脳梗塞後の職場復帰とテストの考え方
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脳梗塞後の職場復帰とテストの考え方
改札の前で迷う
朝の改札を抜けようとした瞬間、足がすっと出ない。周囲の流れはいつも通りなのに、自分だけが取り残されたように感じる。脳梗塞のあと、体は動いているのに「うまく使えない」感覚に戸惑う方は少なくありません。
とくに職場復帰を考え始める時期は、できることと不安が入り混じります。外からはわかりにくい変化ほど、本人の中では大きな負担になりがちです。
すぐ相談したい変化
- 急に片側の手足が動かしづらくなった
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない感じが強まった
- これまでと違う激しい頭痛がある
- 視界が欠ける、二重に見える
- ふらつきが強く、まっすぐ歩きにくい
こうした変化は、我慢せず医療機関に相談することが大切です。時間が経てば落ち着くと自己判断せず、早めの対応を考えてください。
この記事では、脳梗塞後に職場へ戻るときに感じやすい不安や疲れやすさの背景を整理します。あわせて、無理のない再開に向けた伝え方や整え方を一般論としてまとめます。
家では平気なのに職場でつらい
家ではある程度動けるのに、職場に行くと急にしんどくなる。これは珍しいことではありません。脳梗塞のあと、脳は損傷を受けた部分を補うために別の回路を多く使うことがあります。その結果、見た目以上にエネルギーを消耗しやすくなります。
さらに職場には、同時にいくつもの情報が入ってきます。音、視線、締め切り、対人関係。こうした刺激が重なると、集中力や判断力が落ちやすくなります。家と職場の違いは、単なる「気持ちの問題」では説明できないこともあります。
復帰前に行われる簡単な動作確認や注意力のテストは、現状を知る目安になります。ただし、その結果がそのまま「働けるかどうか」を決めるものではありません。体調や環境によって揺れが出ることもあります。
誤解しやすい点
- 家でできることは職場でも同じようにできるはずと思い込む
- 疲れやすさは気合いで乗り越えられると考える
- 周囲に迷惑をかけたくないから症状を隠す
- 一度うまくいかなかったら復帰は無理だと決めつける
大切なのは、できないことを探すよりも、どんな条件なら安定するかを見つけることです。
相談で困らない言い方
職場に伝えるときは、長い説明よりも「困っている場面」と「必要な配慮」をセットで話すほうが伝わりやすくなります。病名だけを伝えても、相手は具体的なイメージを持ちにくいからです。
また、「前と同じように働けます」と言い切る必要もありません。揺れがあることを前提に、様子を見ながら調整したいという姿勢を共有することが、結果的に長く続く形につながります。
家でメモしてよいこと
- 疲れが強く出る時間帯
- 集中が続きやすい作業内容
- 休憩を入れると回復しやすいか
- 通勤で負担を感じるポイント
- 周囲の音や光で困る場面
家で決めないほうがよいこと
- 具体的な業務量の最終決定
- 復帰日を無理に固定すること
- 自己判断での服薬変更
- 「これ以上迷惑をかけない」といった極端な約束
最終的な調整は、主治医や職場と相談しながら進めることが基本です。
崩れない再開を作る
復帰を急ぐよりも、「崩れにくい形」を探るほうが結果的に早道になることがあります。最初から以前と同じペースを目指すと、反動が強く出ることもあるためです。
たとえば、勤務時間を短く区切る、役割を一部に絞る、在宅と出勤を組み合わせるなど、段階をつける方法があります。小さな成功体験を積むことが、自信の回復にもつながります。
今日からの一手
- 1日の中で最も楽な時間帯を確認する
- 通勤経路を見直し、負担の少ない方法を探す
- 休憩を取る目安をあらかじめ決めておく
復帰後も、定期的に振り返りのテストのような位置づけで体調を確認することは有用です。ただし、数値や点数だけにとらわれず、実際の生活でどう感じているかを重視します。
中止を検討したいサイン
- 症状が急に悪化した
- 新しい強い頭痛やしびれが出た
- めまいやふらつきで安全が保てない
- 強い不安や抑うつが続く
これらがある場合は、無理をせず医療機関に相談してください。
家族ができる支え方
家族の役割は、代わりにすべてを決めることではありません。本人が揺れながらも選択できるよう、情報を整理する手助けをすることが支えになります。
続けやすくする工夫
- 帰宅後に静かに休める時間を確保する
- 予定を詰め込みすぎないよう一緒に調整する
- 体調の変化を一緒に振り返る
- できたことを具体的に言葉にする
責めない言い換え例
- 「どうしてできないの」→「どこが一番つらかった?」
- 「前はできていたのに」→「今はどんな工夫があると楽かな」
- 「無理しないで」→「今日はここまでにしておこうか」
小さな前進を共有する姿勢が、長い目で見た安定につながります。
迷ったときの目印
脳梗塞後の復帰は、一直線ではありません。良い日とそうでない日が混ざるのが自然です。大切なのは、症状の変化を見逃さず、必要なときに相談につなげることです。
突然の強い症状やこれまでにない変化があれば、自己判断で様子を見続けず医療機関に相談することが基本です。迷ったときほど、一人で抱え込まないことが安全につながります。
迷ったら、まず相談を
症状が急に強くなった、いつもと違うと感じる場合は、早めに医療機関へ相談してください。突然のしびれ、ろれつが回らない、強い頭痛などがあれば救急要請を検討してください。









