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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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看護の視点でわかる!パーキンソン病の症状と接し方のコツ7選

2025/07/22

🌟はじめに

「パーキンソン病って聞いたことはあるけど、実際どんなふうに進行するの?」
「患者さんにどう声をかけたらいいか、正直わからない…」
そう感じているご家族や、介護・医療の現場でかかわる方は多いのではないでしょうか。

パーキンソン病は、進行性の神経疾患です。
時間とともに動きにくさが増し、日常生活や心の面にも影響が出てきます。
ですが、**「何に困りやすいか」「どう関わると安心につながるか」**を理解しておくことで、看護・介護の質がぐっと変わってきます。

この記事では、看護の視点から見たパーキンソン病の基本的な症状や接し方のコツを、やさしく解説していきます。
専門的になりすぎず、「現場でどう使えるか」にフォーカスしてまとめました。
日々のケアや、ご家族との関わりに役立てていただければ嬉しいです。


✅ パーキンソン病の主な症状とは?

まずは、「そもそもパーキンソン病ってどんな症状が出るの?」という疑問から整理していきましょう。
看護や介護にかかわる人が、初期の変化に気づくことが、その後のケアの質にも大きく関わってきます。

💡 運動症状:動きが遅くなる、震える、転びやすくなる

パーキンソン病は、脳の中の「黒質(こくしつ)」という部分がうまく働かなくなり、ドパミンという神経伝達物質が減ってしまう病気です。
その結果、以下のような運動に関する症状が出てきます。

  • 動き出すまでに時間がかかる(すくみ足)

  • 歩くときに手が振れない、小刻み歩行になる

  • 手や足が震える(安静時振戦)

  • 転倒しやすくなる

これらの症状は**「パーキンソニズム」と呼ばれる特徴的な動きの変化**で、進行とともに目立ってきます。
看護の現場では、「最近動作が遅くなった」「表情が乏しい気がする」など、日常のちょっとした違和感に早く気づくことが大切です。

💡 非運動症状:便秘・うつ・認知機能の変化にも注目

実は、パーキンソン病は「運動だけ」の病気ではありません。
気分や内臓、認知機能にも影響が出ることが多く、見逃しがちです。

  • 強い便秘や立ちくらみ

  • 抑うつ的になりやすい

  • 睡眠障害(寝つきが悪い、途中で目が覚める)

  • 物忘れ、判断力の低下(認知症に似た状態)

看護の場面で「最近ぼーっとしている」「表情が暗い」「排便回数が減った」などがあれば、医師や多職種に早めに共有することが大切です。


👨‍⚕️ 医療者の一言
パーキンソン病は「動きだけの問題」と思われがちですが、心と体の両面で変化が起こる疾患です。
症状が出そろう前の“サイン”に気づくのが、看護の力です。

✅ パーキンソン病の方との関わり方|接し方のコツとは?

パーキンソン病の方と関わるうえで、「どこまで手伝う?」「声のかけ方は?」と迷う場面は多いもの。
看護や介護では、“できること”を活かしながらサポートするバランス感覚が求められます。

💡 焦らせない・待つ姿勢が信頼につながる

パーキンソン病では、動き出しにくさ(すくみ足)や動作の遅さが出ることがあります。
それに対して、急かしたり先回りしてしまうと、かえって混乱や不安を招くことも。

  • 声かけは一つずつ、ゆっくり、はっきり

  • 動き始めるまで少し待つ時間を持つ

  • 「大丈夫ですよ」「ゆっくりでOKです」と安心させる言葉がけ

たったそれだけで、本人の落ち着き方がまるで違ってきます。
何よりも、“尊重されている”という感覚が回復の支えになります。

💡 本人のペースを大切にしつつ、必要なところはサポート

症状が進むと、服のボタンが留められない・靴が履きづらいなど、細かい動作が難しくなることがあります。
でも、全部をやってしまうのではなく、「ご本人ができる部分」は残すことが大切。

  • 服のボタンをマジックテープに変える

  • 靴をスリッポン型にする

  • 一緒に声をかけながら動作を誘導する

こうした工夫で、“できた”という達成感を得てもらえる関わり方が、心の安定にもつながります。


👪 家族の視点で…
ご本人が動きにくそうなとき、つい手を出したくなるのは自然なことです。
でも、“見守る勇気”も愛情のひとつ
看護や介護は、**本人の力を引き出す“サポート役”**という意識が大切です。


