【脳梗塞リハビリ】〜脳卒中急性期のリハビリテーションは、いつから開始されることが推奨されるか?〜
【脳梗塞リハビリ】〜脳卒中急性期のリハビリテーションは、いつから開始されることが推奨されるか?〜
合併症を予防し、機能回復を促進するために、24〜48時間以内に病態に合わせたリハビリテーションの計画を立てることが勧められる
(推奨度A エビデンスレベル高)
※脳卒中治療ガイドライン2021引用
【脳卒中のリハビリテーションの時期別】
脳卒中のリハビリテーションは、時期別に段階的に行われることが一般的です。以下に、それぞれの時期別にリハビリテーションの特徴を説明します。
1.急性期リハビリテーション:
・時期: 脳卒中発症後すぐの数日から数週間。
・特徴: 医療施設での入院中に行われるリハビリテーション。主な目標は、患者の生命を維持し、基本的な機能を回復・維持すること。
・活動: 姿勢制御の訓練、筋力トレーニング、日常生活動作の再学習など。
2.早期リハビリテーション:
・時期: 急性期治療後、入院から数週間から数ヶ月。
・特徴: 患者が安定し、リハビリテーションが始まる段階。患者の能力に応じて、機能回復や再生可能性を重視したプログラムが提供される。
・活動: 運動療法、言語療法、作業療法など。
3.慢性期リハビリテーション:
・時期: 症状が安定し、患者が自宅や施設で日常生活を送る段階。
・特徴: 患者の長期的な機能改善や生活の質の向上を目指す。リハビリテーションは必要に応じて継続される。
・活動: 日常生活動作のトレーニング、社会復帰支援、心理的サポートなど。
これらのリハビリテーションの時期別のアプローチは、個々の患者の状態やニーズに合わせて調整されます。医療チームと患者やその家族の密なコミュニケーションが重要です。
【脳卒中の回復期とは】
一般的に、脳卒中の回復期は発症後から数ヶ月から1年程度までの期間を指します。この期間は、脳の損傷から回復するプロセスが最も活発に行われる時期であり、患者の症状や機能が改善する可能性が高い時期とされています。しかし、個々の患者によって回復の速度や程度は異なるため、厳密な期間を決めることは難しいです。一般的には、急性期(発症から数日から数週間)、亜急性期(発症から数週間から数ヶ月)、そして回復期(発症後数ヶ月から1年程度)という段階に分けられますが、この分類はあくまで目安であり、個々の患者の状況によって異なります。
【脳はどれだけ回復するのでしょうか】
脳卒中後の回復は、個々の患者やその症状によって異なります。一部の患者は全ての機能を回復することがありますが、他の場合には一部の機能が残存したり、完全に回復しないこともあります。回復の程度は、以下の要因に影響されます:
1.脳損傷の範囲と重度
脳卒中がどの程度の領域を影響したか、およびその重度は、回復の見通しに大きく影響します。軽度の脳損傷の場合、回復がより可能性が高くなりますが、重度の損傷では完全な回復が困難な場合があります。
2.早期の治療とリハビリテーション
早期の医療介入や適切なリハビリテーションプログラムは、回復を促進する上で重要です。急性期からリハビリテーションを開始し、積極的に取り組むことで、回復の程度が向上する可能性があります。
3.個人の生活習慣や健康状態
健康的な生活習慣や、脳卒中後のケアにおける積極的な取り組みは、回復を支援します。適切な栄養、運動、ストレス管理などが重要です。
4.周囲のサポート
家族や医療チーム、リハビリテーション専門家など、周囲のサポートが回復の過程に大きな影響を与えます。情緒的なサポートや理解あるケアは、患者の回復を助けることができます。
総じて言えることは、脳卒中後の回復は複雑で個人差が大きいプロセスであり、患者とそのサポートシステムが継続的に努力することが重要であるということです。
【脳の可塑性って知っていますか?】
脳の可塑性(neuroplasticity)とは、脳が経験や学習によって構造や機能を変化させる能力のことです。この概念は、以前は成人の脳が固定されており、新しいニューロンが生成されることはないと考えられていましたが、近年の研究により、脳が終生変化し続けることが明らかになりました。
