脳梗塞の兆候を見逃さないために知っておきたいこと
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脳梗塞の兆候を見逃さないために知っておきたいこと
脳梗塞は、ある日突然、私たちの日常を大きく変えてしまう病気です。
でも実は、完全に“突然”というわけではなく、「あれ?」というサインを体が出してくれていることも多いんです。
そのサインに気づけるかどうかで、命の危険を避けられることもありますし、後遺症の程度にも大きく差が出ます。
「まさか自分が」と思うかもしれませんが、脳梗塞は誰にでも起こりうるもの。だからこそ、早めに知って備えることが大切です。
この記事では、「脳梗塞の兆候」を中心に、どんな前触れがあるのか、何に気をつけたらいいのかを、わかりやすくお伝えしていきますね。
脳梗塞とは?知っておきたい基本のき
「脳梗塞(のうこうそく)」という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんな状態なのか、ちゃんと説明できる人は意外と少ないかもしれません。
まずはこの病気がどういうものなのか、基本をおさらいしておきましょう。
脳の血管が詰まることで起こる病気です
脳梗塞とは、脳の血管が血のかたまり(血栓)などによって詰まってしまい、その先に血液が届かなくなる状態のことを言います。
血液には酸素や栄養がたくさん含まれているので、それが届かなくなると、脳の細胞がどんどんダメージを受けてしまうんです。
この状態が長く続くと、脳の一部が壊死(えし)してしまい、手足が動かなくなったり、言葉が出にくくなったりといった後遺症が残ることも…。
だからこそ、早期発見と迅速な対応がとても大切なんですね。
「脳出血」とはどう違うの?
似た言葉に「脳出血(のうしゅっけつ)」がありますが、こちらは血管が詰まるのではなく、破れて出血するタイプの脳卒中です。
どちらも「脳卒中」という大きなくくりの病気に含まれますが、原因や治療法、予後(回復の見込み)などに違いがあります。
ただ、症状としてはどちらも似たようなものが出ることがあるため、「どっちかは分からないけど、ヤバいかも」と思った時点ですぐに病院に行くことが大事なんです。
脳梗塞の主な兆候とは?
「兆候」と聞くと、何か特別なサインのように思えるかもしれませんが、実は日常のちょっとした違和感の中に潜んでいることも少なくありません。
ここでは、代表的な兆候をいくつかご紹介しますね。
急に手足がしびれる・力が入らない
「ペンがうまく持てない」「なんとなく足がもつれる」――そんな違和感を覚えたことはありませんか?
脳梗塞では、ある日突然、片側の手や足にしびれや脱力が起こることがあります。しかも、しびれは左右どちらかだけに出るのが特徴的です。
たとえば、朝起きたときに「右手だけが動かしにくい」と感じた場合、それは一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる、一時的な脳梗塞のサインかもしれません。
こうした小さな前触れは、見逃されがちですが、放っておくと数日以内に本格的な脳梗塞が起こることもあります。
「寝違えたのかな?」で済ませず、ちょっとでも気になったら、ぜひ早めに相談してほしいポイントです。
ろれつが回らない・言葉が出てこない
もうひとつ、見逃せないのが言語のトラブル。たとえば、
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話しているのに「何言ってるかわからない」と言われる
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言いたいことがあるのに、うまく言葉にできない
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自分の言葉が頭の中でもつれてしまう
といった変化は、脳の言語を司る部分に障害が出ている可能性があります。
「寝ぼけてるのかな」「疲れてるだけかも」――そう思ってしまうかもしれませんが、ろれつ障害は脳梗塞の初期にとても多い症状なんです。
早朝や夜に突然起こることも多いため、時間帯に関係なく注意が必要です。
見逃しやすい脳梗塞のサインに注意
ここからは、少し気づきにくいけれど、実は重要な兆候についてお話しします。
ちょっとした変化が脳からの「SOS」かもしれないので、ぜひ知っておいてくださいね。
顔の片側がゆがむ・笑顔が変に見える
脳梗塞では、顔の筋肉にも左右差が出ることがあります。
たとえば、鏡を見たときに「口角が左右で違う」「笑おうとしても片方の頬が動かない」と感じる場合、それは“顔面麻痺”のサインかもしれません。
とくに、写真を撮ったときや、洗顔中に「なんか変?」と感じた経験があれば要注意。
本人よりも、家族や同僚など周囲の人が先に気づくケースも多いので、「ちょっと顔、いつもと違うかも?」と指摘されたら、スルーせずに受け止めてほしいところです。
目が見えづらい・物が二重に見える
「片目が急に見えにくくなった」「視界がぼやける」「二重に見える」――これらも、実は脳梗塞の兆候として現れることがあります。
脳は視覚をコントロールしている部分もあるので、血流が悪くなると視界に異変が起こることがあるんですね。
見え方の異常って、つい「疲れ目かな」「スマホの見すぎかも」と流してしまいがち。でも、脳からの大事なサインかもしれません。
とくに、急に片目だけ見えにくくなるタイプは「一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)」と呼ばれ、脳梗塞の前兆として知られています。
兆候に気づいたらどうすればいい?
