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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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【パーキンソン病と嚥下障害について】

2024/11/05

【パーキンソン病とは】

パーキンソン病は、主に中脳の黒質(こくしつ)と呼ばれる部分での神経細胞の減少によって引き起こされる神経変性疾患です。この黒質にあるドーパミンを作る神経細胞が減少することで、運動機能や非運動機能に様々な症状が現れます。

 

パーキンソン病の主な症状

1.振戦(しんせん)

手や足などが震える「安静時振戦」が典型的です。特に、リラックスしているときに振るえが生じます。

 

2.筋固縮(きんこしゅく)

筋肉が硬くなり、関節の動きがスムーズでなくなります。これは、動作を始めたり止めたりする際に動きがぎこちなくなる原因になります。

 

3.無動・動作緩慢

動作が遅くなる、動き始めに時間がかかるなどの症状です。

 

4.姿勢反射障害

バランスが崩れやすくなり、転倒のリスクが高まります。

 

 

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています:

・遺伝的要因:家族歴のあるケースがあり、いくつかの遺伝子がリスク因子として挙げられています。

・環境要因:農薬や特定の化学物質への長期間の曝露がリスクを高める可能性があります。

・老化:年齢とともに発症リスクが高まるため、老化も一因とされています。

 

 

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断には、患者の症状と病歴の詳細な評価が重要です。神経学的なテストや画像診断(MRI、CTなど)も行われますが、パーキンソン病を確定するための特異的な検査はありません。

 

 

パーキンソン病の治療

1.薬物療法

症状を緩和するためにドーパミンを補充する薬(例:レボドパ)やドーパミンの作用を高める薬が使用されます。

 

2.リハビリテーション

運動機能の維持や改善を目的として、物理療法や作業療法が行われます。これは患者の生活の質を向上させるために重要です。

 

3.外科的治療

重症例では、脳深部刺激療法(DBS)などの手術が行われることもあります。

 

 

日常生活での工夫

・転倒予防:バランスが取りにくくなるため、歩行器などを利用し、転倒リスクを下げます。

・食事の工夫:嚥下困難が生じることがあるため、食事の際には柔らかい食品や水分補給がしやすい工夫が必要です。

・日々のリズムを整える:症状の進行を遅らせるために、規則正しい生活を心がけ、ストレスを減らすことが推奨されます。

パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療とリハビリテーションにより、生活の質を保ちながら症状をコントロールすることが可能です。

 

 

【パーキンソン病と嚥下障害について】

パーキンソン病では、進行に伴って嚥下障害(飲み込みの困難)がよく見られます。嚥下障害は食事や水分の摂取に影響を与え、栄養状態の悪化や脱水症状、誤嚥性肺炎などのリスクを高めます。

 

嚥下障害の原因

パーキンソン病による嚥下障害は、主に以下のような要因で引き起こされます。

1.筋固縮と運動緩慢

咽頭や食道周りの筋肉が硬くなる、または動きが鈍くなるため、食べ物や飲み物がスムーズに食道へ運ばれにくくなります。

 

2.反射低下

喉の反射が低下することで、嚥下動作が遅くなり、誤嚥(食べ物や飲み物が誤って気道に入る)が起こりやすくなります。

 

3.感覚鈍麻

パーキンソン病では、感覚の鈍化も見られるため、食べ物や飲み物の流れを感じにくくなり、誤嚥が起こりやすくなります。

 

嚥下障害の症状

・食事中に咳き込む、むせる

・食後に声がかすれる

・飲み込みに時間がかかる

・口の中に食べ物が残りやすい

 

嚥下障害の診断と評価

嚥下障害の評価には、嚥下造影検査(VF)やファイバースコープ嚥下内視鏡検査(FEES)などが使用され、飲み込む際の筋肉の動きや気道への誤嚥の有無が確認されます。

 

嚥下障害の対応とリハビリ

1.嚥下リハビリテーション

嚥下に関わる筋肉の運動訓練や、適切な飲み込み方法の指導が行われます。発声練習やアイスマッサージなども効果がある場合があります。

 