以下に、脳の可塑性に関する重要なポイントをいくつか示します:
1.学習と記憶
脳の可塑性は、新しい情報を学習し、記憶を形成するために重要です。経験によって脳内のシナプスが変化し、新しいニューロンのつながりが形成されます。
2.修復
脳の可塑性は、脳損傷や疾患の影響を受けた領域を補償するためにも利用されます。隣接する健康な領域が損傷した部位の機能を代替することがあります。
3.リハビリテーション
脳卒中や脳損傷の患者の場合、リハビリテーションは脳の可塑性を活用して機能を回復させるための重要な手段です。継続的な訓練や刺激によって、損傷した脳領域の機能が改善する可能性があります。
4.環境の影響
環境が脳の可塑性に影響を与えることも重要です。豊かな刺激の環境は脳の発達と機能維持に役立ちます。
5.終生的な変化
脳の可塑性は生涯にわたって続きます。学習や新しい経験を通じて、脳は常に変化し続けます。
脳の可塑性は、医学や神経科学の分野で盛んに研究されており、その理解が進むことで新たな治療法やリハビリテーションプログラムが開発されています。
【よく耳にするプラトーとは】
脳卒中後のプラトーは、回復のプロセス中に一時的に進歩が停滞する現象を指します。脳卒中の後遺症や損傷による機能障害を克服しようとする際に、患者が一時的に進歩が見られなくなることがあります。
脳卒中後のプラトーは、例えば以下のような状況で発生することがあります:
1.リハビリテーションの過程
リハビリテーションプログラムの一環として、最初は患者が目に見える進歩を達成することができます。しかし、ある時点で進歩が停滞し、プラトーに達することがあります。これは、リハビリテーションの効果がピークに達し、新しい刺激やアプローチが必要とされることを示唆しています。
2.心理的要因
脳卒中後の回復は、身体的な課題だけでなく、心理的な挑戦も伴います。挫折感や不安、うつなどの感情的な要因が、進歩の停滞やプラトーを引き起こす可能性があります。
3.神経再編成の限界
脳卒中後の脳は、一部の損傷された領域を他の部位が補償することで機能を回復しようとします。しかし、この神経再編成には限界があり、一時的に進歩が止まることがあります。
脳卒中後のプラトーは一時的なものであり、継続的なリハビリテーションや支援によって克服することができる場合があります。新しいアプローチや技術、サポートシステムの導入が、再び進歩を促進することができます。
【脳卒中かなと思ったら?】
脳卒中の初期症状は、脳の特定の領域が血流の停止または低下によって損傷を受けた結果として現れます。一般的な初期症状には以下が含まれます:
1.突然の片側のしびれや麻痺
体の一部、通常は顔、腕、または足の片側にしびれや麻痺が現れます。特に顔の片側の麻痺は一般的です。
2.言語障害
急に言葉を話すことが難しくなる、または理解することが困難になることがあります。患者は言葉を話す際につまる、または不明瞭な言葉を話すことがあります。
3.突然の混乱または理解力の低下
急に混乱したり、周囲の状況や指示を理解できなくなることがあります。
4.突然の視覚障害
片眼または両眼の突然の視力の低下、または視野の一部が欠けることがあります。
5.突然の頭痛
突然の重度の頭痛が現れることがあります。これは特に脳卒中が出血性の場合に見られます。
6.歩行困難
突然のバランスの悪さや歩行困難が現れることがあります。患者は倒れやすくなります。
これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡し、適切な治療を受けることが重要です。脳卒中の早期治療は、後遺症を最小限に抑える上で非常に重要です。
【家族が脳卒中になった時の対応について】
家族が脳卒中の初期対応について理解しておくことは非常に重要です。以下に、家族が脳卒中の発症時に取るべき対応についていくつかのポイントを示します:
1.緊急通報
脳卒中の疑いがある場合は、直ちに緊急通報番号(各国の緊急番号)に電話して救急車を呼びましょう。時間の経過が重要なので、迅速な対応が重要です。
