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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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脳梗塞で起こる言語障害とは?症状と受診の目安を専門家が解説

2025/12/02


脳梗塞で起こる言語障害とは?症状と受診の目安を専門家が解説

脳梗塞と言語障害の基礎を理解する

脳梗塞(のうこうそく)は、脳の血管が詰まり血流が途絶えることで脳細胞が障害される病気です。とくに左半球の前方〜側頭部(いわゆる言語中枢)が障害されると、言葉が出にくい・理解しにくいといった「言語障害(失語症)」が起こります。言語障害は必ずしも重症だけに見られるわけではなく、軽度でも気づきにくいサインとして現れることがあります。

脳の損傷は、発症からの時間が長くなるほど回復が難しくなります。脳虚血が持続すると発症から数時間以内に不可逆的な変化が進行する(AHA 2019)ため、言語障害の出現は「救急受診が必要な明確なサイン」と捉えられます。

脳のどの場所が障害されると起こる?

ブローカ野(前頭葉)は話す・文章を組み立てる能力を主に担い、ここが障害されると言葉が出にくくなる一方で理解力は比較的保たれることが多いです。ウェルニッケ野(側頭葉)は言葉の理解を担い、障害されると流暢に話しても意味が通じにくくなることがあります。

📌 要点

脳梗塞で言語障害が起こるのは、主に左半球の言語中枢が急性に損傷されるため。発症後は時間とともに不可逆的変化が進むため、早期受診が重要。
🪶 日常へのアドバイス

家族や職場の人の「言葉の異変」に気づいたら、迷わず救急に連絡する行動を習慣化しておくと安心です。

言語障害を伴う脳梗塞の診断プロセス

脳梗塞で言語障害が疑われる場合、診断は「時間との勝負」です。発症からの経過時間が短いほど治療の選択肢が広がるため、救急外来では初期評価→脳画像→血液検査→原因検索の順で迅速に進みます。特に急性期では、頭部CTは数分以内に実施され、出血性病変の除外に使用される(AHA 2019)といった手順があります。

診断でよく使われる検査

MRI(DWI)は梗塞部位をより詳細に描出でき、発症数十分〜数時間以内の虚血変化を捉えられる(厚生労働省資料)ため、言語障害の原因領域を特定する際に重要です。血管評価(MRA・頸動脈エコー)は詰まりの位置や狭窄の有無を検査します。

📌 要点

言語障害を伴う脳梗塞では、CT・MRI・神経学的評価を組み合わせ、発症時間と原因を迅速に特定することが治療選択に直結する。
🪶 日常へのアドバイス

突然言葉が出ない・会話の意味が通じない場合、発症時刻を記録して救急要請すると診断と治療の成功率が高まります。

治療:言語障害を伴う脳梗塞では何が行われるのか

治療は「血流の再開」「脳細胞の保護」「合併症の予防」「リハビリ開始」の4本柱で進みます。初期対応では、血栓溶解療法(tPA)や血栓回収療法が検討されます。治療方針は発症時間、画像所見、血管の閉塞部位、全身状態により厳密に判断されます。

急性期に行われる主な治療

静注tPAは発症から4.5時間以内の投与が推奨されている(AHA 2019)ため、発症時刻の確認が極めて重要です。血栓回収療法(EVT)は太い血管が詰まった場合にカテーテルで血栓を除去する方法で、発症6〜24時間以内の適応となる場合があります(AHA 2019)。

📌 要点

言語障害を伴う脳梗塞治療は早期の血流再開が最優先。tPAは4.5時間以内、血栓回収療法は状況により6〜24時間で検討される。
🪶 日常へのアドバイス

家族内で「突然話せなくなったときに何時だったかをすぐ共有する」仕組みを決めておくと、治療選択肢が広がります。

言語障害へのリハビリと回復の考え方

言語障害(失語症)のリハビリは急性期から段階的に始まります。脳は損傷後も可塑性をもつため、適切な刺激で機能の再構築が期待できます。発症から数週間〜数か月が改善の伸びが大きい時期とされており(国際文献)、この期間の関わり方が回復に影響します。

訓練はどう進む?

初期は呼称訓練や理解課題など基礎的な課題から始め、徐々に会話練習や文の構成へと進みます。家庭での言語使用量を増やすことが回復を安定させるため重要です。

📌 要点

言語障害のリハビリは急性期から開始し、発症数週間〜数か月が改善しやすい重要期間。段階的訓練と生活場面での練習が回復を支える。
🪶 日常へのアドバイス

毎日「短い会話の成功体験」を作る意識が回復を促します。1日1回でも“言葉が通じた”瞬間を共有しましょう。

家族と周囲ができるサポート

言語障害は本人だけでなく家族や周囲の生活にも影響します。サポートの基本は「焦らせない」「否定しない」「成功体験を一緒に積む」の3点です。ゆっくり話す、簡潔な表現にする、ジェスチャーを活用するなど、日常会話の工夫はリハビリ効果を高めます。

家族が取り入れやすい関わり方

一度に複数の情報を伝えず「短く」「ゆっくり」「一つずつ」伝えること、できたことに注目して肯定することが大切です。家族の負担が大きい場合は地域の支援サービスや医療スタッフにつながることを検討しましょう。

📌 要点

家族のサポートは「ゆっくり・一つずつ・否定しない」が基本。できたことを共有し、成功体験を積み重ねることが回復を後押しします。
🪶 日常へのアドバイス

1日のうち数分だけでも「落ち着いて言葉を交わす時間」を作ると安心感が高まり、リハビリへの意欲が上がります。

まとめ

脳梗塞による言語障害は、発症早期の診断と治療、そして日常生活につながるリハビリが重要です。急性期は時間との勝負であり、発症時刻の記録と早期受診が治療選択を大きく左右します。その後は段階的な訓練と家族の関わり方が回復の質を高めます。医療・リハビリ・家族支援を三位一体で進めることが、本人の生活再構築において最も重要です。

🗂 よくある質問

Q: 言語障害が出たとき、救急車を呼ぶ基準はありますか?
A: 「突然言葉が出ない」「会話の意味が急に通じなくなった」などの急性発症は脳梗塞の可能性が高く、直ちに救急要請が推奨されます。発症時刻を確認して記録してください。
Q: どれくらいの期間で言語機能が回復しますか?
A: 個人差はありますが、発症から数週間〜数か月が改善の伸びが大きい時期です。リハビリ量と生活場面での言語刺激が回復に影響します。
Q: 家族が話しかけるときに注意すべきことは?
A: 「短く」「ゆっくり」「一つずつ」を意識することで理解しやすくなり、自信を保ちやすくなります。否定せず、できたことを肯定的に伝えましょう。
Q: リハビリは毎日必要ですか?
A: 医療機関での訓練に加え、家庭でのコミュニケーション機会が重要です。無理のない範囲で日常内の言語使用量を増やすことが推奨されます。
Q: 完全に回復しない場合もありますか?
A: 病変部位・重症度・年齢・合併症などにより回復には幅があります。完全回復しない場合も環境調整と支援により生活の質を高めることが可能です。

症状が急に出た場合は迷わず119に連絡してください。迷ったら救急へ。早期対応が治療や回復に直結します。

参考文献