によって異なります。
筋力が課題になっている場合もあれば、バランスや体重移動、足の振り出し、歩行のリズムなどが関係している場合もあります。
そのため、「歩行速度を上げる」という目標だけでなく、「なぜ速度が上がりにくいのか」を確認することが重要です。
リハビリでは、歩行の様子を実際に確認しながら、身体のどの部分に課題があるのかを整理していきます。
特に、自分では「足の筋力が足りない」と思っていても、実際には身体の使い方やバランス、動作のタイミングなど、別の要素が関係していることもあります。
歩行練習をしていても変化を感じにくい場合や、歩くことに不安がある場合には、理学療法士などの専門職に歩行を確認してもらうのも一つの方法です。
また、歩行中のふらつきが強くなったり、これまでとは違う症状が新たに現れたりした場合には、リハビリだけで判断せず、医療機関への相談が必要になることがあります。
無理に歩行速度を上げようとせず、安全に動ける範囲から取り組むことを大切にしましょう。
まとめ
脳梗塞後に歩行速度を上げたい場合、単純に「速く歩く」ことだけを目標にするのではなく、歩行を構成している動きを確認することが大切です。
今回紹介したポイントは、次の3つです。
- 左右へスムーズに体重を移動する
- 身体を支えながら足を前へ運ぶ
- 無理のない範囲で歩行のリズムを整える
歩行速度が遅くなっている理由は、一人ひとり異なります。筋力だけに注目せず、バランスや体重移動、足の運び方なども含めて考えてみましょう。
まずは現在の歩き方を振り返り、「どこで一歩が止まりやすいのか」を確認するところから始めてみるのもよいでしょう。負担を増やしすぎず、安全に続けられる方法を見つけることが、歩行を見直す第一歩になります。
参考情報
- 国立循環器病研究センター|脳卒中の基礎知識
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/ - 国立循環器病研究センター|脳卒中の症状と対応
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/case/brain/ - 東京都保健医療局|救急相談 #7119
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/junkanki-portal/disease_free/7119.html - 総務省消防庁|救急受診ガイド
https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post8.html - 日本脳卒中協会|啓発資料
https://www.jsa-web.org/wp-content/uploads/2024/09/press20240910sam.pdf
迷ったら、まず相談を
症状が急に強くなった、いつもと違うと感じる場合は、早めに医療機関へ相談してください。
突然のしびれ、ろれつが回らない、強い頭痛などがあれば救急要請を検討してください。









