VOL.35 脳神経の分布と主な働き ~長兄small talk~
こんにちは長兄です。ここ横浜は先週に引き続きぽかぽか陽気の日が続いております。
昨日の仕事帰り、ふと空を見上げると赤い月がぼんやりと。皆既月食がみられて少し得した気分になりました。新型コロナが再びジワジワと増えてきておりますが、世界の認知としては風邪?になったのでしょうか?
日本は旅行支援に沸いており、先日都内のホテルに宿泊されたご利用者様情報では、チェックインに3時間もかかったとの事。
「30分ではなく3時間!?」。
書類やら色々な確認でホテル側もてんやわんや状態だったみたいです。
今年は実家に帰省出来るかな?
さて、今回は「脳神経の分布と主な働き」お話です。
目や耳などの感覚器官でキャッチした情報は脳幹へとつながる脳神経を経て、脳に伝えられる。脳からの指令もまた、脳神経を通じて伝えられている。
12対の脳神経は、頭側から尾側へと順にそれぞれの名称とともに、Ⅰ~ⅩⅡまでの番号がふられている。
Ⅰの嗅神経は嗅索に、Ⅱの視神経は間脳に出入りするが、そのほかはすべて脳幹部を出入りし、脳幹内にはそれぞれの脳神経に対応する神経核が存在する。
各神経核は、頭側から尾側にかけて、細胞の柱として連なっている。
脳神経はすべて、頭蓋底面にある孔から頭蓋外と連絡している。
頭部には、目や鼻、口など、頭頚部特有の機能をもつ器官が集中している。脳神経のほとんどはこれらを司るため、頭蓋の外に出ると頭頚部に多く分布する。
ただし迷走神経は、胸部と腹部にも広く分布している。
【特殊感覚神経、体性運動神経、鰓弓神経の3群に分けられる】
脳神経の役割は様々だが、機能面で分類すると、特殊感覚神経、体性運動神経、鰓弓神経の3つに分けられることができる。
特殊感覚神経は、嗅覚、視覚、聴覚、平衡覚という特別な感覚を伝える。
これらの特殊感覚神経は、Ⅰの嗅神経、Ⅱの視神経、Ⅷの内耳神経であり、末梢から中枢へと向かう求心性神経である。
体性運動神経は、Ⅲの動眼神経、Ⅳの滑車神経、Ⅵの外転神経、ⅩⅡの舌下神経で、おもに顔面の筋肉に関わる。
残りの神経は鰓弓神経である。鰓弓とは胎児期に存在する頚部の器官で、ここに由来する神経群である。多くは運動神経線維と感覚神経線維が混合する。この神経には、咀嚼筋、表情筋など、横紋筋という筋肉を支配する鰓弓運動線維、副交感神経のひとつである迷走神経を代表とする内臓神経線維、顔面神経、舌咽神経、迷走神経に含まれる味覚神経がある。
【Ⅰ~ⅩⅡの脳神経の特徴】
Ⅰ 嗅神経 → 鼻最上部の粘膜につながる
嗅細胞が密集する嗅上皮がとらえた嗅覚情報を、片側20本ある嗅神経が嗅球内に入って伝える。ここでニューロンを代えて大脳皮質に情報を伝える。
網膜の神経節細胞の軸索が合流して視神経となり、視覚情報を中枢に伝える。視神経は頭蓋腔に入った後、左右に交叉する。視神経は中枢神経系の一部でもある。
Ⅲ 動眼神経 → 眼球の動きを司る
眼球に付着する外眼筋のうち4種を支配する運動神経線維が眼球を動かし、上眼瞼挙筋を支配する運動神経線維が瞼の動きに関わっている。さらに中枢の動眼神経副核からの副交感神経も加わる。
Ⅳ 滑車神経 → 眼球運動に関わる細い脳神経
眼球を動かす外眼筋のうち、上斜筋だけを支配して、目の動きを制御する。眼球上部に滑車のような部位があるためにこのように命名された。動眼神経同様、中枢神経から末梢へと伝わる遠心性神経である。
Ⅴ 三叉神経 → 脳神経最大の混合性神経
眼神経、上顎神経、下顎神経の3本の感覚神経線維が、それぞれの部位の感覚を中枢に伝える。下顎神経には、咀嚼筋に関わる、遠心性の運動神経線維も含まれている。
Ⅵ 外転神経 → 眼球周辺の外側直筋を支配
外眼筋のひとつである外側直筋を収縮させて眼球を外側に向ける、運動性の遠心性神経。起始部は橋の外転神経核で、橋と延髄の境目で脳幹を出て、最後は眼窩内につながる。
Ⅶ 顔面神経 → 表情筋に分布する運動神経線維
顔面の表情筋を支配し、表情を作る。涙腺、顎下腺、舌下腺に関わる副交感神経や、特殊感覚のひとつである味覚を伝える味覚線維がある。味覚線維は、舌の前方2/3の味覚を伝える。
Ⅷ 内耳神経 → 前庭神経と蝸牛神経からなる
耳の内耳の感覚上皮に分布する前庭神経は、特殊感覚の平衡感覚を伝える。内耳の蝸牛は音の振動を感知し、これと連絡する蝸牛神経が、聴覚情報を大脳皮質の聴覚野に伝えている。
Ⅸ 舌因神経 → 舌と咽頭に分布、味覚を伝える
中耳の鼓室、咽頭の軟口蓋の粘膜、舌の後方1/3などに分布し、これらの部位の感覚情報や味覚情報を中枢に伝える。耳下腺に分布する副交感神経線維も含まれる。
Ⅹ 迷走神経 → 分布範囲は脳神経最大
喉頭、咽頭、食道上部1/3などを支配する運動神経線維と感覚神経線維もあるが、中心は副交感神経線維である。胸部や腹部にまで広く分布し、肺、気管支、消化器などを制御する。
ⅩⅠ 副神経 → 脊髄根・延髄根からなる
脊髄根は、頭部を動かすための頚部にある胸鎖乳突筋、肩甲骨を動かす僧帽筋を制御する運動神経線維。延髄根は咽頭や口蓋の筋肉に分布し、迷走神経と合流する。
ⅩⅡ 舌下神経 → すべての舌筋群を支配する
茎突舌筋、舌骨舌筋、オトガイ舌筋などを、舌を動かすための舌筋すべてを支配。延髄の前外側溝から出る神経根は10~14本あり、やがて舌下神経管にまとまる。
引用文献
ぜんぶわかる 脳の辞典:p68,69,70,71 成美堂出版