✅ 安全に日常生活を支える看護の工夫

「転ばせたらどうしよう…」「お風呂やトイレ、どう介助すれば?」
日常生活の中でのリスクは多く、看護の現場でも安全確保と自立支援の両立が問われます。

💡 転倒を防ぐための環境調整と見守りのコツ

パーキンソン病では、歩行中に前のめりになりやすい・方向転換が苦手といった特徴があります。
以下のような工夫が効果的です。

  • 床に物を置かない(コード類やスリッパに注意)

  • 段差や敷居に滑り止めテープを貼る

  • 手すりや歩行器を適切に使用

  • 動き出すときに一言声をかけるだけでも安心感UP

また、夜間トイレ時の転倒リスクにも注意が必要です。
センサーライトやポータブルトイレの活用も、看護・介護の現場ではよく使われる方法です。

💡 排泄・入浴・食事…ADLを支える看護の工夫

パーキンソン病では、筋肉のこわばりや動作の緩慢さから、日常動作(ADL)も大きな課題になります。
たとえば排泄では、「トイレに間に合わない」「ズボンがうまく下げられない」といった問題が出やすくなります。

  • トイレの回数・タイミングを把握して声かけ

  • 衣服の工夫(着脱しやすさ)

  • 入浴前後の体調変化に注意

  • 食事は時間をゆっくり確保し、むせないように姿勢にも配慮

無理をさせず、でも過剰な手助けにもならない。
この**“ちょうどいい看護”**が、本人の尊厳を守ることにもつながります。


🩺 医療者のひとこと
看護の現場では、医学的な知識以上に「この人にとって何が安心か?」という視点と想像力が求められます。
マニュアル通りでなく、その人に合った“ケアのカスタマイズ”が信頼を生むポイントです。

✅ 多職種で支えるパーキンソン病の看護体制とは?

パーキンソン病の看護は、看護師だけで完結するものではありません。
医師、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士、そしてご家族…。
多くの専門職と情報を共有しながら、チームで支えていくことが大切です。

💡 医師と看護師の連携:症状の変化に早く気づくために

パーキンソン病は進行性の疾患なので、日々の微妙な変化に気づくことが医療の質に直結します。

  • 「最近歩き方が変わった気がする」

  • 「言葉数が減ってきた」

  • 「食事量が減ってきた」

こんな日常の“気づき”を看護師がキャッチし、医師に共有することで、
薬の調整や治療の見直しにつながるケースも多いです。

また、薬の時間と動きのタイミングが大きく関係するパーキンソン病では、
「飲み忘れ」「時間ズレ」による不調も起きやすく、これも看護の観察ポイントになります。

💡 リハビリ・薬剤師・栄養士とも“つながる看護”を

  • リハビリ職(PT・OT・ST):歩行・動作・言語機能の維持に不可欠

  • 薬剤師:副作用や飲み合わせ、飲み忘れ防止の工夫などをサポート

  • 栄養士:嚥下(えんげ)機能低下への対応や、便秘改善の食事アドバイス

看護師は、その橋渡し役として多職種との情報共有の中心的な立場になります。
「今日こんな様子だった」という報告が、チーム全体の支援の質を高める鍵になります。


🧩 日常生活との関係でいうと…
介護や在宅でのケアでも、ケアマネージャーや訪問看護師、福祉用具業者などとの連携が大切です。
一人で抱え込まず、みんなで支える仕組みを活用することが、継続可能な看護につながります。


✅ まとめ:安心できるケアのために大切なこと

ここまで、「パーキンソン病の症状」と「看護の視点からの対応」について整理してきました。
最後に、この記事でお伝えしたい一番大切なメッセージをまとめます。


💡 パーキンソン病ケアの基本ポイント7つ

  1. 運動症状と非運動症状、両方に目を向ける

  2. 焦らせない・待つ・安心させる声かけを心がける

  3. “できること”を尊重し、やりすぎない支援を

  4. 転倒や事故を防ぐ環境整備を意識する

  5. ADL(日常動作)を支える工夫でQOLアップ

  6. 多職種連携で、よりよいケアにつなげる

  7. ご本人の“その人らしさ”を忘れずに接する


👩‍⚕️ 看護の本質とは?
マニュアル通りのケアだけでなく、
「この人はどんなことに困ってる?」「どんな関わりがこの人の安心につながる?」
と考える姿勢こそが、看護の“本質”であり力です。


📘 おわりに:家族も、医療者も、ひとりじゃない

パーキンソン病の看護は、日々の変化に丁寧に寄り添う根気のいるケアです。
でも、ご本人とそのまわりの人すべてが「安心できる関係」をつくることで、生活の質は大きく変わります。

この記事が、少しでも現場の支えになれば幸いです。
今日からできる小さな一歩が、きっと未来につながっていきます。