2.食事の工夫

・テクスチャの調整:誤嚥しにくいよう、食べ物の硬さや粘度を調整します。とろみを付けた飲み物や柔らかい食品が推奨されます。

・一口量の調整:少量ずつ食べることで誤嚥リスクを低減します。

・ゆっくりと食べる:急いで飲み込まないよう、時間をかけて食事を取るよう指導します。

 

3.ポジショニング

食事中は姿勢が重要です。背筋を伸ばし、顎を少し引くことで気道が閉じやすくなり、誤嚥を防ぎます。

 

4.環境の工夫

静かでリラックスできる環境で食事をすることで、嚥下への集中が高まり誤嚥の予防に繋がります。

 

パーキンソン病における嚥下障害の重要性

嚥下障害が進行すると栄養状態が悪化しやすく、体力の低下や肺炎のリスクが高まります。適切な嚥下リハビリや食事指導を行うことで、生活の質の向上とともに生命予後の改善も期待できます。

 

 

【嚥下障害のリハビリについて】

嚥下障害のリハビリテーションは、食事の際に安全に飲み込む力を回復し、誤嚥を予防するための訓練や工夫を行います。特にパーキンソン病では、進行に伴い嚥下機能が低下しやすいため、早期からのアプローチが大切です。嚥下リハビリテーションには、嚥下筋トレーニング、姿勢調整、環境整備などが含まれます。

 

1. 嚥下筋トレーニング

嚥下に関わる筋肉を強化し、飲み込む力を向上させる訓練を行います。以下は主要な方法です:

・アイスマッサージ(Cold Stimulation):氷や冷たい金属スプーンを使用して口腔や咽頭部に刺激を与え、嚥下反射を改善します。

・舌トレーニング:舌の筋力を高める訓練で、舌の挙上や押し戻し運動を行い、食塊形成や食べ物の送り込みを改善します。

・シャキア運動(Shaker Exercise):仰向けに寝た状態で顎を上げ、首の筋肉を強化する運動です。この運動は、喉の筋肉を強化し、嚥下機能を高めます。

・スーラオグリッタルエクササイズ(Supra-glottic Swallow):息を止めた状態で飲み込む練習です。これにより声門を閉じる筋力を高め、誤嚥防止に役立ちます。

 

2. 姿勢調整

食事中の姿勢は嚥下に大きく影響します。正しい姿勢を保つことで、誤嚥リスクを減らし、嚥下効率を向上させることが可能です。

・頭の位置:頭を少し前に傾け、顎を引いた状態にすることで気道を閉じやすくし、誤嚥を防ぎます。

・体幹の姿勢:椅子に座る場合は背筋を伸ばし、背もたれに寄りかからないようにします。また、食後30分程度は直立姿勢を保つことで逆流や誤嚥を防ぎます。

 

3. 食事の工夫と飲み込み方の指導

嚥下障害がある方には、飲み込みやすく誤嚥しにくい食事形態や飲み込み方を指導します。

・食事形態の調整:食べ物を小さく刻んだり、ペースト状やとろみをつけた形にすることで、嚥下しやすくします。液体はとろみ剤を使って粘度を調整し、誤嚥しにくくします。

・分割嚥下:一度に大量に飲み込むのではなく、少量ずつ口に入れて飲み込むことで誤嚥を防ぎます。

・ゆっくりとしたペース:嚥下障害の方は急いで食べると誤嚥のリスクが上がるため、ゆっくりとしたペースで食事を取るようにします。

 

4. 呼吸機能の改善

嚥下と呼吸は密接に関連しているため、呼吸機能を強化することも嚥下障害のリハビリには有効です。以下の呼吸訓練が行われます。

・腹式呼吸:呼吸筋を強化することで嚥下時の息止めがスムーズに行えるようになります。

・発声訓練:発声練習によって喉周りの筋力を高め、声門の閉鎖力を向上させます。特に「アー」や「エー」といった発声を繰り返す練習が有効です。

 

5. 環境の整備

リラックスした環境で食事をとることも、嚥下に集中できるため重要です。

・静かな場所で食事:周囲の雑音が少ない場所で食事をすることで、誤嚥を防ぎやすくします。

・食事の時間を十分に確保:嚥下障害がある方は食事に時間がかかるため、ゆっくりと時間をかけられるように配慮します。

 