2.安静
患者を安静にし、動かさないようにします。特に意識が失われている場合は、安全な位置に横たえて、首の周りに何かを敷いて頭部を支えます。
3.症状の記録
発症時の症状や時間をメモしておきます。医療スタッフに提供する情報として役立ちます。
4.服薬履歴
患者が服用している薬やアレルギーの情報を把握し、医療スタッフに伝えましょう。
5.安心させる
患者を落ち着かせ、安心させるように努めます。静かで明るい環境を提供し、混乱や不安を和らげます。
6.周囲の危険を排除
患者の周囲から危険な物や障害物を取り除きます。特に意識が混乱している場合には、安全を確保することが重要です。
これらの対応は、家族や介護者が脳卒中の患者に最初の応急処置を提供する際の基本的なガイドラインです。しかし、脳卒中の症状や状況は個々に異なるため、医療専門家の指示に従うことが最も重要です。
【脳卒中後の自主トレ動画はこちら】
https://revive-reha-azamino.com/movie
【頭痛について】
〜牽引性頭痛〜
牽引性頭痛とは、頭部の特定の部位に痛みや不快感が感じられる際に、その痛みが他の部位からの牽引や引っ張りによって引き起こされる症状を指します。具体的には、頭部の筋肉や靭帯、または顔面の筋肉が緊張し、その緊張が頭痛を引き起こす場合があります。
牽引性頭痛は、以下のような状況で発生することがあります:
1.姿勢の変化
特定の姿勢を取ることによって、頭部や首部にある筋肉が過度に緊張し、頭痛が引き起こされることがあります。例えば、長時間同じ姿勢を続けたり、間違った姿勢を取ったりすることが原因となることがあります。
2.筋肉の緊張
ストレスや疲労、過度な筋肉の使用などによって、頭部や顔面の筋肉が緊張し、牽引性頭痛が発生することがあります。
3.目の疲れ
長時間の画面作業や読書などによって、目の周りの筋肉が疲れ、頭痛を引き起こすことがあります。
4.顎関節の問題: 顎関節の疾患や緊張によって、顎や顔面の筋肉が牽引され、頭痛が発生することがあります。
牽引性頭痛は、緊張型頭痛の一種と見なされることがあります。適切な姿勢の維持やストレス管理、筋肉の緩和などが、牽引性頭痛の予防や治療に役立つ場合があります。ただし、頭痛が持続する場合や他の症状が伴う場合は、医師に相談することが重要です。
〜炎症性頭痛〜
炎症性頭痛は、頭部の炎症や痛みを伴う状態を指します。これは、頭部のある部位の組織や構造が炎症を引き起こすことによって起こる場合があります。炎症性頭痛の原因はさまざまであり、主なものには以下が含まれます:
1.血管炎
血管の炎症や収縮が頭痛を引き起こすことがあります。例えば、川の病気として知られる川カビ菌症(アスペルギルス菌による血管炎)は、頭痛や神経症状を引き起こす可能性があります。
2.感染性疾患
脳の炎症や髄膜炎など、感染性疾患が炎症性頭痛を引き起こすことがあります。細菌、ウイルス、真菌などの病原体によって引き起こされます。
3.自己免疫疾患
自己免疫疾患によって、免疫系が正常な組織を攻撃し、炎症を引き起こすことがあります。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)やリウマチ性関節炎などの自己免疫疾患は、頭痛を引き起こす可能性があります。
4.脳の炎症
脳の特定の部位が炎症を起こすことによって、頭痛が引き起こされることがあります。例えば、脳脊髄炎や脳炎などが考えられます。
炎症性頭痛の治療は、原因に応じて異なります。一般的な治療法には、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫抑制剤などが含まれます。原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。また、重篤な症状がある場合は、直ちに医療機関を受診することが重要です。
〜血管性頭痛〜
血管性頭痛は、血管の拡張や収縮によって引き起こされる頭痛の一種です。このタイプの頭痛は、血管が拡張して血流が増加することで引き起こされる場合があります。主な血管性頭痛のタイプには、片頭痛と群発頭痛が含まれます。
