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脳梗塞リハビリ リバイブあざみ野

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脳梗塞とリハビリを正しく理解するための基礎知識

2025/12/12


脳梗塞とリハビリを正しく理解するための基礎知識

脳梗塞とは何が起きているのか(病態の基礎)

脳梗塞は、脳の血管が血栓などで詰まり血流が途絶えることで脳細胞がダメージを受ける病気です。血流が止まると数分以内に細胞障害が始まり、時間が経つほど回復の可能性が下がります。特に 発症から4.5時間以内にtPA投与が推奨される〈AHA 2023〉(早期再開通が機能予後を改善するため)点は重要です。

脳梗塞は大きく「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」に分類され、それぞれ原因や再発リスクが異なります。たとえば心房細動がある場合は、心臓内でできた血栓が脳に飛ぶことで突然発症することがあります。

どんな症状が最初に現れやすい?(FASTの考え方)

顔のゆがみ、片側の手足の脱力、言葉が出にくい・ろれつが回らないなどが典型的です。国際的には「FAST(Face, Arm, Speech, Time)」が迅速評価の目安で、Timeが最重要とされています〈AHA 2023〉。

「自宅で様子を見る」の危険性

症状が軽く見える場合でも進行し悪化することがあり、自宅での経過観察は危険です。言葉のもつれや手足のしびれを「疲れ」等と誤認しないよう注意しましょう。

📌 要点

脳梗塞は時間との勝負で、症状が軽くても即受診が必要。4.5時間以内の治療が予後を大きく左右します。
🪶 日常へのアドバイス

合言葉「FAST」を家族で共有し、少しでも疑ったら救急要請する習慣をつけましょう。

脳梗塞後のリハビリ開始時期と考え方(急性期〜回復期)

脳梗塞後のリハビリは「できるだけ早く」「安全に」が原則です。一般に、発症24〜48時間以内に離床やリハビリ評価を開始することが推奨されます〈AHA 2023〉(早期離床で廃用を防ぐため)。ただし状態が不安定な時は慎重に行います。

急性期はベッド上での関節可動域運動、呼吸管理、体位変換から始まり、座位→立位→歩行へと段階的に進めます。回復期ではADL向上を目的に、歩行・上肢機能・構音・嚥下などが集中的に行われます。

リハビリはなぜ早く始めるほど良いのか?

脳は可塑性を持ち、発症直後の数週間は回復しやすい「ゴールデンタイム」です。早期の適切な刺激は神経回路の再構築を促しますが、血圧変動や脳浮腫等のリスクもあるため医療チームの判断が必要です。

📌 要点

リハビリは発症後早期の開始が推奨され、個別性の高いプログラムが回復を左右します。
🪶 日常へのアドバイス

医療チームから「できること」「避けるべきこと」を確認し、自宅復帰の準備を早めに始めましょう。

自宅復帰に向けた評価とリスク管理(回復期後半)

回復期が進むと「どこまで安全に自宅で生活できるか」を見極める段階になります。評価では歩行能力、バランス、上肢機能、認知、嚥下、コミュニケーションなどを多面的に確認します。特に転倒は再入院の大きな理由であり、退院後1年以内の転倒率が高い点に注意が必要です〈厚労省 2024〉。

リスク管理は環境・動作・健康管理の3領域で考えます。段差、敷物、暗い通路は転倒要因になりやすく、立ち上がりや入浴動作は特に注意が必要です。健康管理では血圧・服薬・睡眠・水分等のセルフケアが再発予防に直結します。

自宅で「できること」を増やす視点

自宅は生活動作自体がリハビリです。調理・洗濯・掃除・トイレなどのタスクを段階的に「できる」へ変えることで自立度が高まります。病院でできたことが自宅で危険になるケースもあるため、住宅環境に合わせた訓練が必要です。