6. 食後のケア

食事後も適切なケアを行うことで、誤嚥のリスクを低減できます。

・食後の体位管理:食後30分は椅子に座るなど、直立姿勢を保つようにします。仰向けに寝ると逆流や誤嚥のリスクが高まります。

・口腔ケア:口の中に食べ物が残っていると誤嚥の原因になるため、食後はしっかりと口腔ケアを行い、清潔に保ちます。

 

まとめ

嚥下障害のリハビリテーションは、筋力訓練や姿勢、食事方法の工夫を通して、誤嚥のリスクを軽減し、安全に食事ができるように支援することを目指します。嚥下機能の維持は、患者の生活の質向上や合併症の予防において重要な役割を果たします。

 

 

【嚥下障害に対する在宅での工夫】

嚥下障害に対する在宅での工夫は、患者が安全に食事をとり、誤嚥を予防するために重要です。以下は、在宅でできる具体的な工夫や対策です。

1.食事環境の工夫

・静かな環境で食事をとる:食事に集中できるよう、テレビや会話などの刺激を減らします。リラックスできる環境が嚥下には有効です。

・食事の姿勢を整える:椅子に座り、背筋を伸ばして体を安定させ、顎を軽く引いた姿勢で食事をとります。ベッド上であれば、背もたれを立てて、できるだけ直立に近い姿勢を保ちます。

・ゆっくりしたペースで:食事中は急がず、一口ごとにしっかりと飲み込んでから次を食べるようにします。

 

2. 食事内容の工夫

・食べ物の形態を調整:患者の嚥下能力に応じて、食材を細かく刻む、ペースト状にする、またはとろみをつけるなど、誤嚥しにくい形態にします。とろみ剤を使用することで、液体が気道に入るリスクを低減できます。

・一口量の調整:一口あたりの量を少なくすることで、誤嚥のリスクを減らします。スプーンを小さくするなど、少量ずつ食べやすい工夫も効果的です。

・栄養バランス:嚥下障害があると食事量が減るため、少ない量でも栄養がしっかりとれるように高カロリーや高タンパクの食品を取り入れるよう心がけます。

 

3. 飲み込みやすい飲み物の工夫

・とろみをつける:水やお茶、スープなどの飲み物にとろみ剤を加え、粘度を上げることで、気道に入るリスクを減らします。とろみの硬さは個人差があるため、専門家の指導に基づいて調整すると良いでしょう。

・適温にする:冷たい飲み物や温かい飲み物は嚥下反射を促す効果がある場合もあります。どの温度が飲み込みやすいか個別に試し、適温に調整します。

 

4. 食事のタイミングと量

・少量を複数回に分ける:一度に多く食べようとすると誤嚥のリスクが高まるため、1回の食事量を減らし、1日数回に分けて食べるようにします。

・体調が良いときに食事をとる:嚥下機能は体調や時間帯に影響されるため、患者が元気で落ち着いているときに食事をとるようにします。

 

5. 呼吸と嚥下のタイミング

嚥下と呼吸のタイミングを整えることが重要です。飲み込む際にしっかりと息を止めることができるよう、次の工夫をします。

・深呼吸の練習:食前に深呼吸を行い、嚥下時に息を止めやすくします。

・スーラオグリッタルエクササイズ:息を止めて飲み込む練習をすることで、誤嚥の予防に役立ちます。

 

6. 食後のケア

食事後のケアも嚥下障害のリスク管理には大切です。

・食後30分間は直立姿勢を保つ:食べ物が逆流しにくくなるため、食後はしばらく座った状態を維持します。

・口腔ケア:食後は口の中に食べ物が残っていないか確認し、歯ブラシやうがいで口腔内を清潔に保ちます。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

 

7. 家族や介護者のサポート

・見守りと支援:家族や介護者が側で見守り、必要に応じて食事を補助します。特にむせたときはすぐに対応できるようにします。

・嚥下リハビリのサポート:家庭でもできる嚥下リハビリ(舌の運動、アイスマッサージ、シャキア運動など)を日々続けることが大切です。医師や言語聴覚士の指導に基づいて実施すると、嚥下機能の維持に役立ちます。

在宅での工夫を取り入れることで、嚥下障害のリスクを減らし、誤嚥を予防しながら安全な食生活をサポートできます。