「脳梗塞=長生きできない」は本当?不安に向き合い、希望につなげる話
目次
脳梗塞 長生きできない
「脳梗塞になったら、もう長生きできないんでしょうか…」
こう口にする方は、けっして少なくありません。
診察室でも、ご家族との会話でも、あるいはネット検索中でも──
「脳梗塞 長生きできない」というワードが浮かぶのは、それだけこの病気が不安の象徴になっているからだと思います。
でも、本当にそうでしょうか?
脳梗塞になったからといって、イコール「寿命が短くなる」とは限りません。
大切なのは、どんなタイプの脳梗塞なのか、そしてその後どう過ごすかなんです。
この記事では、「脳梗塞=長生きできない」という誤解に正面から向き合いながら、
不安を少しでもほぐしていけるよう、医学的な情報をやさしく解説していきます。
🩺 脳梗塞ってそもそも何?〜仕組みと種類をやさしく解説〜
「脳梗塞」と聞くと、なんとなく怖くて曖昧なイメージがありませんか?
まずはその正体を知ることで、不安の霧を晴らしましょう。
🧬 脳の血管が詰まるってどういうこと?
脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、脳の一部に血液が届かなくなる病気です。
血液が届かなくなると、脳細胞は酸素や栄養を受け取れなくなって、どんどん傷んでいきます。
ちょっと想像してみてください。
田んぼに水を引く水路があるとして、その水路が土砂で詰まったらどうなるか。
水が届かない田んぼの一角は、すぐに乾いて作物が育たなくなりますよね。
それと同じようなことが、脳内で起こるのが脳梗塞なんです。
🧠 じつは3種類ある?脳梗塞のタイプ別にみる違い
ひと口に「脳梗塞」といっても、実は主に3つのタイプがあります。
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ラクナ梗塞(小さな血管が詰まる)
比較的軽いことが多く、症状が出にくいこともあります。
でも、繰り返すと認知機能への影響が心配になることも。 -
アテローム血栓性脳梗塞(動脈硬化型)
頸動脈など太めの血管が動脈硬化で詰まります。
進行がゆるやかな分、発見が遅れがちです。 -
心原性脳塞栓症(心臓由来の血栓)
心房細動などでできた血のかたまりが、急に脳へ飛んで詰まるタイプ。
突然・広範囲に障害が出るため、重症化しやすい傾向があります。
タイプによって命に関わるリスクや後遺症の出方も異なってきます。
つまり、「脳梗塞=長生きできない」と一括りにするのは、ちょっと乱暴なんですね。
🚶♀️ 脳梗塞のあと、どう生きるかで未来が変わる
脳梗塞になったあと、何が一番大切か。
それは「これからの時間を、どう過ごすか」ということです。
診断を受けた直後は、怖さや不安で頭がいっぱいかもしれません。
けれども、その後のリハビリや生活の工夫次第で、再発を防いだり、生活の質を保ったりすることは十分に可能です。
🏥 後遺症とどう向き合う? 生活を支えるリハビリの力
脳梗塞の後遺症は、人によって実にさまざまです。
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片麻痺(片側の手足が動きにくくなる)
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言語障害(話しにくくなる、理解しづらくなる)
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嚥下障害(食べ物や飲み物が飲み込みづらくなる)
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感覚障害(しびれ、温度が分かりにくいなど)
これらがあると「もう元の生活には戻れないのでは…」と思い込んでしまいがちです。
でも、そこで希望をつなぐのがリハビリです。
現代のリハビリは、ただの“筋トレ”ではありません。
脳の回路を再構築する「神経リハビリ」や、社会生活に戻るための「生活動作訓練」など、
“脳”と“人間らしさ”を回復させる多角的なアプローチが行われています。
少しずつできることを取り戻していく過程は、地味ですが確実に「生きる力」につながっていきます。
それは“長生き”にも、大きく関わってくるのです。
♻️ 再発率は?「もう一度」が怖いからこそ知っておきたいこと
じつは、脳梗塞の再発率は高いと言われています。
初回の発症後、5年以内に再発する人はおよそ3割とも。
これは確かに心配な数字です。
でも、見方を変えれば──
「3割の人が再発するけど、7割の人は再発せずに過ごしている」ということ。
再発を防ぐためには、以下のようなことが重要です。
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血圧をコントロールする(高血圧は最大のリスク因子)
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禁煙・節酒
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適度な運動(ウォーキングなど軽いものでもOK)
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食生活の見直し(塩分を減らす、脂質に気をつける)
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定期的な通院と服薬管理
「長生きできるか」は、体質や運のせいだけではありません。
自分で「どう生きるか」によっても、大きく左右されるものなのです。
🌱 脳梗塞になっても長生きできる人の共通点とは?
「脳梗塞になったけど、あの人は元気に暮らしているよね」──
そう感じる身近な方が、あなたのまわりにもいらっしゃいませんか?
実は、脳梗塞を経験しても長生きできる人には、いくつかの共通点があります。
それは特別な治療を受けた人ばかりではありません。
日々の小さな積み重ねと、心の持ち方に秘密があるのです。
🪞 「あきらめない姿勢」と「環境づくり」が鍵
長く元気に暮らしている人たちに共通しているのは、
一言でいえば “あきらめなかった人”です。
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麻痺があっても、自分で動こうとする
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不便さがあっても、工夫しながら生活する
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周囲に頼ることを恥ずかしがらず、うまく助けてもらう
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医師やリハビリスタッフの言葉を素直に受け入れる
これらは、特別な才能でも意志力でもありません。
「こうしてみよう」「少しずつでも前へ」という日常的なチャレンジです。
また、ご家族や周囲の理解・支えがある環境も大きな要素です。
「一人で頑張らないこと」──それもまた、長生きのコツかもしれません。
💡 不安に振り回されないためのちょっとしたコツ
「また脳梗塞になるかも」「寝たきりになったらどうしよう」
こういった不安は、完全にはなくせません。むしろ、不安があるからこそ、人は対策を取れるのです。
だからこそ、こんな工夫を取り入れてみてください。
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不安を「予防行動」に変える(血圧測定を習慣にする、など)
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「今日の体調を知る」ことを日課にする
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同じ経験をした人の話を聞いて、共感を得る
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ときどきは、医療者に不安を吐き出す
完璧を目指す必要はありません。
「ちょっとだけ、昨日より安心できた」──その積み重ねが、
結果として“長生き”に近づく道になります。
📝 まとめ 脳梗塞でも人生は続く。だからこそ「今できること」に目を向けて
「脳梗塞=長生きできない」と思い込む必要は、決してありません。
たしかに、脳梗塞は命に関わる病気です。
でも、それは「人生の終わり」ではなく「次のステージの始まり」でもあります。
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自分のからだを知ること
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リハビリを通じて、新しい動きを学ぶこと
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支えてくれる人と、より深くつながること
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生活の工夫で、自分らしさを取り戻すこと
それらはすべて、“生きる”ための大切な選択です。
そして、「長く生きる」ことは「よりよく生きること」から生まれると、私は思います。
あなたやご家族が、これからも安心して前を向いて歩めるように──。
この記事が少しでも、そのきっかけになれば嬉しいです。
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