📌 要点

自宅復帰には多面的な評価と環境調整が不可欠で、退院後の転倒・再発リスクを最小化する準備が重要です。
🪶 日常へのアドバイス

退院直後の1週間は無理せず休憩を挟み、安全第一で生活動線の改善を家族と進めましょう。

自宅で続ける脳梗塞リハビリ(生活期)のポイント

生活期リハビリは退院後の回復を左右します。病院と異なり生活動作そのものが訓練となり、日々の積み重ねが改善につながります。一方で誤った方法や過負荷は痛み・転倒・疲労を招くため、適切な方法と頻度を理解することが不可欠です。

運動量については、一般に「週に150分以上の中等度運動」が推奨されます〈WHO 2024〉が、脳梗塞後は個別調整が必要です。

自宅リハビリの組み立て方(専門職視点)

成功の鍵は「時間」「負荷」「目的」の3つ。朝の疲れていない時間に立位練習、午後に歩行や家事動作を組み込むなど、1日の中で無理のない配分を考えます。またストレッチは1部位20〜30秒保持が一般的ですが、痛みが出たら中止し相談を。

📌 要点

自宅リハビリは生活動作と運動を組み合わせることで効果が高まり、安全性と継続性を両立させるプラン設計が重要です。
🪶 日常へのアドバイス

無理のない負荷・時間配分を心がけ、定期的に専門職のチェックを受けて動作の質を維持しましょう。

再発予防とセルフマネジメント(生活期の核心)

脳梗塞は回復後も再発リスクが続き、自宅生活に戻ってからのセルフマネジメントが重要です。特に血圧・血糖・脂質・生活習慣・服薬管理の5領域が再発率に直結します。再発予防の中心は血圧管理で、一般に収縮期血圧130mmHg未満が目標とされることが多い〈AHA 2023〉が、個別調整が必要です。

服薬は抗血小板薬・降圧薬・脂質異常治療薬などが継続され、飲み忘れは再発リスクを高めるため管理方法の固定化が有効です。

生活習慣の改善が回復に直結する理由

生活全体を調整することがリハビリです。朝のルーティン、食事、入浴、家事、趣味などが身体機能に影響します。食事は塩分・脂質・糖質のコントロールが血管リスクを低減します。

📌 要点

再発予防は血圧・服薬・生活習慣の3本柱が中心で、生活期は小さな変化に気づく観察力が重要です。
🪶 日常へのアドバイス

朝と夜のセルフチェックを習慣化し、無理をしない生活設計を続けましょう。

まとめ:長期的な回復を支える生活設計と家族支援

脳梗塞の回復は退院後も続き、生活期〜慢性期では「現在の能力を維持し、少しずつ伸ばす仕組み」が重要です。身体活動・健康データ把握・社会参加・家族支援の4本柱を継続することでQOLが向上します。外部資源(通所・訪問・地域活動)を活用し、家族だけで抱え込まない仕組みを作ることが不可欠です。

生活期の目標は「その人らしい生活」を再構築すること。専門職と家族が協力して、実現可能な形に調整していきましょう。

🗂 よくある質問

Q1. 脳梗塞の初期症状にはどんなものがありますか?
A1. 顔の片側のゆがみ、片側の手足の力が入らない、言葉が出にくい(ろれつが回らない)などが典型です。合言葉は「FAST」です。疑いがある場合はすぐに救急要請してください。

Q2. 自宅で安全にリハビリを続けるにはどうすればよいですか?
A2. 朝の疲れていない時間に短時間ずつ行う、負荷と時間を明確にする、家族や専門職と連携して動作の質を確認することが大切です。無理は禁物です。

Q3. 再発が疑われる症状が出たらどうすればよいですか?
A3. 片側の脱力、言語障害、急なめまいなどが出たら様子を見ずに救急車(119)を要請し、速やかに医療機関で評価を受けてください。

症状が疑わしい場合は迷わず救急要請を。時間が経つほど後遺症リスクが高まります。

参考文献