ここまでで、「脳梗塞の兆候」についてはだいぶイメージが湧いてきたのではないでしょうか?
では、実際に「もしかして…?」と感じたとき、どう行動すればいいのでしょう。
すぐに救急車を呼ぶことが第一!
脳梗塞は**「時間との勝負」とよく言われます。というのも、発症から4.5時間以内**であれば、**血栓を溶かす薬(t-PA)**が使える可能性があるからです。
そのため、「これはおかしい」と思ったら、すぐに119番!
「少し様子を見てから…」と先延ばしにするのが、いちばんリスクを高めてしまいます。
迷ったときは、以下のようなFASTというチェック法もおすすめです:
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F(Face):顔の片側がゆがんでいないか?
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A(Arm):両腕を同時に上げて、片方が下がらないか?
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S(Speech):言葉がはっきり話せるか?
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T(Time):1つでも当てはまれば、すぐに救急車!
「ちょっと大げさかな…?」と思っても、命を守るためには行動が先です。
自分で迷うときは、周りの人にも「おかしいと思ったらすぐ連絡して」と伝えておくのも予防になりますよ。
「一時的に治った」も油断禁物
一度しびれや言語の不調が出たけど、30分くらいで元通りになった…。
こういうケース、実はとても危険なんです。
これは**「一過性脳虚血発作(TIA)」**の可能性があり、本格的な脳梗塞の“予告編”とも言われます。
数日以内に再発して、今度は重い後遺症が残ってしまうことも。
だからこそ、「治ったから大丈夫」ではなく、その後すぐに病院を受診することが大切です。
早期の検査や治療で、発症を防ぐことができるケースもありますよ。
脳梗塞を防ぐために、今日からできること
脳梗塞は怖い病気ではありますが、完全に防げないわけではありません。
普段の生活の中でできることを積み重ねていくことで、リスクを大きく下げることができます。
血圧・血糖・コレステロールの管理がカギ
脳梗塞の大きな原因は、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病です。
これらがあると、血管に負担がかかり、詰まりやすくなってしまうんですね。
ですので、
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血圧を測る習慣をつける(特に朝)
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甘いもの・脂っこい食事を控えめに
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禁煙・節酒にチャレンジする
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定期的な血液検査で数値をチェックする
といった基本的な健康管理が、実は「脳梗塞の最大の予防策」にもなります。
特に40代後半からは、なんとなくの体調変化を「歳のせい」にせず、一度検査を受けておくのがおすすめです。
ちょっとした運動とストレスケアも大事です
血流をよくするためには、軽い運動もとても効果的です。
「毎日ジムに通わないと…」と身構えなくても、まずは
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朝晩10分のウォーキング
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椅子に座ってできる足踏み
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ラジオ体操やストレッチ
など、続けられるものから始めましょう。
また、ストレスや睡眠不足も血管の敵。
仕事や家庭の中で「ちょっと疲れたな」と感じたら、深呼吸やお風呂でのリラックスタイムを意識してみてくださいね。
まとめ:兆候を知って、いざという時に備えよう
脳梗塞は、決して他人事ではありません。
そして、命やその後の生活を左右する大きな分かれ道は、「兆候に気づけるかどうか」にかかっています。
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片側の手足のしびれや力が入らない
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ろれつが回らない、言葉が出にくい
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顔のゆがみや視界の変化
こうした症状に「少しでも変だな」と思ったら、迷わず行動することが何より大切です。
そして、日々の生活の中で、自分の体をよく観察する習慣をつけておくことで、脳梗塞のリスクは確実に減らせます。
「知っておいてよかった」と思える日が、きっと来るはず。
今日という日から、少しずつ備えていきましょう。