脳梗塞で受診するなら何科?症状から判断する基本の流れ
目次
脳梗塞で受診するなら何科?症状から判断する基本の流れ
脳梗塞とはどんな病気か
脳梗塞は脳の血管が詰まり血流が止まることで脳組織が酸素不足になる病気です。血流遮断が続くと脳細胞は短時間で障害を受け、早期受診が予後を左右します(AHA 2023)。日本では年間およそ25万人以上が脳卒中を発症し、その多くは脳梗塞です(厚生労働省 2024)。
どんな人に起こりやすい?
高血圧・糖尿病・脂質異常・喫煙などが主なリスク因子です。これらは血管内皮を傷つけ血栓形成を促します。特に高血圧は発症リスクを高める重要因子です(J Stroke 2022)。
🔹 発症のサインに気づくことが第一歩
片側のしびれ、ろれつ障害、急な視覚障害などの症状は前兆やTIA(一過性脳虚血発作)を示すことがあり、短期間で本発作に至ることがあります(NEJM 2021)。
脳梗塞かも?と思ったら何科を受診すべきか
脳梗塞が疑われる場合、まず受診すべきは脳神経外科または神経内科です。これらの科は早期にCT・MRIで診断を確定し、適切な急性期治療につなげます。発症から4.5時間以内であればt-PA(アルテプラーゼ)療法が適応となる可能性があり、時間の記録は非常に重要です(AHA 2023)。
「脳神経外科」と「神経内科」の違い
脳神経外科は外科的治療や血栓回収術を担当することが多く、神経内科は薬物療法や内科的管理を中心に行います。現場では両科が連携して治療を行うことが一般的です。
🔹 病院に行く前に注意すべきポイント
症状の開始時刻・服薬歴(抗凝固薬など)・既往歴を伝えると治療判断が迅速になります。一時的な症状でもTIAは48時間以内に脳梗塞を起こすリスクが高いとされるため早期受診が勧められます(BMJ 2020)。
脳梗塞の診断で行われる主な検査
症状出現時には頭部CTまたはMRIがまず行われます。CTは出血性病変の除外に迅速で、MRI(拡散強調画像)は早期の虚血病変検出に優れます(Stroke Journal 2023)。またMRAや頸動脈エコーで血管狭窄を評価します。
血液検査と心電図
血糖や脂質、凝固系を調べる血液検査と、心房細動の有無を確認する心電図は原因検索と再発リスク評価に重要です。心房細動は脳梗塞リスクを高める因子として注目されています(AHA 2023)。
🔹 検査の目的は「原因と再発リスクの特定」
脳梗塞はアテローム血栓性、心原性塞栓、ラクナ梗塞などに分類され、原因別に治療や予防が変わります。正確な診断で再発予防につなげます。
脳梗塞と診療科の連携:何科が治療を担うのか
急性期は脳神経外科・神経内科が中心で、発症から4.5時間以内のt-PA療法や、適応があれば血栓回収術が行われます(AHA 2023/NEJM 2018)。発症後の治療成功率は発症からの時間に強く依存します。
慢性期・回復期の主役はリハビリ科と内科
急性期治療後はリハビリテーション科が機能回復を支え、循環器内科や糖尿病内科が再発予防のために生活習慣病を管理します。長期的管理が再発抑止に重要です(J-STAGE 2022)。
🔹 チーム医療で支える治療
医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、管理栄養士など多職種が連携し「その人らしい生活」へ戻すことを目標にします。
脳梗塞を疑ったときの家族・周囲の対応
早期発見にはFAST(Face, Arm, Speech, Time)が有効です。顔のゆがみ、片腕の脱力、言語障害の有無をチェックし、異常があればすぐ救急要請してください(AHA 2023)。
搬送時のポイント
救急要請時には症状開始時刻・具体的症状・服薬・既往歴を簡潔に伝えると治療がスムーズです。発症直後の民間療法やマッサージは避けてください。
🔹 発症後にやってはいけないこと
安易な放置や民間療法は危険です。意識低下がある場合は飲食を避け、誤嚥の危険に注意してください。
まとめ:脳梗塞を疑ったら迷わず受診を
脳梗塞は時間との勝負で、発症から4.5時間以内に有効な治療が可能となることがあります(AHA 2023)。疑いがあれば脳神経外科または神経内科へ、軽度でも救急受診を検討してください。急性期治療後はリハビリと内科的管理で再発予防を継続することが重要です。
🗂 よくある質問
迷ったら119へ連絡し救急搬送を要請してください。早期受診が命と機能を守ります。