1.片頭痛(Migraine):
・片頭痛は、血管の拡張と神経系の過度の興奮によって引き起こされる慢性的な神経学的障害です。
・片頭痛は一般的に、頭の片側に激しい鋭い痛みが現れ、吐き気、嘔吐、光や音に対する過敏などの症状を伴うことがあります。
・片頭痛の発作は数時間から数日間続くことがあります。
2.群発頭痛(Cluster Headache):
・群発頭痛は、非常に強い痛みが突然頭部の一側に現れる神経学的な疾患です。
・群発頭痛の発作は、通常、1日に数回から数十回にわたって発生し、非常に短い期間(15分から3時間)続きます。
・群発頭痛の発作は、目の周囲や顔の一部に鋭い痛みを引き起こし、同側の目が赤くなり、涙が出ることがあります。
血管性頭痛の治療には、予防薬や発作時の痛みを和らげる薬、トリガーの回避などが含まれます。特に重症の場合や日常生活に支障をきたす場合は、医師の指導のもとで治療を行うことが重要です。
〜緊張型頭痛〜
緊張型頭痛は、頭痛の中で最も一般的な形態の一つです。通常、ストレスや筋肉の緊張などの要因によって引き起こされます。以下に、緊張型頭痛の特徴をいくつか挙げます:
1.痛みの特徴
緊張型頭痛は、頭部の両側にわたる圧迫感や重さを伴う持続的な痛みが特徴です。痛みは軽度から中等度であり、時には重度になることもあります。
2.痛みの場所
頭痛は通常、頭部の両側に均一に分布し、頭部全体を覆うような感覚を与えます。特に頭部の後ろ側や首の筋肉が緊張している場合に痛みが強く感じられることがあります。
3.持続性
緊張型頭痛は通常、数時間から数日間続く持続性の痛みです。持続的な緊張やストレスの状態が続いている場合に、頭痛が悪化することがあります。
4.痛みの性格
緊張型頭痛は、激しい鋭い痛みや悪化するような痛みではなく、むしろ鈍い圧迫感や締め付けられるような感覚を伴うことが一般的です。
5.日常生活の影響
緊張型頭痛は日常生活における機能を制限することがありますが、通常は激しい片頭痛や群発頭痛ほど影響が大きくありません。
緊張型頭痛の治療には、一般的には鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が含まれます。また、ストレス管理、リラクゼーション技法、運動、良い姿勢の保持などのライフスタイルの変更も緊張型頭痛の管理に役立つことがあります。重度の症状や慢性的な頭痛を経験している場合は、医師の指導を受けることが重要です。
〜三叉神経痛〜
三叉神経痛は、三叉神経と呼ばれる顔面の感覚神経が炎症や圧迫を受けることによって引き起こされる疾患です。三叉神経は、顔の感覚を担当する主要な神経であり、顔面の一部、特に目、鼻、口の周囲の感覚を制御しています。三叉神経痛は、一般的に以下のような特徴があります:
1.突然の激しい痛み
三叉神経痛の痛みは、突然現れ、非常に激しく、鋭い刺すような痛みを伴うことがあります。この痛みは一般に瞬間的で、発作的に現れます。
2.痛みの場所
三叉神経痛の痛みは、一般的に顔の一側に限局し、目、鼻、口の周囲に集中することがよくあります。特に頬、あご、歯茎、および唇に痛みが生じることがあります。
3.痛みの誘発因子
通常、触れる、口を開ける、食事をするなどの日常的な活動や刺激によって痛みが誘発されます。これらの活動が痛みを引き起こすことを三叉神経痛のトリガーと呼びます。
4.発作的な性質
三叉神経痛は、発作的に現れ、しばしば一連の発作として続きます。発作の間には、痛みの期間や強度が異なることがあります。
三叉神経痛は、様々な要因によって引き起こされる可能性がありますが、最も一般的な原因は三叉神経の圧迫や炎症です。他の原因には、顔面の外傷、血管の異常、脳腫瘍などが挙げられます。
三叉神経痛の治療には、症状の軽減や管理を目的とした薬物療法が一般的に使用されます。場合によっては、手術や神経ブロックなどの侵襲的な治療法も検討されることがあります。診断と治療は、通常、神経学の専門医や顔面疼痛に精通した医師によって行われます。
【痛みにお困りの方はこちら】